覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
超DV精神科医が覚醒剤で逮捕
「瑠美さんは、覚醒剤が効いている時に、男の人に暴力振るったことあります?」
編集者さんに突然振られて焦りました。い、いや、あるわけないやないですか……。なんでそんなことを聞くんかなと思たら、超DVの精神科医が覚醒剤でパクられてた(逮捕されてた)んですね。
記事によりますと、彼女さんにひどいDVを繰り返してたそうで、傷害で逮捕からのガサ入れ(家宅捜索)で、家の中から覚醒剤が出てきてるんですね。それで覚醒剤取締法違反(所持)でもパクられたそうです。
お医者さんは「被害は女性の妄想」と言うてるそうですが、彼女さんは全身傷だらけやそうですよ。診療を受けに来た女性を次々と襲ってたんですね。殴る蹴る、傘でどつく(!)とか当たり前やったそうですが、彼女さんもメンタルやられてますから、半年くらい一緒に住んでたんですね。統合失調症の薬とかを大量に飲まされ、洗脳状態やったそうです。
お医者さんと別れたきっかけは、「下着姿でゴミ拾いをさせられたこと」。ひどい、の一言ですが、もっとひどいことをされてます。
「彼女さん、パニックになってリストカット」→「病院で腕を縫い合わせてもらったのに、ケンカで縫ったばかりの傷を引き裂かれ、神経が切れて左手首から先の感覚ナシ」からの「やっと目が覚めて警察に被害届を提出」やそうです。書いてるだけで痛い……。
これが不良なら「こゆバカ、いてるよねー」てなりますが、お医者さんですからね。多分ですが、小さい時から勉強ができて、甘やかされて育ったんかなと。
罰金刑の前科持ちなのに……
このお医者さんは、前にもリタリン(編集部註・ナルコレプシーの治療に使われる覚醒効果がある薬。以前はうつ病にも処方されていた)の大量処方の疑いにより、東京都の立ち入り検査で罰金刑を受けてるそうで、患者さんには好きなだけ合法の薬もあげていたようです。
「薬をたくさん処方してあげるから触ってくれ」「触ってくれれば痩せる薬をあげる」と「アレ」を出すこともあったそうで(AVか!)、健康保険証の住所を見て家に来られちゃった人もいるとか。おうちの郵便受けにたくさん薬を入れられて、飲みすぎて後遺症がある人もいるそうです。
こんなんでも、医師免許はなくならないんですね。だいたい2〜3年の業務停止とか。しかも、本人もめちゃくちゃクスリ飲んでて、「俺は監視されている」と家の中をガムテで目張りしてたそうで……。まあ報道もおもしろおかしく書くから、わからないところもありますが、なんかそんな感じしちゃいますよね。
お医者さんだけやないですよね。刑事さんのクスリ問題も、しょっちゅう報道されてます。こないだは、浅草警察の警部補さんが「部下に見せるための教材用」として覚醒剤を自分の事務机に隠し持っていたとパクられてました。しかも、密告でわかったそうです。
まあ「教材用」は、わからないでもないですね。ブツ(実物)を見たことないのに、捜査はできませんからね。
ちなみに豆知識ですが、映画やテレビドラマで刑事さんが組事務所とかで見つけた白い粉をなめて、「おい、こりゃシャブじゃねえか!」ちゅうのは、現実にはありえないそうです。証拠品は大事にとっとかないとね。そもそもシャブとかやなくて、「なめたら死ぬヤツ」かもしれませんしね。
前出の警部補さんの場合、問題は、クスリをどこで手に入れたかですよね。押収品に手を出したんちゃうかなと思いますが、仲よしの密売人からもらったのかもしれません。
刑事さんがヤクザや密売人と仲よくなるのは普通ですし、刑務官も懲役(受刑者)と仲よしになることはフツーです。女子刑務所もヒイキとかありますが、男子刑務所の癒着のほうがごっつい気がしますね。
こないだも、拘置所で未決勾留中のヤクザに現金や刑務官の名簿を差し入れてた刑務官が、停職6カ月の懲戒処分を受けて依願退職してますね。
これは、仲よしのほうが捜査もムショの管理も何かと便利ですし、身の上話を聞いてるうちに、かわいそうになっちゃうようです。特にムショは、処遇に不満があったら暴動とかになる可能性もあるので、「おとなしくしてもらう」ために何かをあげたり、ちょっとくらいの違反には目をつぶってあげるんですね。
ええことではないですが、もともとムショに来るような人たちは、厳しいだけでは言うことを聞かないので、現場としてはしゃあないのかなとも思います。