今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
屋根の修復工事もヤクザの守備範囲だった
台風シーズンですね。各地の被害が伝えられています。
ちょっと前までは、屋根が飛んだ家に応急処置としてブルーシートをかけたり、雨が落ち着いたら修復工事をしたりするのもヤクザの守備範囲だったのですが、こうした活動は表立ってはできなくなりました。昔を知っている身としては寂しいものがあります。
皆様、ご無事で。
五代目工藤會の本部跡地は福祉施設に
この夏で山口組は分裂から7年となりましたが、9月に入って六代目山口組を離脱した神戸山口組と池田組、絆會が「反・六代目山口組連合」ともいうべき三派連合を結成して話題になっていますね。
とはいえ、以前のような「街なかの大抗争」にはならないと思います。「市民の皆様のご安全のため」というよりは、誰も長い懲役に行きたくないからです。特に当代の懲役は痛手となります。ピラミッド型組織なので、トップダウンの意思決定ができないと大変なのです。
トップの不在で思い出されるのは、五代目工藤會の本部です。
すでに解体されている本部の跡地利用について、福祉関係の施設の建設が進められていることが報道されています。地元の北九州市が窓口となって、費用を捻出するためのクラウドファンディングも行われているようです。
福祉施設運営を目指すNPOは、以前からホームレスの支援などで知られる団体で、このプロジェクトが「暴力団事務所の跡地利用」の成功例として注目されています。最近は自治体が「暴力団事務所」を買い取って一般に売却する例も増えていますが、このNPOのように評価されるのは珍しいですよね。
「銃弾痕」がある物件の値段は?
そして、ワタクシ的に気になっているのは、尼崎市の物件です。組事務所ではなく幹部さんのご自宅だそうです。
2022年5月から買受申込を受け付けていますが、10月末の締切を前にまだ売れていないようです。尼崎市の公式サイトによると、棟続きの3階建てで約73平米、土地と建物を合わせて2,434万円だそうです。報道では、尼崎市はこれを1,800万円で買っているらしく、500万円も上乗せしてますね。アコギと思わないでもないですね。
とはいえ、知り合いの不動産屋さんによると「かなり割安」らしいです。お値段もですが、この物件が話題なのは「事故物件としてすごい」から。尼崎市のサイトにある「注意事項」がゴツいんですよ。
まず20年10月に銃撃を受けているので、玄関ドアに「銃弾痕」があること。これはかなり引きますよね。カタギさんはもちろんですが、不良も手は出したくないでしょう。
例えば昨年3月には、運送会社の社員寮のシャッターに銃弾が撃ち込まれましたが、報道によれば、この社員寮は10年近く前、神戸山口組系組織の組事務所だったそうです。
犯人側の単なるリサーチ不足なのか、今も社員寮に関係者がいたのかはわかりませんが、こういうこともありますからね。
さらに雨漏り、床のきしみがけっこうある上に、お隣さんとの境界線もあいまい。増改築も繰り返されていて、登記簿と整合しないところや現行の建築基準法に抵触する可能性のあるところも多いようです。
あとはアスベスト調査もやってないんですね。こういうのを全部含めて「あとは買った人ヨロシク」ということです。これって、むしろ銃弾痕よりめんどくさいですよね。10月までに買い手がつかなかったから、どうなるんですかね。
ちなみに自殺や殺人事件などがあった物件については売り手に説明義務がありますが、単に「ヤクザが住んでいた」という事実に関する説明義務はないらしいです。いままでそういう裁判がなかったからだけじゃないですかね。
でも、「いま現在も近所に暴力団事務所がある物件」というのは、「前に自殺や殺人があった物件」 とはちょっと違いますよ。いわゆる「ワケあり物件」が、「特に何かがあるというわけではないが、心理的に気持ち悪い」という話であるのに対して、「ご近所のヤクザ事務所」は、誤爆や流れ弾という実害の問題なのです。
もちろん、いまどきは大抗争に至るようなことはまずないと思いますが、幽霊より人間のほうがコワいということです。