今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。
ヤクザも国葬は休戦
安倍元総理の国葬は、反対の声もありながら無事に終わりましたね。報道では「警察に恥をかかせないために」六代目山口組トップから自粛命令が出ていたとありましたが、どうなんでしょうか。
ほぼ例外なく、ヤクザは自民党と国家イベントが好きなので、みんな協力的ですよ。これまでも1964年の東京オリンピックの時に外出を控えたり、あの史上最大のヤクザ抗争「山一抗争」時にも、学生の国際総合競技大会「夏季ユニバーシアード神戸大会」(1985年8月24日〜9月4日)の期間は「休戦」したりしてました。いわゆる「ユニバーシアード休戦」ですね。
なので、今回もわりと純粋に「安倍さんを静かに送ってやろうじゃねえか」と思っていた気がします。
最近はヤクザより警察の不祥事のほうが目立つ
ヤクザと警察の関係でいうと、最近は警察不祥事のほうが目立つ気がします。不祥事自体は昔からあったんですが、なぜか積極的に報道されてますよね。
たとえば福岡県警の巡査長は「俺、捜査情報を流せます」とお小遣い目当てでヤクザにもちかけて、情報漏えいして起訴されています。
かばうわけではありませんが、これはどこでも聞く話です。「情報流せます」と持ちかける「相手」も先輩からの申し送りです。まあ、この方はやりすぎたんでしょうかね。
警察官は、人生経験もあまりない、若いうちから拳銃を持てて社会的信用もありますから、なんかつい上から目線になるのかもしれません。
この9月には、警視庁新宿署の留置場に勾留されていた20代の男性が「パンイチ」で拘束され、トイレにも行かせてもらえなかったとして、東京都に慰謝料など165万円を求める裁判を東京地裁に起こしています。
報道によりますと、原告男性は勾留中だった今年7月、「保護室」と呼ばれる別室に連れていかれてパンイチにされた上、「両手首にベルト手錠をきつく巻き付け、捕縄(ほじょう)で両腕と腰を固定し、さらに背後から男性を捕縄で吊り下げる体勢をとらせた。捕縄が身体に食い込んだ状態で背中も捕縄で縛った。両足首も縛られ、寝転がされた」そうです。見たことないですが、SM系AVですか。もちろんトイレは「垂れ流し」です。
こんなことをされた理由は、当時同房の男性が39度近い熱を出したので「毛布を貸してあげて」と言ったから、だそうです。このコロナ禍で高熱者放置もなんだかなですが、さらに新宿署側には留置場内を録画した動画が「人為的ミス」(=録画ボタン押し忘れ)で「存在しない」そうで、いろいろ闇が深いんですよ。
この男性が起こした裁判は民事の賠償請求ですが、公務員がこういうことをすると刑事裁判では「特別公務員暴行陵虐罪」に問われることになります。刑法第195条では「裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者が、その職務を行うに当たり、被告人、被疑者その他の者に対して暴行又は陵辱若しくは加虐の行為をしたときは、7年以下の懲役又は禁錮に処する」としています。
懲役と禁錮刑はこれからなくなりますが、まあそんなところですね。ちなみに暴行罪(第208条)は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金」なので、それに比べてかなり重い印象がありますね。
この舌をかみそうな特別公務員暴行陵虐罪は実はけっこう報道されていて、最近では、警視庁の元警部さんが懲役2年の実刑判決を受けています。
現役時代からコワモテで薬物捜査では有名な方だったそうですが、警視庁本部で薬物依存の相談に乗っていた女性の胸を触り、裸を撮影したそうです。絶対余罪ぼろぼろありますね。
とはいえ証拠はほとんどなく、携帯電話に女性の画像があったんですね。でも元警部さんは認めず、「職務に従事中に突然衣服を脱いだ女性に写真を撮るよう求められ、断れずに応じた」と言い張ったそうです。もちろん裁判官は信じなかったから実刑になったわけですが、物的証拠がないと、なかなか危ないですよね。
警察官だけでなく刑務官の事件もときどき報道されます。9月には「男性収容者の陰部を触っていた男性看守」が特別公務員暴行陵虐容疑で東京地検に書類送検されています。
依願退職していますし、起訴されるかはわかりませんが、これまたいろんな意味で怖いです。「元・極妻のくせに怖がるな」といわれてしまいそうですが、ヤクザは自分たちが悪いと自覚していて悪いことをするのに対して、警察官や刑務官は「正義」の人たちなのに黒い、というのが問題なんだと思います。