2022年夏の各局ドラマが世帯視聴率で苦戦する中、唯一2ケタ台をキープしていた綾野剛主演の『オールドルーキー』(TBS系)が、8月7日放送の第6話で、世帯平均視聴率9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)に転落した。
これで、今期のゴールデン/プライム帯ドラマはすべて1ケタ落ちという異常事態になったが、厳しい状況の中から“上昇”の気配を見せているドラマが3作品あるという。1本目は、竹内涼真主演の『六本木クラス』(テレビ朝日系)だ。
同作は、大ヒット韓国ドラマ『梨泰院クラス』(Netflix)の日本版リメーク。韓国版は、主人公のパク・セロイ(パク・ソジュン)が、父の死に関与しながらも、隠ぺいを図った飲食業界トップの富豪一家「長家(チャンガ)グループ」への復讐心を燃やしつつ、自身が開いた居酒屋「タンバム」での成功を目指し、奮闘するサクセスストーリー。
一方、日本版では竹内が主人公・宮部新を演じ、六本木の居酒屋「二代目みやべ」の店長として、「長屋ホールディングス」とビジネスバトルを繰り広げる。なお、同ドラマにはそのほか、新木優子や欅坂46(グループは現在「櫻坂46」に改名)出身の平手友梨奈、早乙女太一、香川照之などが出演している。
「初回から9.6%で1ケタ発進となった『六本木クラス』は、その後8.6%(第2話)、7.0%(第3話)と後退していましたが、第4話で8.1%をマークすると、最新の第5話で9.1%まで回復。ネット上では当初『本家と比べると、日本の映像はチープに見える』『展開が早すぎて、ストーリーが軽く感じられる』などと不満が多かったのですが、最近は『テンポが良くて見やすい』『回を重ねるごとに面白くなってきたし、出演者たちの演技力にも惹きつけられてる』といった声が増えている印象です」(テレビ誌ライター)
『石子と羽男』は赤楚衛二人気で視聴率急上昇!?
V字回復の兆しを見せている2本目の作品は、有村架純と中村倫也のダブル主演作『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』(TBS系)。初回6.9%でスタートを切ったのち、第2話も6.9%、第3話は6.8%と微減したが、最新の第4話で8.4%まで急上昇した。
「同作は、司法試験に4回落ちた東大卒のパラリーガル“石子”こと石田硝子(有村)と、たった1回で試験に受かった高卒弁護士“羽男”こと羽根岡佳男(中村)のコンビが、“誰にでも起こりうる珍トラブル”に挑む中で、自らのコンプレックスと向き合い、それぞれ成長していく姿が描かれます。コメディタッチの作品ですが、ネット上では当初『役者さんたちがスベッているように見える』『ストーリーは面白いけど、コメディ要素には面白さを感じない』などと苦言を呈されていました」(スポーツ紙記者)
しかし、ここ最近、石子や羽男が勤務する「潮法律事務所」のアルバイト・大庭蒼生役の赤楚衛二が、ネット上で話題を呼んでいるという。
「赤楚といえば、17年9月~18年8月に放送された特撮番組『仮面ライダービルド』(テレビ朝日系)で注目を浴び、20年10月期に主演したBLドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(テレビ東京系)は映画化に至るほど大ヒット。ファンが激増中の若手俳優とあって、『石子と羽男』にも『赤楚くん目当てで見てます!』という視聴者が少なくありません。彼が演じる大庭は、高校の先輩でもある石子に片思いしている役どころなので、『大庭くんが可愛すぎて、毎週このドラマを見るのが楽しみ』『大庭くんを応援したい!』といった盛り上がりも見せています」(同)
視聴率のV字回復が見込めそうな夏ドラマ3本目は、林遣都と仲野太賀のダブル主演作『初恋の悪魔』(日本テレビ系)。同作は、停職処分中の刑事で“推理マニア”の鹿浜鈴之介(林)や総務課勤務の馬淵悠日(仲野)のほか、生活安全課・摘木星砂(松岡茉優)、会計課・小鳥琉夏(柄本佑)という警察署に勤務しながらも捜査権のないメンバーたちが、難事件を解決していくミステリアス・コメディで、初回は6.6%を記録していた。
「ところが、第2話で一気に3.9%まで下落し、第3話も3.8%とさらに低い数字を刻んでしまいました。通常、テレビ業界では視聴率5%台になると“打ち切り圏内”といわれますから、『初恋の悪魔』は早々に危機的状況に陥ったわけです」(テレビ局関係者)
ネット上では、放送前から「好きな役者さんばかりだけど、みんな脇役で輝くイメージ」「演技力で勝負ってことなんだろうけど、大丈夫か?」などと心配されており、いざ放送が始まると「全体的に地味な雰囲気になってしまっていて、ワクワク感がない」「演技も舞台っぽくて、ドラマで見るにはなんか疲れる……」という指摘が散見された。
「しかし、話が進むうちに『考察したくなる展開が多くて、だんだん面白くなってきた』『役者さんたちの演技にも味がある』といった声が増え、最新の第4話は5.2%をマークしました。ここからさらに視聴率が上昇するといいのですが」(同)
この3作品のうち、見事な上昇ラインを描いて、今期のヒット作となるドラマはあるのだろうか?