Netflixで配信する予定のドキュメンタリー番組をめぐってトラブルになっていると伝えられていたヘンリー王子とメーガン夫人が、同番組の最初の監督と決裂していたことが明らかになった。
ヘンリー王子夫妻は英王室から離脱した数カ月後の2020年夏に、1億5,000万ドル(約210億円)とも報じられている巨額の契約金でNetflixと契約。その後、2人は「メンタルヘルスを軽んじている」「人種差別的」だと王室批判をするようになり、近日中に配信される予定のNetflixのドキュメンタリー番組では、「王室にとって致命的となるような」批判を展開するに違いないと注目が集まっている。
番組の監督を務めるのは、人権活動家でもあった伝説の黒人女性歌手を描いた『ニーナ・シモン〜魂の歌』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー部門にノミネートされた、リズ・ガルバス。メーガン夫人が、米エンタメ誌「Variety」のインタビューで「長年尊敬してきたベテラン監督に、信頼して私たちの物語を託すことができる」と絶賛している女性だが、実はリズはファーストチョイスではなかったというのだ。
米ゴシップ誌「Page Six」によると、当初監督に起用されたのは、昨年Netflixで配信された話題作『大坂なおみ』を手がけた女性監督ギャレット・ブラッドリー。リズ同様、アカデミー賞にノミネートされたことがある才能あふれた監督だが、ヘンリー王子夫妻とうまくいかず「何度か厄介な状況に陥ったため」降板したという。
同誌の関係者によると、「ギャレットは2人の邸宅で撮影を行いたかったが、ヘンリー王子夫妻はそれを快く思わず、受け入れなかった」とのこと。夫妻の代理人は「家の中にカメラを入れるようなリアリティ番組にはしない」と断言していたことから、ギャレットは事実上、2人からクビにされたのではないかとみられている。また、王室のスタッフを泣かせていたとも伝えられているメーガン夫人だけに、キツく当たられたギャレットが自ら降板を申し出た可能性もありそうだ。
ギャレットはNetflixの上層部からアプローチされ『大坂なおみ』を監督したと報じられているが、今回も同様に上層部の意向で監督に起用されたのかは定かではない。
「Page Six」は、ギャレットが去った後、ヘンリー王子夫妻側の制作会社が、これまで撮影した映像をかき集めた上で、リズを監督として迎えたとも報道した。
ヘンリー王子夫妻は昨年、ニューヨークを2度訪問しているが、その際に異なる撮影クルーが同行し話題になった。客席がガラガラだった王子の国連本部での演説も撮影させ、世間から「ドキュメンタリーに使うために演説したのか」と批判の声が上がったが、自分たちの思うように撮影してくれるお抱えクルーだけでなく、Netflixのリズのクルーも同行していたようだ。
「Variety」のインタビューでリズのことを絶賛していたメーガン夫人だが、「彼女に私たちの物語を託すことができてうれしい」と語りつつ、「たとえそれが、私たちの伝えたかった方法ではなかったとしても」とも付け加えていた。これについては、番組内での特定の王族メンバーや王室批判に関する自分たちの責任を回避するための発言だと臆測を呼んでいる。
なお、ヘンリー王子夫妻は、エリザベス女王の逝去とチャールズ国王の即位を受けて、ドキュメンタリーの内容を変更・再編集を求めたと伝えられている。10月には、「ヘンリー王子の自伝的暴露本とドキュメンタリーでは矛盾している箇所が多く、そのことが問題になった」「夫妻は、自分たちが提供したコンテンツの撤回を要求した」という報道もあったが、配信の準備を進めてきたNetflixサイドは、土壇場になってゴネる2人に激怒し、いまさら再編集や延期はできないと突っぱねたものとみられる。
ほかにも、先日配信スタートしたドラマ『ザ・クラウン』新シーズンが「王室批判的」「チープなメロドラマみたい」と不評のため、2人はほとぼりが冷めるまで、ヘンリー王子の自伝本が発売される来年1月までのドキュメンタリー配信延期を希望している説もあるが、多くの人が関わる一大プロジェクトであり、Netflix側は予定通り配信行う模様。
製作費8,800万ポンド(約146億円)ともいわれるヘンリー王子夫妻のドキュメンタリー番組。想像以上に衝撃的な内容なのではないか、『ザ・クラウン』以上に“ドロドロ”なのではないかと、視聴者の期待は高まる一方だ。
ドキュメンタリーは、数週間以内に配信開始されるものとみられる。今後ますます2人から目が離せそうにない。