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『ザ・ノンフィクション』大卒22歳で芸妓を目指す「泣き虫舞妓物語2022 ~夢と希望と涙の行方~ 後編」

 日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。7月17日の放送は「泣き虫舞妓物語2022 ~夢と希望と涙の行方~ 後編」。

あらすじ

 京都にあるお茶屋(芸妓、舞妓を呼び客に飲食をさせる店)で置屋(芸妓、舞妓が所属する店)の「大文字」に、新型コロナウイルスの流行から2度目の春となる2021年3月、大卒の新人、彩音が入る。

 一般的には、中学を卒業後、舞妓として5年ほど踊り、三味線、鳴り物(打楽器)、お茶などの芸事を磨いてから晴れて芸妓となる。大文字で大卒の新人が入ったのは始めてだという。年齢的に彩音は舞妓にはなれず、最初から芸妓を目指すようだ。なお、衿の色は舞妓の場合赤、芸妓は白となっている。

 彩音は中学校を卒業した時点で舞妓になりたかったが、言い出せなかったという。大学では日本文化を学び、日本舞踊のクラブに所属し、夢を諦めきれず大文字の門を叩く。彩音は真面目に稽古に励み、無事、芸妓となる。

 彩音には年下の先輩がいる。17年から大文字で舞妓として修業をしてきた、舞妓4年目で20歳の寿仁葉だ。『ザ・ノンフィクション』の舞妓シリーズを見て、大文字に直接電話をかけた寿仁葉だったが、舞妓2年目を過ぎたころから、なかなか眠れない状態になり、昼夜が逆転。遅刻をしたり、稽古に身の入らない日々がずっと続いていたようだ。

 元芸妓の先輩・理音は、寿仁葉に(舞妓を)辞めたいのか尋ね、寿仁葉は「ちょっとだけ」と涙ながらに答えていた。理音は「後悔しない辞め方をしてほしい。(中略)私はやり切ったと思ってやめたから」と伝えた。

 その後、稽古に真面目な後輩、彩音が入っても寿仁葉のやる気に火はつかず、朝起きられない生活が続くようなら芸妓にならず辞めたほうがいい、と女将から最後通告を受け、長崎の実家に一度帰省する。そして、京都に戻った寿仁葉は仕事を続けると決断。無事、芸妓となった。

 寿仁葉の日々の生活を誰より把握しているであろう女将は、寿仁葉について「そんな手の平を返すように(今までの昼夜逆転の生活を変えるのは)完全には無理どっしゃろけど、そういう努力をちょっと買うて、清水の舞台から降りました」と親心を話していた。なお女将はジェネレーションギャップや体調のこともあり、寿仁葉と彩音が、自分が育てる最後の芸妓になると話していた。

『ザ・ノンフィクション』22歳から芸妓になれるのか?

 通常、芸妓は5年程度の舞妓として修業を積んでなるものだが、22歳の彩音は舞妓になれず、異例の芸妓からのデビューとなった。修行態度はまじめで、女将は彩音に対し、コロナ禍で宴席の場数は踏めない点は心配しているものの、技術的な面は心配していない、と信頼を寄せていた。

 何事も早く始めた方が有利だし、特に「若さゆえの可憐さ」がモノを言う業界の場合はさらにだろう。22歳という年齢は一般社会では「新人」だが、花街の世界では舞妓になることも許されないベテラン枠だ。

 贔屓客の立場で考えれば、華憐な舞妓のころから見てきた芸妓には「育てた」感も湧き、思い入れもあるだろう。遅いスタートとなった彩音には芸妓として不利な点もたくさんあるのだと察する。

 一方で、舞妓の夢を中学卒業時点から22歳までくすぶらせ続けた彩音には、それだけの覚悟もあり、真面目な修行態度にもつながっているようにも見えた。

 一方の寿仁葉は、15歳で花街に飛び込む決断ができたのだが、当初のやる気は1年で底をついてしまっていた。やる気が出ない原因は、寿仁葉自身もわからずじまいのようだった。

 よく、「金で買えないもの」として、健康や愛情などが挙げられる。しかし、10代という、ほっといてもテンションがほとばしるような時期に、「やる気スイッチ」を探すことに数年を費やすことになってしまった寿仁葉を見ると、金で買えないものに「やる気(意欲)」もあるように思う。

 やる気がなければ何もできないし、そして一度失ったやる気を再点火させる、というのは至難の業だろう。「やる気がない」というのは軽く見られがちだが、これは「なんだか今日はやる気が出ない」と「慢性的にやる気がない」が混在していて、それが問題をややこしくしているように思う。前者は単に気分の問題だが、後者は「心が死んでいる」とも言え、結構な危機的状況だ。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は「片付けられない部屋 ~ゴミの中に埋もれた思い出~」。親の夢でもあった研究者を目指すため、猛勉強の末に東大に現役合格した少年、みずき。そのころから自分の見た目に違和感を持つようになり……。

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