3月に入り、日ごとに春めいてきた今日この頃。気象庁の発表によると、3月8日頃から全国各地で一気に気温が上がり、4月並みどころか、初夏の陽気となる地域も続出する見込みで、10年に一度程度しか起きないような著しい高温となる可能性が高まっていると、注意を呼びかけた。
気温が上がり、日差しが強くなるにつれて気になるのが、“紫外線”による影響だ。気象庁から発信されている「UVインデックス」(紫外線の強さを指標化したもの)によると、3月から急激に紫外線量が増えるという。美肌を保つためには、この時期からしっかり対策することがベストのようだ。
サイゾーウーマンでは、昨年8月に日傘の選び方のコツやおすすめ商品について、「日本洋傘振興協議会」が認定する洋傘売り場のスペシャリスト「アンブレラ・マスター」の資格を持つ小田急百貨店新宿店の河地沙希さんへ取材していた。これからやってくる日傘シーズンに向けて、あらためて記事を再掲する。
(編集部)
猛暑日が続いている今年の夏。気象庁の発表によると、9月まで平年より厳しい暑さが続くようだ。外出時、「日傘」は紫外線対策の一つとして欠かせないアイテムの一つとなっていることだろう。また、百貨店や大型商業施設では現在夏のセールが行われているため、新たに購入を検討している人も多いのでは?
そこで今回は、小田急百貨店新宿店の婦人服飾雑貨売り場で日傘の販売を行っている河地沙希さんに取材を敢行。「日本洋傘振興協議会」が認定する洋傘売り場のスペシャリスト「アンブレラ・マスター」の資格を持つ河地さんに、日傘の種類や機能、正しい使い方、ケア方法まで話を聞いた。日傘選びにぜひお役立ていただきたい。
雨でも使える「晴雨兼用傘」、セール価格で平均5,000~8,000円!
――日傘は春から秋にかけてさす人が多い印象ですが、店頭に並び始めるのはいつからでしょうか?
河地さん(以下、河地) 4月くらいから新作が入荷し始め、6月に一気に展開が広がります。梅雨のシーズンでもあるので、雨傘と半々の割合で商品が並び、早い方はこの時期に買いに来られますが、一番売れるのは7月ですね。また、セール時期も売り上げが伸び、多いときは一日で300~400本近く売れたこともありました。
セール期間はお買い得商品が多く揃いますので、普段あまり百貨店を利用しないという方の来店も増えます。20代から80代の方まで、本当に幅広いお客様がいらっしゃいますね。
――ではまず、日傘の種類について教えてください。
河地 晴雨兼用傘と日傘、いわゆる“純パラソル”があり、晴雨兼用傘は機能性が高く、撥水加工が施されていて、急な雨に降られた場合でもお使いいただけます。ただ、軽量設計なので骨が細く折れやすかったり、風に煽られるとひっくり返りやすいというデメリットも。
純パラソルは、撥水性がないので、晴れた日にお使いいただくお品物になっています。一方で、水に濡れないことを前提に作られているため、風通しもよく、レースがふんだんに使われていたり、デザイン性が高いことも特徴。ドレッシーな雰囲気の日傘をお探しであれば、純パラソルがおすすめですね。
――価格帯に違いはありますか?
河地 晴雨兼用傘ですと、セール価格で平均5,000~8,000円と1万円を下回るお品物が多いですね。一方の純パラソルは、セール価格でも1万円以上という金額が目安です。生地に麻や綿、絹など天然素材を使用しており、ポリエステルがほとんど混ざっていない商品が多いため、晴雨兼用傘よりもお値段が上がっているのだと思います。
傘の種類 | メリット | デメリット | 生地 | セール価格 |
晴雨兼用傘 | 撥水性があり雨でも使用可 | 軽量設計のため、骨が細く風に煽られやすい | ポリエステル | 5,000~8,000円 |
純パラソル | デザイン豊富で風通しがいい | 撥水性なし | 麻、綿、絹などの天然素材 | 1万円以上 |
――日傘を選ぶ際に注目すべきポイントはありますか?
河地 日傘には「遮光」「遮蔽(しゃへい)」「遮熱」の3つの効果があります。
まず、遮光は“可視光線をカットする程度“を表し、“日よけ”になります。晴雨兼用傘に関しては、「1級遮光」とそうでないものの2種類に分かれ、1級遮光は、遮光率が99.99%あり、限りなく100%に近いんです。傘の内側が黒く塗りつぶされているようなイメージのお品物で、光を一切通さないため、木陰にいるような涼しさを感じられるようになっています。
対して1級遮光でないお品物は、遮光率が99%以上と1級遮光に比べるとやや数字が落ちてしまうため、特に今年は暑い日が続いていますから、熱中症対策の面でも、1級遮光の傘のご使用をおすすめしています。
次に、遮蔽は“UVカット率”を表し、“日焼け”対策をしたい方に注目いただきたい項目です。99%以上ある商品がほとんどで、遮光率同様に、商品タグにパーセンテージが記載されているので、チェックしてみてください。
最後の遮熱は、遮光と似た意味合いで、“熱をカットする効果”の有無を表しており、現在は、東レから出ている「サマーシールド」と、帝人フロンティアとムーンバットが共同開発した「フワクール」というシリーズで「遮熱」をうたっています。1級遮光で遮蔽率も99%以上と高く、「サマーシールド」「フワクール」ともに特殊多層ラミネート構造のため、遮熱効果を発揮しているのが特徴です。
これら3つの機能があることを頭に入れておくといいでしょう。
遮光 | 可視光線をカットする程度のことで、日よけ効果がある |
一級遮光 | 遮光率が99.99%で、光を一切通さず涼しい |
一級遮光以外 | 遮光率が99%以上で、一級遮光よりも効果が劣る |
遮蔽 | UVカット率のことで、日焼け防止に。99%以上の商品がほとんど |
遮熱 |
“熱をカットする効果”の有無を表す。 |
――ショート傘、二つ折り傘、ミニ傘と、形状は3種類あるかと思いますが、新宿店の売れ筋商品はどういったタイプになりますか?
河地 細めで軽く持ち運びがしやすいという点から、傘を三つ折りの形で収納するミニ傘タイプが人気で、特に先ほど挙げた「サマーシールド」や「フワクール」製品がよく売れています。実際に私も「サマーシールド」の日傘を使っているのですが、それまで使っていた一級遮光ではない製品と比べると、涼しさの度合いが全く違いましたね(笑)。
あとはお客様の好みにもよりますが、「持ち手がついているほうがいい」「すぐにたためるものがいい」という方や、「日傘を持つのが初めて」という方には、こちらの「楽折」タイプの晴雨兼用傘をおすすめしています。
ほかの製品ですと、傘を閉じて骨の部分を折り返さなければいけないのですが、楽折タイプは閉じて折り目を整えて巻きつけるだけでいいので、簡単にたためるんです。また、傘袋がついていないタイプもあるので、わざわざしまう手間も省けますし、なくす心配もありません。急な雨でも対応できるので、1本持っておくと便利だと思いますよ。
日傘選びのコツ
――こうして見ると、本当にたくさんの種類の傘がありますが、日傘選びのコツはありますか?
河地 さまざまなタイプの日傘を取り揃えていますので、まずは、お客さま自身に「こういう日傘を買うぞ」というイメージを持ってご来店していただきたいですね。デザイン重視か機能性重視か、どれか一つ譲れない軸があると、その中で「かわいい系のデザインがいい」「ストライプの水色系がいい」など、ご要望に合わせて私たちがお客様に合った商品をピックアップいたします。
例えば、毎日の通勤で使われる方でしたら、電車での移動も多いと思うので、開閉が簡単な「クイックアーチ」と呼ばれるものか、先ほどご紹介した「楽折」、軽量の「ミニ傘」をおすすめするなど、お客様の生活スタイルや使用するシチュエーションなどもお聞きしながら商品のご案内をいたします。
また、この売り場が婦人服飾雑貨になってしまうのでお取り扱いは少ないものの、60cmの大きめサイズの男性用と、50~55cmとやや小さくなりますが、落ち着いたデザインのユニセックスの商品もご用意しています。傘選びに迷った際は、ぜひお気軽にお声がけください。
――それぞれの傘のお手入れ方法を教えてください。
河地 晴雨兼用傘が汚れてしまった場合は、中性洗剤をぬるま湯で薄めたものをスポンジにつけ、優しくたたくように拭き取っていただき、水気を絞った布と、さらに乾いた布で拭き取り、陰干しして十分に乾かしてください。日傘の場合も同様の方法でお手入れしていただければと思いますが、できるだけ雨に濡れないようにお使いいただき、万が一濡れてしまった場合はなるべく早く乾かしていただきたいですね。
また、長期保管する場合、温度差や湿度の変化などで手元が取れてしまう可能性もありますから、陰干しをしてしっかりと乾かし、納戸など日光や蛍光灯などの光が当たらない涼しい場所に置いておくといいかと思います。
――買い替え時のサインはありますか?
河地 日傘は、2~3年が寿命の目安とされています。そのほか、遮光効果があるタイプであれば、使い続けているとラミネート(遮光シート)が剥がれ、傘を光に透かしたときに「ピンホール」と呼ばれるごく小さな穴が開き、外からの光が入ってきてしまう現象が起きることがあります。また、傘をさしたときの感覚として、「去年よりちょっと暑いな」「傘をさしていないときと変わらないな」と思ったときは、効果が薄れてしまっている可能性が高いため、買い替えを検討していただきたいですね。
これはNG! ミニ傘のしまい方
――日傘の使い方で気を付けるべき点はありますか?
河地 使い終わった後に注意していただきたいのが、傘のたたみ方です。特にミニ傘を畳む際、折り目を整えて骨を適当に掴んでくるくると巻きつけて袋にしまい込むという人もいらっしゃるかと思いますが、そうすると、骨がねじれてバラバラの状態で固定されるので余計な圧力がかかってしまいますので、絶対にNG。次に傘を使おうとして開いたときに、骨が折れていたということもありますから、傘の中心の“中棒”をぐるっと囲むように骨を整えてから袋にしまうと、傘の持ちも長くなると思います。
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ちなみに河地さんによると、小田急百貨店で取り扱っている傘は、「ほとんどのお品物は基本的にはメーカーで修理が可能」だそう。「ご購入された店舗にお持ちいただければ、お手続きもスムーズに行えますので、お気軽に相談ください」というように、アフターフォローも万全のようだ。
まだまだ暑い今年の夏、日傘選びで迷っている方は、ぜひ店舗に足を運んでみてほしい。