各局で絶賛放送中の冬ドラマ。その演技力や存在感、役のハマり具合などが高く評価され、株を上げた俳優も多い様子。
そこで今回、視聴者の声をもとに、今期の連ドラ出演で株を上げた俳優を5人紹介したい。
冬ドラマで株を上げた俳優5人
・King&Prince・永瀬廉(TBS系『夕暮れに、手をつなぐ』)
・安藤サクラ(日本テレビ系『ブラッシュアップライフ』)
・ディーン・フジオカ(テレビ朝日系『星降る夜に』)
・井上真央(TBS系『100万回 言えばよかった』)
・夏帆(『ブラッシュアップライフ』)
King&Prince・永瀬廉は、北川悦吏子氏の“当て書き”に救われた?
1人目は、恋愛ドラマ『夕暮れに、手をつなぐ』で主人公・広瀬すずの相手役を務めるKing&Prince・永瀬廉。俳優としては2021年のNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』で全国的に周知され、昨年は1月に放送された同局連ドラ『わげもん~長崎通訳異聞~』、同7月期『新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~』(日本テレビ系)と、2つのドラマで主演を務めた。
事務所の猛プッシュも手伝って急速にステップアップしている永瀬だが、『新・信長公記』では共演者が三浦翔平、満島真之介、濱田岳、小澤征悦、柄本明……といささか豪華すぎたせいか、永瀬の演技力不足が指摘される事態に。放送当時、視聴者から「一人だけ浮いてる」と評されることも少なくなかった。
だが、『夕暮れに、手をつなぐ』では、実力派の広瀬とほぼ同列な扱いにもかかわらず、演技力へのネガティブな声はあまり見られないどころか、「ハマリ役」との声も目立つ。すっかり「演技力不足」のイメージを払拭できたようだ。
永瀬の演技力が上がった可能性もあるが、それよりも同作のゆったりとした空気感やオシャレな作風に、彼の芝居が合っていたことが大きいのではないだろうか。
なお、脚本を手掛ける北川悦吏子氏は、制作にあたって「広瀬すずさんと永瀬廉くん。ずっと書きたかったおふたりです。完全なる、あっと驚く当て書きをしておりますので、お楽しみに」とコメントを寄せている。『新・信長公記』での評価が微妙だった永瀬にとっては、北川氏の“当て書き”に救われたともいえそうだ。
5月には、所属するKing&Princeから平野紫耀ら3人のメンバーが抜け、その後、高橋海人との2人体制で活動していく予定の永瀬。今後は音楽活動よりも俳優業に注力するのではないかといううわさもある様子。『夕暮れに、手をつなぐ』で株を上げたことは、タイミング的にもラッキーといえるかもしれない。
安藤サクラ、“お茶の間俳優”としても「イケる」ことを証明
2人目は、バカリズムが脚本を手掛ける『ブラッシュアップライフ』で主演を務める安藤サクラ。名優・奥田瑛二を父に持ち、映画『万引き家族』(18年)で「第42回日本アカデミー賞」最優秀主演女優賞を受賞するなど、その演技力の高さは折り紙付きだが、意外にも民放プライム帯連ドラ主演は今作が初となる。
その実力は広く知られているものの、華やかさが求められる“お茶の間俳優”としては地味な印象が否めず、放送前には注目度もそこまで高くなかった同ドラマ。
しかし、脚本の面白さや、安藤の演技の魅力が口コミで広がり、「TVer」のお気に入り数は103.3万人(今月15日時点)を記録。これは、現在放送中の連ドラではトップの数字で、さらに世帯平均視聴率においても、今クールのドラマでは唯一上昇傾向にある。
同時に、映画畑の安藤が「お茶の間俳優としてもイケる」ことが同作で証明されたことから、安藤の株が上がったといえるのではないだろうか。
3人目は、『星降る夜に』で新米産婦人科医を好演中のディーン・フジオカ。近年、ベンチャー企業の幹部や警察官僚、ホテルの総支配人などエリート役が続いていた彼だが、同作では初回から、階段でつまずき、手に持っていた患者の検尿を頭からかぶるなど、お茶目な役どころを演じている。
放送前には、ネット上で「ディーンのドジっ子役ってどうなの?」と物議を醸していたが、放送が始まると「意外と違和感ない」と好評の様子。エリート役一辺倒だったディーンにとって、新境地を開拓できたことはプラスに働きそうだ。
4人目は、『100万回 言えばよかった』で主演を務める井上真央。実力・人気ともにトップレベルだが、民放の連ドラ主演は『明日の約束』(フジテレビ系)以来、実に5年半ぶりとあって、視聴者からは「やっぱり上手」とあらためて演技を評価する声が相次いでいる。
5人目は、『ブラッシュアップライフ』で安藤演じる主人公の親友“なっち”役をコミカルに演じる夏帆。井上同様、実力派俳優として認められているが、前クールの話題作『silent』(フジテレビ系)で失恋するろう者を好演したことが記憶に新しいだけに、「どんな作風にもピッタリ合わせられるのすごい!」「『silent』とは別人に見える」と、その演技の“振れ幅”に視聴者は圧倒されたようだ。
ここで挙げた以外にも、『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ系)の門脇麦や田中圭、『スタンドUPスタート』(フジテレビ系)の反町隆史や鈴木浩介なども、視聴者から好評を博している。最終回を迎えた時、最も多くの視聴者の心に残る俳優は誰なのだろうか。