4月27日配信のニュースサイト「文春オンライン」および、翌日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が、2020年公開の永作博美主演映画『朝が来る』の撮影現場で、河瀬直美監督が撮影助手の男性・A氏の「腹を蹴り上げた」などと報道。これを受け、28日には河瀨氏が「撮影助手A」との連名でコメントを出し、「ネット上に困惑が広がっている」(スポーツ紙記者)ようだ。
最近の河瀨氏の話題といえば、21年に開催された東京五輪の公式記録映画『東京2020オリンピック SIDE:A/SIDE:B』(22年6月公開)の総監督を務めたほか、25年に開催される大阪・関西万博のプロデューサーにも名を連ねている。一方、過去に手がけた『朝が来る』は、「第73回カンヌ国際映画祭」の「Official Selection 2020」に選出されるなど、注目を集めた作品だが、「文春」によると、同映画を撮影していた19年5月、現場で暴力行為があったという。
「『文春』は、カメラを覗いていた河瀨氏が方向を見失い、撮影助手・A氏が方向修正のために体に触れたところ、河瀨氏が激高し、A氏の腹を蹴り上げたと報道。その後、河瀨氏は自身の非をすぐには認めなかったといい、A氏ら撮影チームを率いていた撮影監督・月永雄太氏は、チームごと降板したそうです。同誌の取材に対し、A氏は『私からお話しすることはありません』と回答し、月永氏も『(A氏の意思を)最大限尊重したい』と述べたということでした」(同)
かたや河瀨氏は、「3年前に既に、当事者間、および河瀨組内において解決をしている」などと答えているが、ネット上には批判的な声が寄せられていた。そんな中、「文春」発売日の今月28日、河瀨氏の個人事務所兼制作プロダクション・組画は、公式サイトを更新。組画からのコメントとして、当時は河瀨氏が撮影助手に引っ張られて転倒しそうになり、「防御として、アシスタントの足元に自らの足で抵抗」したなどと説明。
「また、組画の説明とは別で、河瀨氏本人のコメントも掲載されていますが、どちらにも『今回の記事により「朝が来る」という作品が傷つけられ、関係各位、スタッフに不快な想いをさせてしまったことが残念でなりません』といった記述があります。しかも、河瀨氏のコメントは『撮影助手A』と連名になっており、ネット上では『蹴られたAさんと同一人物?』『「文春」に書かれた経緯は間違いなの? でも、Aさんが今も河瀨監督に逆らえない立場にある可能性も……?』『なんだか闇が深そう』などと、困惑が広がっている状況です」(同)
映画界では近頃、榊英雄氏や園子温氏など、監督による“性加害”報道が相次いでいたが、今月に入って、河瀨氏のような“暴力問題”も取り沙汰されていた。
「小林勇貴氏の監督映画『ヘドローバ』(17年公開)という作品は、YouTube上にメイキング映像が公開されていたのですが、ケンカのシーンで元格闘家が子役を複数回殴りつける演出があったんです。現在、当該動画は非公開となっているものの、殴られた子役は嘔吐していたにもかかわらず、小林氏は『児童虐待、撮りました』と笑顔でコメント。同動画に対し、Twitter上で複数の役者たちが批判的な姿勢を示したことで、徐々に拡散されていき、『演出でした、では済まされない虐待!』『日本映画界、本当にどうなってんの?』などと大炎上したんです」(芸能ライター)
その結果、今月25日には、高橋ヨシキ監督の映画『激怒』(8月公開)のプロデューサー・森田一人氏が、「我々は事態を重く見ており、小林氏のクレジットを『激怒』から外すことを決定いたしました」と発表。小林氏はもともと、同作の「原案」にクレジットされる予定だったという。
「4月28日現在、小林氏から公式なコメントは出ておらず、ネット上のバッシングも収まっていません。一方、同日に発表された河瀨氏のコメントも物議を醸していますが、こちらも、さらなる説明があるのかは不明。どちらも、どのように騒動が収束するのか、不透明な状況です」(同)
混乱が続く日本映画界だが、いつになれば膿を出し切れるのだろうか。