各局ともに、低視聴率にあえいだ4月期ドラマが最終回を迎え、7月期ドラマがスタートを切り始めている。この時期は在宅率が下がることから、業界内では一般的に「7月期の連ドラは視聴率が取りにくいとされ、4月期ほど力が入っていない」(テレビ誌ライター)というが、そんな中でも“ヒットの予感アリ”と業界内で注目を集める作品もあるようだ。
「最もヒットの期待値が高いドラマは、TBS系『日曜劇場』で、一足早く6月26日から放送を開始している『オールドルーキー』(綾野剛主演)です。初回世帯平均視聴率は11.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、ロケットスタートとまではいかなかったものの、2ケタ台発進。実はコア視聴率(13歳~49歳の個人視聴率)が良く、今後大きな話題を呼びそうです」(同)
同ドラマは、主人公のサッカー元日本代表・新町亮太郎(綾野)が、現役引退後にスポーツマネジメント会社「ビクトリー」に勤めだし、現役アスリートと向き合いながら、セカンドキャリアを歩んでいくというストーリー。
「『日曜劇場』はTBSの“看板枠”とあって、やはり脚本が面白いですし、綾野の演技もさすが。綾野といえば、暴露系YouTuberの“ガーシー”こと東谷義和氏に、人妻との“不倫疑惑”や未成年女性との“飲酒や淫行疑惑”を告発されて、ネット上が大騒ぎになり、ドラマ開始前はTBS関係者も『本当に放送できるのか?』と恐れおののいていたようですが、綾野が所属するトライストーン・エンタテイメントの社長は『絶対に大丈夫!』と自信を見せていたとか。実際にちゃんと放送にこぎつけて、ドラマファンからも好感触を得ています」(同)
『オールドルーキー』以外にも、ヒット候補のドラマが2作品あるという。
「1つは、林遣都と仲野太賀がダブル主演を務める『初恋の悪魔』(日本テレビ系)です。脚本家・坂元裕二氏のオリジナル作品で、刑事ドラマではあるものの、事件を解決していくのは停職処分中の刑事・鹿浜鈴之介(林)、総務課勤務の馬淵悠日(仲野)、生活安全課・摘木星砂(松岡茉優)、会計課・小鳥琉夏(柄本佑)と、捜査権がないメンバーという異色作。そんな“変化球”的な内容が話題を呼びそうですし、『演技はパッとしないけれど、注目度は高い』ような出演者を使わず、演技派の役者だけを集めている点も、“ドラマ好きのドラマ”という感じがして、視聴者から好感を得られそうです」(テレビ局関係者)
もう1つは、波瑠主演の『魔法のリノベ』(フジテレビ系)。漫画家・星崎真紀氏による同題作品(双葉社)の実写ドラマで、波瑠は大手リフォーム会社から「まるふく工務店」に転職した主人公・真行寺小梅を演じるという。
「“家のリノベーションで人生もリノベーションする”というテーマのお仕事ドラマです。似たような作品だと、過去に北川景子主演の『家売るオンナ』(日本テレビ系)シリーズがヒットしたので、『魔法のリノベ』も同じように、視聴者にウケる可能性があります」(同)
ちなみに波瑠以外の出演者は、「まるふく工務店」の営業担当・福山玄之介に間宮祥太朗、その弟で設計担当の竜之介にTHE RAMPAGE・吉野北人、彼らの父親で社長の蔵之介に遠藤憲一、さらに小梅の元カレ・久保寺彰に金子大地が起用されているが、「ソツのないキャスティングといえる」(同)とメンツの評価も上々だそうだ。
7月期ドラマ『テッパチ!』は若い女性にハマるのか疑問
そんなヒットが予想されるドラマもあれば、逆に「コケそう」とウワサされるドラマもある。その一つが、劇団EXILE・町田啓太主演ドラマ『テッパチ!』(同)だという。
「陸上自衛隊を舞台にしたドラマで、主人公・国生宙役の町田のほかには佐野勇斗、北村一輝、佐藤寛太(劇団EXILE)、一ノ瀬颯、藤岡真威人、工藤阿須加、桐山漣など、ありとあらゆる系統のイケメン俳優が揃っています。一部関係者の間では、『まるで女性プロデューサーの“イケメンに囲まれたい”という思いと勢いで作られたような作品』とささやかれているほどですが、そもそもターゲットとみられる若い女性視聴者に、陸上自衛隊の話というのがハマるのか疑問です」(制作会社関係者)
また、人気韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本版リメークで、竹内涼真が主演を務める『六本木クラス』(テレビ朝日系)も期待値が低いという。
「東京・六本木にある居酒屋『二代目みやべ』の店長・宮部新(竹内)が、日本の外食企業トップである『長屋ホールディングス』の跡取り息子・長屋龍河(早乙女太一)のせいで窮地に追い込まれ、同社の会長・長屋茂(香川照之)に復讐する姿が描かれます。ストーリーのベースは『梨泰院クラス』と同じ。キャストについては、新の同級生で『長屋ホールディングス』に勤務する楠木優香役に新木優子、『二代目みやべ』マネジャー・麻宮葵役に平手友梨奈が起用されています」(同)
世界的ヒットを飛ばしたドラマのリメークとあって、同ドラマは7月期ドラマの中で、「最も話題性は高い」(同)そうだが……。
「海外作品を日本版にすると、どうしてもチープに見えてしまう。例えば、オリジナルドラマが“隠れた名作”であれば、日本で作る意義もありそうですが、すでに日本で超話題になった作品をわざわざリメークしても、オリジナル版のファンの反感を買って“炎上”するのが目に見えています」(同)
『六本木クラス』を放送するテレビ朝日は、2020年10月~21年3月までの2クールにわたり、キーファー・サザーランド主演の人気ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』シーズン1をリメークした『24 JAPAN』(唐沢寿明主演)を放送していたが、これもオリジナルシリーズのファンから批判が噴出。今回も、同じ轍を踏んでしまうのだろうか。
なお、業界関係者の間で、“大穴”と密かに注目されているのが日本テレビ系の2作品で、橋本愛主演の『家庭教師のトラコ』とKing&Prince・永瀬廉主演の『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』だという。
「『トラコ』は、11年10月期の大ヒットドラマ『家政婦のミタ』(同)などを手がけた遊川和彦氏の脚本で、同氏の作品に複数出演している橋本が、今回は主人公の家庭教師・根津寅子役に抜てき。橋本は、これが地上波民放連続ドラマ初主演となるので、視聴率は未知数ではあるものの、何らかのきっかけ一つで爆発する可能性を秘めています」(スポーツ紙記者)
かたや『新・信長公記』は、漫画家・甲斐谷忍氏の『新・信長公記~ノブナガくんと私~』(講談社)が原作。永瀬演じる主人公・織田信長など、“戦国武将のクローン高校生”が集まる学校が舞台のコメディで、「おバカなノリが、ネット上でウケそう」(同)という。
果たして、7月期ドラマはどれだけ前評判通りとなるのか――その行方を追っていきたい。