NHK Eテレの人気番組『ねほりんぱほりん』のシーズン7が10月7日よりスタートした。かわいらしいモグラの人形ねほりん(山里亮太)とぱほりん(YOU)が、ブタの人形に扮した“顔出しNG”の訳ありゲストに、聞きにくい話題を“ねほりはほり”聞き出す新感覚トークショーだ。
※本記事は『ねほりんぱほりん』シーズン7「元刑務官」のネタバレを含みます
『ねほりんぱほりん』元刑務官、24時間監視で“シャリ上げ”も見逃さない!
11月11日放送回のテーマは「元刑務官」。昨年10月に放送された「女子刑務所にいた人」回が好評で、視聴者から「刑務官の話も聞きたい!」とリクエストが多かったために実現したそうだ。ゲストとして登場した元刑務官は、10年以上勤務したセイタさん(30代、怖いもの:高い場所)と、およそ15年勤務したショウゴさん(40代、怖いもの:妻)。
セイタさんは、複数の刑務所や拘置所勤務を経験。50人の受刑者の工場作業を1人で監視する「工場担当」も務めた。ショウゴさんは1,000人以上の受刑者がいる刑務所で勤務。現役の暴力団幹部やマフィアのボスとも接してきたそうだ。ブタの人形に扮していても、2人とも百戦錬磨の風格がうかがえる。
刑務官の仕事とは、「1つは受刑者を更生させること。もう1つは刑務所内の秩序を保つこと」(ショウゴさん)だとか。24時間体制で、荒々しい受刑者を24時間監視し、分刻みのスケジュールを監督するなんて、肉体的にも精神的にもハードな仕事である。
セイタさんいわく「例えば食事中なんかだと、ほかの受刑者のごはんを奪う“シャリ上げ”っていうんですけど、そういったことを見つけたりはしますね」とのこと。シャリ上げ、される側は地味にキツイであろう。食事の時間も気を抜けない弱肉強食の世界のようだ。
『ねほりんぱほりん』元刑務官、紐を引っ張り絞首刑の練習も
刑務官は死刑に携わる仕事でもある。執行ボタンは誰が押したかわからないように複数人で押すが、絞首刑のため、最後は人力頼みになる場合も。死刑執行の「練習」もあるという。
セイタさんは「日本は絞首刑なので、丸太で大体60キロくらいのヒト型の人形を作って、首のところに縄をかけて。実際に死刑台から落として……」と詳細に説明。「下まで落ちた時、そのままだと跳びはねてしまうんですね。だから、それを跳びはねさせないように、落ちたら首の紐を持って上に引っ張るっていう役割を練習していました」と明かした。思っていたよりもアナログで驚く。
先日、「死刑のはんこを押すときだけニュースになる地味な役職」と失言し、葉梨康弘法務大臣が辞任するタイムリーな出来事があったばかり。確かに、その発言だけ聞くと「死刑ははんこを押すだけで簡単にできる」というような、誤ったイメージを広めそう。実際に執行に携わっている刑務官の話を聞くと、やはり軽すぎる発言と思える。
「女子刑務所にいた人」回では、入所するときにはお尻の穴まで検査される……という話があった。男性の場合は、お尻の穴に加えて「玉検査」なる検査も存在するそうだ。
「陰部に、水晶のような玉を入れてるんですね」と説明するショウゴさん。ぱほりん(YOU)が、「真珠が入ってるとか、そういうやつじゃなくて?」と聞くと、「そうです。真珠ではないんですが、実際は」と解説。「まあその、行為をするときに女性の人が気持ちがいいらしくて。実際はあんまり気持ちよくないみたいですけども」と、淡々と語っていく。
入所時の「玉検査」と、工場作業中などに突然行われる「抜き打ち玉検査」とがあるそうで、「『みんな出せ~っ』って言って、(陰部を)出させるんですね。それで1個1個見ていくんですけど、裏返してとか」と、くまなく確認するらしい。入所時に玉が2つだった受刑者が、抜き打ち玉検査で3個に増えていたら、それは「所内で入れたというわけです」とのこと。
所内で、玉を……? 1回聞いただけでは意味がわからないが、ショウゴさんによれば「玉を作るんですね。歯ブラシの柄みたいなものを、壁とかでピカピカに磨いて」「部屋で鋭利なもので穴を開けて、自分のところ(陰部)に。それをグッと入れる」のだそうだ。この玉増やし行為は、「自傷行為」と「不正製作」と見なされ、規律違反で懲罰の対象になるという。
一体なんのためにそんなことを!? と皆が抱くであろう疑問に、ショウゴさんは「ヒマつぶしですよね」と回答。人間とは、ヒマだと玉を作って陰部に入れちゃうこともある……と初めて知ることができた。
玉検査などを経てようやく出所しても、「数字としては半数近くが再犯で戻ってきてしまいます」(ショウゴさん)とのこと。番組で紹介された法務省「令和3年版犯罪白書」によれば、出所した受刑者が10年以内に刑事施設に再入所した割合は45.3%。そんな現実に相対する刑務官への尊敬の念が高まる回だった。