2022年4月期の連続ドラマ(民放4局、午後8~10時台)が、続々と最終回を迎えた。視聴率ランキングのトップに立ったのは、全話世帯平均で10.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した綾野剛主演の日曜劇場『オールドルーキー』(TBS系)だった。
※以下、ドラマのネタバレを含みます。
放送前は、暴露系YouTuberの“ガーシー”こと東谷義和氏が綾野の私生活に関する暴露を連発していたことから、放送自体が危ぶまれていた同作。
しかし、フタを開けてみれば視聴率トップとなり、視聴者からは「やっぱり、綾野剛の演技は見応えがある」「脚本はご都合主義が気になったけど、綾野剛の演技は良かった」と綾野を評価する声が目立った。
とはいえ、日曜劇場は前クールの嵐・二宮和也主演『マイファミリー』が全話平均12.9%、前々クールの阿部寛主演『DCU』が14.4%であったことを思うと、寂しい印象もある。
また、主要キャラであるスポーツマネジメント会社社長・高柳雅史(反町隆史)について、「高柳社長のキャラが最後までブレブレだった」「最終回を見て、社長のことがますますわからなくなった」といった声が続出。視聴者にモヤモヤを残してしまったようだ。
全話平均のベスト2は、東山紀之主演のドラマシリーズ『刑事7人』(テレビ朝日系)の第8シーズン。第1話で降板した倉科カナとほぼ入れ替わる形でジャニーズWEST・小瀧望が加入したが、小瀧演じる新人刑事・坂下路敏(さかした・ろびん)の“上から目線”の言動が「先輩刑事に対して偉そうにしていられる神経がわからない」「ロビンのキャラが、全然好きになれない」と最後まで物議を醸すことに。
加えて、「ロビンは来期も続投なんですかね……」「第9シーズンがあるとしたら、ロビンくんはいないほうがいいわ」と不要論を訴える視聴者も。ただ、ジャニーズファンの中には「ジャニタレが嫌われ役を任せられたってことは、のんちゃん(小瀧の愛称)の演技力が認められてるからだと思う」「みんながロビンをウザがってるのって、それだけのんちゃんの演技が役になりきってるってことじゃない?」とポジティブに受け取る声もあるようだ。
ベスト3は、竹内涼真が主演を務めた、韓国ドラマ『梨泰院クラス』の日本リメーク版『六本木クラス』(TBS系)で、全話平均9.4%。
第7話放送後の8月24日、主人公の宿敵・長屋茂を演じる香川照之の“性加害疑惑”が週刊誌に報じられ、ネット上では「もう香川の顔を見たくない」「降板してほしい」といった批判的な訴えも少なくなかった。しかし、この報道後の第8話以降、視聴率は上昇。香川の報道がドラマのPRにつながった可能性もありそうだ。
また、ドラマ開始当初は「『梨泰院クラス』の完コピでがっかり」「オリジナル要素がほとんどない」という感想も目立っていた。
だが実際は、韓国版の最終回に見られたチャン・デヒ(ユ・ジェミョン)の土下座シーンが、日本版では長屋茂(香川)の“土下座未遂”シーンに変更されていたほか、韓国版で描かれていたことから多くの平手友梨奈ファンが覚悟していたと思われる“宮部新(竹内)と麻宮葵(平手)のキスシーン”が描かれないといったオリジナル展開も。
しかし、それについても「土下座もキスもなくて、物足りない」「土下座がなかったのは、香川がやらかしたから?」「平手はキスシーンNG? だとしたら女優としてどうなの?」などと物議を醸しているようだ。
Hey!Say!JUMP・中島裕翔『純愛ディソナンス』、「木曜劇場」史上ワースト!
残念ながらワースト1となったのは、Hey!Say!JUMP・中島裕翔が主演を務めた木曜劇場『純愛ディソナンス』(フジテレビ系)で、全話平均3.9%。第4話以降、3%台が最終回まで続いた結果、同枠歴代ワーストであった19年10月期の新木優子&高良健吾ダブル主演『モトカレマニア』(全話平均4.4%)を0.5ポイント下回ってしまった。
序盤では、主人公・新田正樹の大学の先輩・小坂由希乃(筧美和子)が失踪し、遺体で発見されるといったミステリアスな展開や、ヒロイン・和泉冴(吉川愛)の毒親役の富田靖子による“怪演”など見どころも多く、「先の展開が気になる」「先が見えなくてワクワクさせられるドラマ」と期待する視聴者も多く見られた。
しかし、“5年後”の世界に移った第4話以降は、「5年後になってから明らかにつまらない」「途中から何がしたいのかわからない。恋愛モノなんだか復讐劇なんだか……」などと酷評が続出。そういった不満が、数字に表れたのかもしれない。
King&Prince・永瀬廉『新・信長公記』で全話平均4.4%、ワースト2
ワースト2は、King&Prince・永瀬廉主演ドラマ『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)で、全話平均4.4%。日テレが大プッシュするジャニーズドラマとあって、小澤征悦、三浦翔平、満島真之介、濱田岳……と、永瀬の脇には主役級の役者が勢ぞろいするも、第3話以降は3~4%台が続き、大爆死状態に。
最終回では、織田信長(永瀬)の目が赤く光り、豹変するシーンがあり、ネット上では「永瀬くんの表情の迫力にびっくりした」「永瀬廉、最初より演技が上達してない?」などと、役者としての成長を喜ぶファンも見られる。
なお、2003年以降の日テレのプライム帯ドラマの歴代ワーストは、真中瞳主演『メッセージ~言葉が、裏切っていく~』(03年)だったが、同作の全話平均4.4%に『新・信長公記』が並ぶことになってしまった。
ワースト3は、林遣都と仲野太賀がダブル主演を務めた『初恋の悪魔』(同)で、全話平均4.7%。『カルテット』(TBS系)『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)を手がける人気脚本家・坂元裕二氏によるオリジナル作品とあって注目されたが、開始数話で「脚本のクセが強くて苦手」「セリフが聞き取りづらい」「今のところ、面白さがわからない」などの不満がネット上に並んでいたことから、脱落者が続出した可能性も……。
一方で、最終回まで見た視聴者からは、「脚本が優秀で、役者の力もすごい」「こんなに余韻が残る奥深いドラマは初めて」「秀逸なドラマ。ぜひ映画版が見たい」などと絶賛する声も相次いでいる。視聴者の好みを大きく分けた、挑戦的なドラマだったともいえそうだ。
そんな日テレは、今期、もっとも数字が取れた橋本愛主演『家庭教師のトラコ』でさえ全話平均5.8%と、全滅状態。4月クールでも、やはりもっとも数字が高かった今田美桜主演『悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~』でさえ7.5%と振るっておらず、このところ不調が続いているようだ。
特段のヒット作もなく、ジャニーズドラマの最下位争いばかりが注目された印象の夏ドラマ。10月期では、7月期以上に数多くのジャニーズドラマがスタートするが、果たして……。
1位『オールドルーキー』(TBS系、日曜午後9時) 10.4%
2位『刑事7人』(テレビ朝日系、水曜午後9時) 10.1%
3位『六本木クラス』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 9.4%
4位『競争の番人』(フジテレビ系、月曜午後9時) 8.9%
同率4位『遺留捜査』(テレビ朝日系、木曜午後8時) 8.9%
6位『ユニコーンに乗って』(TBS系、火曜午後10時) 8.0%
7位『石子と羽男-そんなコトで訴えます?-』(TBS系、金曜午後10時) 7.3%
8位『魔法のリノベ』(フジテレビ系、月曜午後10時) 6.4%
9位『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系、水曜午後10時) 5.8%
10位『テッパチ!』(フジテレビ系、水曜午後10時) 4.8%
11位『初恋の悪魔』(日本テレビ系、土曜午後10時) 4.7%
12位『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系、日曜午後10時30分) 4.4%
13位『純愛ディソナンス』(フジテレビ系、木曜午後10時) 3.9%
※平均視聴率は単純平均視聴率(全話合計÷放送回数)。小数点第2位以下を四捨五入。