7月1日放送の『日経スペシャル カンブリア宮殿』(テレビ東京系)に、焼肉チェーン「焼肉きんぐ」を展開する物語コーポレーションの小林佳雄特別顧問、加藤央之社長が登場。コロナ禍で外食産業が苦戦を強いられる中、焼肉きんぐは焼肉チェーントップの牛角に迫る勢いで成長し、現在、全国に400店舗以上を構えるという。番組では、食べ放題の新たな取り組みや、“低い離職率”の秘密にも迫るようだ。
焼肉チェーンといえば、店舗によって異なる、個性的なサイドメニューも人気が高い。今回は焼肉きんぐに加え、牛角、ワンカルビのサイドメニューを比較した記事を、あらためて紹介したい。
「おいしいごはんが食べたい、でも自炊するのはめんどくさい!」そんなズボラ女子の救世主といえば、コンビニ・ファミレス・ファストフード! 毎日の食事をおいしく楽チンにするため、“お酒とおつまみ大好き”管理栄養士・川村郁子先生に、さまざまなテーマに合わせた「おすすめメニュー」を聞いちゃいます。
人気焼肉チェーン、“サイドメニュー”ランキング
「少し贅沢な外食」といって思い浮かぶものといえば、やはり「焼肉」。高価なお肉もいいですが、みんなでワイワイ楽しめるチェーン店も魅力ですよね。特に最近の焼肉チェーンは、サイドメニューが充実していて、かなり個性的な品ぞろえになっているとか。ということで今回は、人気の焼肉チェーン「牛角」「焼肉きんぐ」「ワンカルビ」の中から、サイドメニューの栄養価に注目して、管理栄養士の川村先生にランキングをつけてもらいました。
――まず、「肉」から摂れる栄養素について教えてください。
川村郁子先生(以下、川村) お肉はタンパク質やビタミン、鉄や亜鉛といったミネラルなどが摂れるメリットがあります。特に、鉄など不足しがちなミネラルをおいしく摂取できるのはうれしいですね。その半面、お肉をたくさん食べると動物性脂肪の摂りすぎになってしまいます。また、甘辛いタレには糖質が多く含まれているため、焼き肉を食べ過ぎると、脂質や糖質が過多になりやすいです。
とはいえ、いくら焼肉が好きな人でも、毎日食べることはあまりないですよね。たまにご褒美として食べるのならば、思いっきり楽しんでください。その中で、サラダなどのサイドメニューで食物繊維を摂るなど、全体的なバランスを整える意識を持つといいでしょう。食物繊維は、糖質の吸収を緩やかにし、余分な脂質の吸収をセーブする働きが期待できます。野菜や海藻、きのこなどに多く含まれていますので、サイドメニューを頼む際は、これらの食材を選ぶといいですね。
「牛角」お肉と相性バツグンの一品を発見!
――では最初に、「牛角」でおすすめのサイドメニューを教えてください。
川村 牛角でおすすめなのは、「牛角サラダ」や「チョレギサラダ」などのサラダ系ですね。特にチョレギサラダは、サンチュなどの葉野菜だけでなく、海藻の海苔も入っているので、食物繊維がたっぷり補えていいです。また、おつまみメニューがどれもとても優秀で、いい意味で選べないぐらい(笑)。特に「シャキシャキ塩ピーマン」や「プチトマトのナムル」がおすすめです。ピーマンやプチトマトには、ビタミンCやβカロテン、食物繊維が含まれています。ビタミンCは鉄と一緒に摂ることで、栄養の吸収をサポートする働きがあるので、お肉との相性はバツグン。
また、「牛角サンチュセット」や「ピーマンセット」もいいですね! お肉1枚につき、サンチュやピーマンを1つ(1枚)食べれば、食物繊維、ビタミンC、βカロテン、ビタミンKなどが補えます。生野菜をしっかりとよく噛んで食べることで満腹中枢を刺激し、食べ過ぎ防止にもつながります。このほか、定番ですが「ナムルの3種盛り合わせ」もおすすめ。野菜はゆでることでカサが減り、たくさん食べやすくなるのが魅力です。
シメが欲しい場合には、温かくあっさりとした「たまごクッパ」がいいですね。野菜も入っていますし、温かいので胃腸に優しいメニューだと思います。「焼肉を食べるときは、どうしてもごはんが欠かせない!」という方は、海苔やネギがたっぷり乗った「カルビ専用ごはん」「ネギたまごはん」を頼めば、ごはんと一緒に食物繊維を補うことができます。スープ類なら、定番の「ワカメスープ」がおすすめ。こちらも海藻で食物繊維を補うことができます。
――続いて、「焼肉きんぐ」はどうでしょう?
川村 野菜系ですと「サンチュ」もいいですが、私はキャベツが山盛りになっている「きんぐのキャベサラ」に惹かれます。キャベツにはビタミンCや食物繊維が含まれていますし、噛み応えがあるので消化液の分泌を促し、消化を助けてくれます。ぜひ、お肉を焼く前に食べてほしいですね。ほかに「たっぷり韓国海苔のチョレギサラダ」や「パリパリ旨塩キャベツ」もおすすめです。スープ類だと、「ワカメスープ」や「野菜スープ」がよさそうです。お肉を食べながら温かい汁物を飲むことで満腹感を得やすくなり、食べ過ぎ防止につながります。
また、おつまみ系でしたら、こちらも定番の「ナムル盛り合わせ」や「韓国のり」がおすすめ。「おつまみ枝豆」も食物繊維を含むので、生野菜が苦手な方はこちらを選ぶといいでしょう。そして、私が特におすすめしたいのが「沖縄産もずく酢」。酸味が利いているので、さっぱりとして口直しにもぴったりですし、食物繊維を補うこともできて一石二鳥です。シメのメニューは、できるだけ野菜や海藻類が多く、脂質が少なそうな「〆の生海苔そうめん」がいいですね。「野菜クッパ」も温かいメニューで満腹感を得やすく、食物繊維も摂れるのでおすすめです。
――最後に「ワンカルビ」をお願いします。
川村 野菜系では、定番の「チシャ菜(サンチュ)」や「ナムル盛り合わせ」ももちろんですが、「低温調理でやわらかく仕上げた豚肉と牛蒡のサラダ」がいいですね。食物繊維を多く含むゴボウが入っているのが、このサラダの大きな特徴です。
おつまみ系のメニューでは、「さっぱりオニオンスライス卵黄のせ」をおすすめします。玉ねぎには、食物繊維やカリウムだけでなく、辛味成分である「硫化アリル」という成分が含まれています。玉ねぎ特有の刺激的な香りのもとである硫化アリルは、ビタミンB1の働きを促す作用があるといわれているので、ビタミンB1を含むお肉と一緒に食べるのにピッタリなんです。
シメの中では、「牛骨白湯スープの韓国風お粥」が気になります。クッパ同様、温かいスープを取り入れることで、満腹感を感じやすいのが魅力。また、お粥は消化が早いので、胃に優しいシメを選びたいという方にもいいのではないでしょうか。「韓国冷麺」や「国産とろろの冷やし山かけうどん」は、あっさりとシメたいときに選びたいですね。
――それでは、3店舗の順位をお願いします!
川村 どこの店舗でも、基本的にナムルやサラダ、スープなどが選べるので、うまく組み合わせれば栄養バランスを整えやすいと思います。その中でも、野菜メニューのバリエーションが豊富な「牛角」が第1位でしょうか。サラダや野菜のおつまみ、海苔やワカメなどの海藻を取り入れたメニューが豊富に選べるので、お肉を楽しみながらサイドメニューで野菜をしっかり食べるということが、自然にできると思います。
第2位は同率で「焼肉きんぐ」と「ワンカルビ」です。「焼肉きんぐ」は、海藻を取り入れた「〆の生海苔そうめん」や「沖縄産もずく酢」が魅力的ですし、キャベツもりもりの「きんぐのキャベサラ」が高評価。対する「ワンカルビ」は、やはり「さっぱりオニオンスライス卵黄のせ」や「牛骨白湯スープの韓国風お粥」をおすすめしたいです。それぞれ際立っていいメニューがあるものの、その他は比較的定番のメニューが並ぶということもあって、「牛角」よりは少し劣る評価となりました。
お肉だけでは足りない栄養素を補えるサイドメニューを上手に選び、焼肉をもっとおいしく、ヘルシーに楽しみましょう!
※2020年10月9日初出の記事に追記・再構成しています。
■川村郁子(かわむら・いくこ)
管理栄養士。中村学園大学栄養科学部栄養科学科卒業。九州の病院栄養士経験を経て独立。レストランのヘルシーメニュー監修、栄養専門学校講師、企業・大学での食育講演を行いながら、「コンビニや外食との上手な付き合い方」「15分で作れるかんたん栄養めし」の提案をしている。
インスタグラム/WEBサイト:「酒好きの食育」