4月から『バイキングMORE』(フジテレビ系)の後を受けて始まった『ポップUP!』の数字が振るわない。5月10日放送の視聴率は世帯視聴率1.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、個人視聴率0.9%という惨状だ。
同日、裏番組の『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)は世帯4.2%、個人2.0%。後半50分間かぶる『情報ライブ ミヤネ屋』(同)は世帯5.9%、個人2.4%といった調子で、この時間帯に好調の日テレに少なくとも2倍以上の大差を付けられていることになる。
別の日を見ても、5月9日の『ポップUP!』は世帯2.0%(個人1.0%)、4月27日は世帯2.1%(個人1.0%)と2%台に上がることもあるが、1.6〜1.9%で推移することがほとんどだ。
「『ポップUP!』は生放送の3時間ワイド番組。公式ホームページによると、『情報&Lifeエンターテインメント番組』とあり、さらには『芸能&エンタメ、話題のイケメン&美女、噂のスポット&グルメ、ファッションなどなど、ミーハー心全開で“いま”を届けます』とも紹介されています。ゴシップや政治を中心にして、坂上忍が熱弁を振るう『バイキングMORE』から方向性を改めたとはいえ、この路線は『ポップUP!』の前に同局で放送されている『ノンストップ!』に近い感じがします」(芸能ライター)
その『ノンストップ!』も、同6日は世帯3.2%、個人1.6%とパッとしない。ただ、同番組はフジサンケイグループ傘下の通販ブランド「ディノス」商品のPRコーナー「いいものプレミアム」や、同じく傘下の扶桑社が刊行する「ESSE」の内容を紹介する役目も担っており、番組終了の心配は低いという。
「一方、心配なのは『ポップUP!』のほうですが、フジの上層部は低視聴率を楽観視しているふしがあります。開始当初、同局の金光修社長は定例会見で、初回の世帯視聴率が3.2%、個人1.6%だったことを受けて『特にこの数字で一喜一憂するつもりはない』と語っていたそうです。確かに、『バイキングMORE』とは全く違う路線なので、スタートから視聴率をどうこう言っても仕方ないのですが、初回の数字から早くも半減している。しかも、今後数字が上がるようにも見えません」(放送作家)
『ポップUP!』の問題として、パーソナリティが挙げられるという。
「パーソナリティの顔ぶれが、間に合わせ、寄せ集めとしか思えず、全くバランスが取れていません。『バイキングMORE』からの残留組として、ロンドンブーツ1号2号・田村淳、アンミカ、おぎやはぎ。3時のヒロイン・福田麻貴は、3月末まで『めざまし8』(同)で、トリオとして出演していました。小原ブラスも『めざまし8』の卒業メンバーです。そのほか、芸能事務所から『ウチのタレントが出ていない』などと言われないよう、各プロダクションから代表を選んだような、いわば“忖度”感が否めません。また、月曜パーソナリティの小泉孝太郎と淳は互いに牽制し合っているようで、2人とも個性が生かせていません」(業界関係者)
ほかにも、この番組の“ダメ”なポイントは数多いという。
「進行MCであるはずの山崎夕貴アナと佐野瑞樹アナが、なぜかパーソナリティの後ろに座っているときがある。これでは誰がMCなのかわからず、誰を中心に見たらいいのか、視聴者の“視点”が定まりません。前番組には坂上忍という強烈な個性がいてスタジオの進行を担っていましたが、あまりに自己中心的だったので、それがトラウマになって権力の一極集中を避けたような気さえします」(同)
しかし、視聴率が人気の指標の全てではない。例えば、低視聴率と騒がれた朝の情報バラエティ番組『ラヴィット!』(TBS系)は、同時間帯のコア視聴率(13〜49歳の男女における視聴率)では2位と報じられた。
「正直、視聴率が激増しているわけではないし、そもそも安定した数字を維持する『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)以外のワイドショーはジリ貧であるため、『ラヴィット!』も取り立てて騒ぐような状況ではありません。しかし、大喜利をはじめとして笑いに特化したことで、確かに若年層の“接触率”は高くなっています。『ポップUP!』はそうした特化ポイントも見当たりません」(前出・放送作家)
こうして、視聴率1%台の“ワイド死の枠”に戻ってしまったフジテレビの昼。復活はあり得るのだろうか?
(村上春虎)