人気ラップグループ「ミーゴス」のメンバー、テイクオフが現地時間11月1日午前2時半頃、テキサス州ヒューストンで銃に撃たれ死亡した。享年28歳。メンバーで叔父のクエイヴォ(31)と出席したプライベート・パーティのアフターパーティで、クエイヴォがサイコロゲームをしていた相手と口論になり、何者かが立て続けに発砲。テイクオフは頭部と腹部に被弾し、その場で死亡が確認された。第一報を報じたニュースサイト「TMZ」は顔にぼかしをかけた血の海の中に横たわるテイクオフの動画や写真を掲載。SNSにも事件を撮影した動画が出回っており「規制すべき」だという声が上がっている。
2013年にリリースした「Versace」がラップ界に大きな影響を与え、”三連符フロウ”をはやらせたラップグループとして人気を博したミーゴス。大御所ラッパーのスヌープ・ドッグはこのフロウスタイルを嫌い、「フューチャーかミーゴスか誰がやり始めたのか知らんけど、最近のニガーはみんな同じに聞こえる」とディスっていたが、彼らがフロウの流行を変えたことでラップ界は大いに勢いづいた。
メンバー3人とも親戚関係にあり、共に育ったミーゴスだが、このところオフセット(30)が脱退するという噂が流れており、テイクオフはクエイヴォとデュオとして活動。殺害される前日に新曲「Messy」のMVをリリースしたばかりだった。
テイクオフは、先月受けたポッドキャスト「Big Facts」のインタビューで、オフセットの脱退騒動について、「“神のみぞ知る”だよ。だからめちゃくちゃ祈ってるんだ」と述べ、「時がたてばわかることさ。家族であることは変わらない。何も変わらないんだ」と語っていた。
殺害現場にいたクエイヴォはまだコメントを発表していないが、オフセットはインスタグラムのプロフィール写真をテイクオフの写真に変更。白いハートの絵文字も添えており、これが彼なりの追悼ではないかと、ファンの涙を誘っている。オフセットの妻であるカーディ・Bもコメントは出していないが、自身のTwitterでミーゴスの3人がインタビューを受けている動画に「ファミリー・フォーエバー」という言葉を添えた「Complex Music」の投稿をリツイート。同投稿は2.9万を超える「いいね」を集めている。
ヒップホップ界に強い影響力を持っていたテイクオフの突然の訃報に、セレブたちも大きなショックを受けており、グッチ・メイン、フューチャー、ドレイク、スヌープ・ドッグ、ウータン・クランのRZA、マイク・タイソンなど、大物たちがこぞってSNSに追悼メッセージを投稿。ジャ・ルールはTwitterで「ヒップホップ界は呪われている」ともツイートし、2018年のXXXテンタシオン、19年のニプシー・ハッスル、20年のポップ・スモークに続き、人気ラッパーが銃撃により命を落としたことを嘆いているのだとネット上で話題に。
またほかにも、ヤング・ドルフ、トラブル、PnBロックがこの1年間に殺されており、ラッパーの銃撃死亡事件は非常に多い。デザイナーがインスタグラムのライブ配信で「うんざりだ! もうラップはやめる!」と泣きながら宣言したように、業界内には動揺が広がっている。
さらに、ケイデンス・ウェポンは、テイクオフの訃報をスクープするにあたり、情報提供者が撮影した遺体の動画や写真を掲載した「TMZ」を強く批判。「これが白人のカントリー歌手でも同じことをするだろうか? いや、敬意を表して遺体写真は掲載しないだろう。黒人の遺体や死にかけている姿を撮影し投稿したがる欲求は、どこからくるのだろうか? 黒人の死がこれほどまでに正常化した理由は、ここにあるのではないか」とツイートし、ネット上には共感の声が多数寄せられている。
また、SNS上にはテイクオフが殺害される前後の動画が出回り、現場でクエイヴォが悲痛な叫び声を上げたことから、Twitterでは「hearing Quavo」で動画を検索する人が続出。このワードはトレンド入りし、あまりにも不謹慎だと批判する声が続出した。
テイクオフではなくオフセットの写真を誤って掲載した大手エンタメニュースサイト「E! News」も大炎上。「黒人の命を軽く見ているから、こういうミスを平気でするんだ」といった批判が噴出しており、一部では差別問題にまで発展している状況だ。
物静かな雰囲気を漂わせ、自身も「後方で見守っているタイプ」だと自己分析していたテイクオフ。複数のセクシーラッパーたちと浮名を流したが、未婚で子供もいなかったと伝えられており、あまりにも早すぎる悲劇的な死を嘆く声が上がっている。
なお、犯人はいまだ捕まっておらず、続報が待たれるところだ。