今年6月、カタールの元首相から現金で300万ユーロ(約4億8,000万円)を受け取っていたことをスクープされたチャールズ皇太子が、国際テロ組織アルカイダの最高指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者の親族からも多額の寄付金を受け取っていたと英紙が報道。相次ぐスキャンダルに、イギリスでは「チャールズは次期国王にはふさわしくない」という声が高まっている。
英紙「サンデー・タイムズ」によると、チャールズ皇太子がオサマの異母兄から多額の寄付金を受け取ったのは、オサマが米海軍特殊部隊に殺害された2年後の2013年。サウジアラビア大手建築会社のビンラディン・グループの会長を務めるバクル・ビンラディンと私的な会談をした後に、バクルから皇太子の慈善団体プリンス・オブ・ウェールズ慈善基金(以下、PWCF)に100万ポンド(約1億6,000万円)が寄付されたという。
チャールズ皇太子は、01年6月にサウジアラビアの王族カリッド・ビン・ファイサル・アル・サウードからの紹介でバクルと面識を持つようになり、アメリカ同時多発テロが発生から4週間後の01年10月にも再会。皇太子の住居であるハイグローヴ・ハウスで食事をしながらイスラム教信仰について意見を交わす仲だったと伝えられている。
皇太子の公邸クラレンス・ハウスの広報は、寄付の受け取りは皇太子ではなくPWCFの理事が決定したものだと反論。PWCFの会長は「寄付について、チャールズ皇太子は関与していない」「信用調査を行った上で受け取った」と説明し、ビンラディン・グループを運営するビンラディン一族が94年に「オサマとは絶縁する」と公的に表明していることから、「1人の罪が一族全員の罪になるべきではない」と主張した。
これらを報じた電子版「デイリー・メール」には、900近く(8月1日時点)ものコメントが寄せられ、「何らかの見返りがあるから寄付したのだろう」と疑う声が大量に書き込まれている。
「何を見返りに得たのかを報道すべきだ」「“チャールズ皇太子の浅はかな判断”で片づけてはいけない。これは犯罪的行為だ」「正しい判断ができないチャールズを次期国王にすべきではない」と批判する声、「はいはい。皇太子は何も知らない知らない」「アンタッチャブルな王族だからね。将来の王を法的に罰するなんてことないだろう」「ヘンリー王子と似たもの親子だ。汚く金稼ぎする」などと、あきれ返るコメントであふれ返っている。
一方で、「チャリティに使ってもらおうと寄付されたのだからよいのでは?」「ビンラディン一族は何も悪いことをしていないのに、気の毒」など、メディアが大げさに騒いでいるだけだという意見も見られる。
アメリカのニュースサイト「FOXニュース」のコメント欄には、「寄付じゃない。コネを買ったんだ」「チャールズは鈍感で無神経すぎる。アンドリュー王子といい、孫のヘンリー王子といい、女王が気の毒だ」などと、相次ぐ英王室のスキャンダルにうんざりだという声が多く書き込まれていた。
チャールズ皇太子は6月に、カタールの元首相ハマド・ビン・ジャーシム・ビン・ジャブル・サーニから4年間にわたり300万ユーロ(約4億8,000万円)受け取っていたことをすっぱ抜かれたばかり。
同じくPWCFへの寄付金だと説明されたが、札束は老舗百貨店の買い物袋などに入れて手渡されていたと報じられ「まるでマフィアか麻薬王だ」と大炎上。警察と慈善団体を管理する慈善事業委員会による調査が始まったところだった。
昨年も、チャールズ皇太子に長年仕えた側近が、皇太子の慈善団体に寄付する見返りにナイトの称号を授与するとサウジアラビアの実業家に約束し、200万ドル(約2億6,000万円)の寄付を得ていたと明るみに。名誉勲章と市民権を授与したことが報じられた。
この側近は辞任し、「チャールズ皇太子は関与していない」と発表されたが、皇太子が実業家に勲章を授けたことが王室の公式記録「王室行事日報」には記載されていないため、「皇太子が何も知らなかったはずはない」「同罪だ」と強い批判を受けた。
チャールズ皇太子の相次ぐスキャンダルで、イギリス国内では「権力を乱用して腐敗した王室」と批判する声が噴出。年内に発売予定のヘンリー王子の暴露本で、これを上回る王室の悪が暴かれる可能性大だと注目が集まっている。