■産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A
Q.出産する施設って、どうやって選んだらいいの?
A.選ぶ余地のないことがほとんどですが、特徴を確認して選びましょう。
1年365日24時間対応しなくてはいけない、訴訟のリスクが高いなどの様々な理由によって、全国的に産婦人科はかなり減少しています。ですから、そもそも地方では出産する施設を選ぶこと自体がなかなか難しいかもしれません。それでも選ぶ余地があれば、どこがいいかよく考えてみてください。ただし、最優先は距離。遠くても1時間以内にたどりつけるようにしましょう。
出産する施設には、大学病院や周産期センター、総合病院、個人病院(単科病院)、助産院があります。それぞれの特色は、以下の通りです。
<大学病院や周産期センター>
医師や看護師、助産師などの職員が多く、最新の医療機器もあり、また様々な科があって連携がとれるため、安全性が高いのが特徴です。ただし、健診時の待ち時間が長かったり、担当医師が変わったりすることがあります。
<総合病院>
様々な科があるので、大学病院や周産期センターと同様に安全性が高いと言えるでしょう。ただし、最近は産婦人科のない総合病院も増えていますので、事前の確認が必要です。
<個人病院>
入院と分娩ができる個人の産婦人科クリニックです。出産だけに特化しているので過ごしやすいという特徴はありますが、帝王切開が必要になったとき、子どもに何かあったときなどの緊急時にどうするのか聞いておきましょう。
<助産院>
助産師だけで運営している分娩施設です。様々な特色を出しているところがありますが、提携している病院や緊急時の対応について確認が必要。助産院での出産は、全体の1%以下と少数です。
特に妊娠の経過や、妊婦さんと胎児に問題がない場合、大学病院でも周産期センターでも、総合病院でも個人病院でもいいでしょう。大病院で出産する場合や里帰り出産の場合、妊婦健診の途中までは個人クリニックで診てもらうことも可能です。
一方、もともと何らかの持病のある妊婦さん、妊娠糖尿病や妊娠高血圧などの妊婦さんは、緊急時に専門医に対応してもらえる大学病院や周産期センターを選びましょう。胎児に何か問題があったりする場合は、小児科(新生児科)やNICUがあるところを選ぶことになります。
また、個人的に助産院での出産を希望している場合は、なるべく緊急対応ができる病院内にある院内助産院がいいでしょう。個人の助産院の場合、緊急時の対応を確認しておく必要があります。そして、自宅やその他の場所での出産は絶対におすすめできません。
これはどうしてかというと、妊娠・出産は、そのときにならないと何が起こるかわからないから。妊娠や出産の経過がどれだけ順病でも、突然大量出血することもあり、そういう緊急時には産婦人科の医師や設備が必要だからです。何よりも大切なのは、母子の命なので、なるべく安全なところを選んでくださいね。
<今回のポイント>
○ 出産はなるべく近くの施設で
○ 持病がある場合は大学病院か周産期センターか総合病院
○ なるべく安全を最優先に
宋美玄『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで! 』(内外出版社)■連載「産婦人科医・宋美玄先生の妊娠・出産Q&A」一覧ページ