下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
またしてもコロナ感染が拡大の一途を辿っている。少し収まったと思ったら、再びのぶり返し。今や芸能人やスポーツ選手、政治家の大量感染も大したニュースにさえならない。そして、お盆や夏休みの観光、旅行情報があふれ返る。慣れか、我慢の限界か、やけくそなのか――。政府、行政の無策も相変わらずで――。
第611回(7/21〜7/26発売号より)
1位「雅子さま悼まれて切望『安倍国葬』急転内幕」(「女性セブン」8月4日号)
参照「眞子さん誤算『味方だった安倍さんが…』NYの消沈弔問記帳」(「女性自身」8月9日号)
2位「シリーズ人間 泉ピン子 死ぬまで明るく、意地悪く!」(「女性自身」8月9日号)
3位「桜田淳子 頼みの恩人も“がん急逝”で潰えた『芸能界復帰ライブ』」(「女性自身」8月9日号)
にわかには信じがたい一方、決して荒唐無稽ではないと思わせる危うさ。そして、こうした情報が流布されることこそ、安倍晋三元首相の野望が死して成就したのか! とも思える情報だ。
現在でも賛否両論の声が渦巻く安倍元首相の国葬だが、「女性セブン」が仰天スクープ情報を掲載している。安倍元首相の国葬をめぐっては、当初から反対の声もあり慎重論が大きかったが、しかし岸田文雄首相は7月14日、安倍元首相の国葬を行う方針を発表した。
だが「セブン」によると、この岸田決定に関しては、あるやんごとなき人の意思が関わっているというのだ。それが皇后である雅子さま。急転直下、岸田首相が国葬を決定した理由は、雅子さまの強い追悼の気持ち、意向が大きく影響したというのだ。記事にはこうある。
「皇后の雅子さまが、安倍元総理の突然の死に大きなショックを受けられ、悼まれるお気持ちがとても強いそうです。遺族の気持ちを案じつつ、しっかりとした形で送りたいと願われているという情報が、政府サイドに伝わったというのです」
さらに記事ではその背景として、雅子さまの実父・小和田恆元外務省事務次官と、安倍元首相の亡父・安倍晋太郎氏との親しい関係なども解説されている。
いやいや、ホンマかいな。雅子さまが安倍元首相を悼む気持ちが国葬を決定させた――。にわかには信じがたい情報。というのも、安倍元首相と皇室とのこれまでの関係は一筋縄ではいかない、多くの問題が横たわっているから。そして安倍元首相ほど、皇室を政治利用しようとした首相はいなかったから。
そもそも第二次安倍政権発足以来、現在の上皇である明仁天皇(当時)と安倍首相(当時)の関係は非常に危ういものだった。特に憲法改正や沖縄に対する思いがまったく違った。“護憲”を大切にする明仁天皇は、時に安倍首相へ暗に懸念を表明し、安倍首相サイドは、その意思を封じ込めようとプレッシャーをかける。さらに「生前退位」に難色を示し、問題を棚上げした安倍政権に不信感を持っていたとも伝えられる。
一方、生前退位が決まった前後から安倍首相は、今度は当時の皇太子であり、現在の天皇陛下と雅子さまに急接近していった。新天皇即位は皇室との関係を修復するまたとないタイミングと見て取ったといわれ、また雅子さま自身、外務省出身で政治的には安倍首相の考えに近い可能性も指摘されていた。こうした振る舞いは “安倍のための皇室”をつくろうとしていると一部で指摘されたほどだ。
そんな安倍元首相の死。そして皇后である雅子さまが国葬を切望しているという情報。その真偽はさておき、こうした情報が流布されること自体、安倍元首相が望んだ“安倍のための皇室”であり、皇室利用の真骨頂ではないのか。
そして雅子さまだけでなく、眞子さんも安倍元首相を“恩人”だと思っているとの記事さえ存在した。それを報じた「女性自身」によると、2017年の眞子さんと小室圭さんとの婚約内定で当時の安倍首相は祝福コメントを発表したが、このことは眞子さんにとって安倍元首相が“応援してくださった恩人”であるという理屈らしい。
さらに、安倍元首相は女性宮家創設に反対し続けてきた人物。しかし、こうした反対がなく女性宮家が実現していたら、眞子さんは結婚しても皇室に残ることになり、現在のNYの自由な生活はなかった。よって眞子さんにとって安倍元首相は“味方”という論理らしい。
もちろんこれらは眞子さんというより、「自身」の“経験上の臆測”や“周辺取材からの結論”だろうが、いずれにしても安倍元首相が皇室関係者から、感謝されたり、深く悼まれたりしているという物語がクローズアップされることは、安倍元首相にとっては本望には違いないだろう。
ある意味、すごい人物であった。
「女性自身」の名物ルポ「シリーズ人間」が面白すぎる。今回取り上げられた人物は泉ピン子、74歳。これまでの「シリーズ人間」はその名の通り、ヒューマンストーリーとか、波瀾万丈の人生ルポなどが圧倒的に多いが、しかし今回はまったく異質、異例のもの、“吠えるピン子バージョン”になっているのだから。
まず、ピン子がちょっと前に世間を騒がせた脚本家・故橋田壽賀子の遺骨問題について。恩師でもある橋田の遺骨をピン子が散骨したとの美談について、「週刊新潮」(新潮社)で橋田家の関係者が「生前の壽賀子さんから、散骨を望んでいると聞かされた人はいない」「遺骨の全ては現在、ご両親が眠る四国の橋田家の菩提寺に納められているので、そもそもピン子さんは遺骨を持っていない」などと告発した問題だが、これに対し、真っ向反論したのだ。
「だって葬儀後のお骨上げの場で、私、みんなの前で承諾を得ていただいたんですから」
だが、これはあくまで当事者であるピン子本人の証言。それをどう証明するのか? と思ったら、ピン子はすかさずインタビューを中断し、『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)のディレクターに電話、そしてディレクターの荒井光明氏が実名でこう証言したのだ。
「お骨上げでは、30人弱の方がいらしたでしょうか。ピン子さんが泣きながら、大きな声で『私、先生のお骨をいただきたいんです』と満座の前で言うと、全員がうなずかれるのを確認してから、先生のお骨を少しばかり持っていかれました。その場で、お口に入れたりもされていましたよ」
インタビュー中でのこの展開、大変面白い。しかも詳細である。荒井氏が嘘をついているとは思えないので、このピン子側の反論に「週刊新潮」がどう反論するのかも興味深いが、さらにインタビューは、やかり世間をざわつかせている、えなりかずきとの不仲説へ。
ピン子は「子供のように思った時期もあったけど、今は向こうも、いい大人」と一刀両断。かずきだけでなく、役者仲間の電話番号もほとんど知らないことも明かしている。
そして橋田の死をきっかけに深く考えるようになった終活について、そして死後のことを託したTBSアナウンサー・安住紳一郎とのエピソードもふんだんに語られる。
いやぁー、なかなか深いぞピン子。そして元気だ! さらにちょっと風変わりな「シリーズ人間」も、なかなか読み応えがあった。
統一教会問題で掘り返される桜田淳子の存在
安倍晋三元首相の襲撃死でクローズアップされている統一教会。そして案の定、掘り返されたのが1992年に合同結婚式に参加し、世間を震撼させた桜田淳子の存在だ。多くのメディが桜田との接触を図り失敗している中、「女性自身」が合同結婚式で結ばれた夫を直撃しているが、そのやりとりが興味深い。
――安倍元首相が亡くなりましたが、統一教会でのご活躍についてお話を伺えないでしょうか?
「『女性自身』さんでしたら、記者の○○さんとしか話しません」
おおぉおーー。当時、桜田夫に食い込んでいた記者が「自身」にいた。この記者は現在は編集部に在籍していないらしいが、当時は、取材対象者に深く食い込んでいた。そして30年たっても、取材対象者はその名前を忘れず、瞬間的に口にした。記者冥利というものだろう。この記者に改めて桜田夫を直撃させてみたらいかがか。