渋谷駅周辺の東急グループ施設内で、声優事務所最大手・青二プロダクション所属の声優による“館内アナウンス”が聞けると、声優ファンを中心に話題を呼んでいる。
これは、「新型コロナウイルス感染症対策メッセージ・プロジェクト」に賛同した同事務所所属の野沢雅子、神谷浩史、島崎信長の3名が参加したもので、特定のキャラクターとしてではなく、“本人”として呼びかけるものだ。
青二プロダクションといえば、5月7日放送の『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』(TBS系)で、「青二プロダクション声優集合SP」と題し、2時間にわたって特集されたことも記憶に新しい。『ドラゴンボール』(フジテレビ系ほか)孫悟空役の野沢をはじめ、ピッコロ役でおなじみの古川登志夫や、『名探偵コナン』(日本テレビ系)安室透役の古谷徹らベテラン勢のほか、神谷や島崎など、女性人気の高い声優も多く出演した。
ベテランから若手まで、幅広い層の人気声優を抱える青二だが、「業界一強」を守るためには、紆余曲折があったようだ。声優業界関係者はこう語る。
「昨年、青二は社内の『新旧刷新』の大改革を行いました。社長が代わり、それに伴い旧経営陣は退職し、若手が幹部に昇進。悪しき青二の“慣習”を一掃したのでしょう。4~5年前の同事務所とは比較にならないほど、“ホワイトな事務所”になったそうですよ」(声優業界関係者)
新体制になる以前の青二は、業界内では悪評高い“ブラック企業”だったという。
「先代、先々代の社長がいた頃は、いわゆる『昭和の経営』で、当然のようにパワハラが横行していました。とにかくマネジャーの態度が悪く、所属タレントに強く当たるんです。特に、同事務所直結の養成所『青二塾』から所属となったタレントに対しては当たりがキツかったようですよ。しかし、下積みを経て人気が出るタレントも多くいます。神谷浩史はその最たる好例ですね。彼もデビュー当時はマネジャーに強く当たられていたそうですが、有名になると、スタッフたちがコロッと態度を変えて優しくなったとか。その代わりに、パワハラが通用するほかの若手が次のターゲットになる……ということがまかり通っていたと聞きます」(同)
当時そのようなパワハラを行っていたマネジャー勢は、昨年の大改革をきっかけに独立や他事務所に移るなどして、現在の青二プロは“健全な事務所”になったようだ。
「とはいえ、現在も幹部のうち数人は、かつてのパワハラマネジャーのようです。もちろん、所属タレントに対して理不尽な態度を取ることは絶対によくありません。しかし、現在残っているスタッフたちは、圧倒的に『仕事ができる』んです。4~5年前に内紛が起きた際にふるいにかけられ、残った“精鋭”でもある現在の経営者陣とスタッフたちは、業界最強の布陣といえるかもしれません」(同)
タレントだけでなく、スタッフも層が厚い青二プロ。当分は“声優界トップ”に君臨し続けることだろう。