2023年4月期の連続ドラマ(民放4局、午後8~10時台)が続々とスタート。初回視聴率ランキングでトップになったのは、世帯平均14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した福山雅治主演の刑事ドラマ『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)だった。
前クールに同枠で放送された妻夫木聡主演『Get Ready!』の初回10.2%を4.5ポイントも上回った同作は、全盲のFBI特別捜査官・皆実広見(福山)と、そのアテンド役を担う警察庁刑事・護道心太朗(大泉洋)が難事件に挑む“新時代の痛快バディドラマ”。
※以下、ドラマのネタバレを含みます。
第1話では、主人公が犯人像を割りだすシーンで、「2ちゃんねる」創設者の“ひろゆき”こと西村博之氏が提唱したことで広まったネットスラング「無敵の人」というワードが登場。ネット上では「まさか、あの福山雅治の口から『無敵の人』というセリフが出るなんて!」と驚きの声が飛び交った。
一方、団地にある犯人の自宅に上がり込んだ主人公に、母親が背後から包丁を突き付ける展開が、織田裕二主演映画『踊る大捜査線 THE MOVIE』(1998年)のワンシーンと共通していたことから、「パクリ? それとも偶然?」と話題に。
「相棒は殺人犯!?」のサブタイトルがついた第2話でも、『相棒』season2(テレビ朝日系)の第4話「消える銃弾」のものと思しきエピソードを主人公が語る場面があり、今後も「わかる人にはわかる」程度の刑事ドラマの小ネタが盛り込まれそうな予感だ。
木村拓哉『教場0』、視聴率はダウンも……TVerでは大健闘
2位は、初回12.1%を記録した木村拓哉主演の月9『風間公親-教場0-』(フジテレビ系)。かねてより、木村と福山の“ライバル関係”がうわさされていることから、今期は複数のメディアで「キムフク戦争」なる言葉が飛び交っていたが、初回の視聴率はひとまず福山に軍配が上がることとなった。
20年と21年に新春スペシャルドラマとして放送された人気シリーズの初の連ドラ版にあたる『教場0』だが、今回は『教場0 刑事指導官・風間公親』『教場X 刑事指導官・風間公親』(ともに小学館)を原作に、主人公・風間公親(木村)の警察学校赴任前の前日譚が描かれる。
第1話では、被害者男性がタクシーの車中で殺される直前、ダイイングメッセージを残していたことが判明。それは、被害者がタクシー運転手に「右へ曲がれ」「まっすぐ行け」などと指示を繰り返すことで、「日中弓」という犯人の名前を神奈川県・横浜のマップ上に描いていた……という壮大な内容で、ネット上では「これはさすがに笑った」「そんなことしてないで、さっさと逃げればいいのに」と失笑が相次ぐ事態に。
こうした脚本の“トンデモ”ぶりの影響からか、回を追うごとに視聴率が下がっており、4月24日放送の第3話では9.8%と初の1ケタまでダウン。
ただ、TVerのお気に入り数は109.6万人(5月1日現在、以下同)と大健闘しており、現時点では『ラストマン』の70.0万人を上回っているようだ。
『特捜9』シリーズ初の1ケタ発進……あのジャニーズキャストが復活?
3位は、初回9.4%を記録した20th Century・井ノ原快彦主演の刑事ドラマ『特捜9 season6』(テレビ朝日系)。『特捜9』シリーズ初の“1ケタ発進”となってしまったが、第3話以降は同シリーズらしく2ケタに上昇。この先、月9の不調が続けば、『特捜9』が追い抜く可能性もありそうだ。
同シリーズは、警視庁捜査一課特別捜査班の主任・浅輪直樹(井ノ原)が、仲間とともに事件を解決する物語。
season1からレギュラー出演しているキャストも多いが、その一人である山田裕貴は、現在放送中の『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS系)で主演を務めているほか、NHK大河ドラマ『どうする家康』にも出演しているため、『特捜9』での今後の出番はあまり期待できないかもしれない。
また、「season4」を最後にレギュラーから外れたTravis Japan・宮近海斗が、今シーズンで復帰するのではないかといううわさがジャニーズファンの間で飛び交っているようだが、果たして……。
残念ながらワースト1位となったのは、オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太の半生を描く日曜ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)で、初回は4.7%。
若林役をKing&Prince・高橋海人、山里役をSixTONES・森本慎太郎が演じるとあって、意外なキャスティングが話題を集めているものの、第3話以降で3%台にまでダウンするなど、厳しい状況が続いている。
ネット上では、高橋と森本の演技力への賛辞が相次いでいるが、一方で「正直、山ちゃんの半生に興味が湧かない」という残念な意見も多く、最近の日テレの“山里押し”に疑問の声もみられる。4月にスタートした山里が司会を務める同局情報番組『DayDay.』の視聴率も振るっていないようだが、同ドラマと一緒に共倒れしないことを願うばかりだ。
岡田惠和氏の『日曜の夜ぐらいは…』がワースト入り!
ワースト2位は、『最後から二番目の恋』シリーズ(フジテレビ系)の岡田惠和氏が脚本を手掛ける『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系)。4月30日より新設された“朝日放送テレビ制作”枠でスタートし、初回は5.6%だった。
第1話では、主人公・岸田サチ(清野菜名)の母・邦子(和久井映見)が、人気ラジオ番組『エレキコミックのラジオ君』主催のバスツアーに応募。母の代理でサチが参加すると、元ヤンキーのタクシードライバー・野田翔子(岸井ゆきの)、ちくわぶ工場で働く樋口若葉(生見愛瑠)も参加しており、3人が意気投合する様子が描かれた。
劇中では、「きつい時って、どうしてます?」と問いかける若葉に対し、サチが「コンビニに行く」「アイス食べるの。一番高いものを食べるって決めてる」「ぜいたくっていっても、たかが知れてるしね」と答えるシーンがあり、ネット上で共感する視聴者が続出。
また、エレキコミックのほかに、ちくわぶ工場社長役でラバーガール・飛永翼、宝くじ売り場の店員役で椿鬼奴も出演しており、お笑いファンを喜ばせているようだ。
奈緒『あなたがしてくれなくても』、TVerお気に入り数は100万超え!
ワースト3位は、“セックスレス”がテーマの不倫ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)で、初回は5.8%。
第1話では、夫・吉野陽一(永山瑛太)とのセックスレスに苦しむ主人公・吉野みち(奈緒)が、会社の上司・新名誠(岩田剛典)にこの悩みを告白。その後、誠も妻・楓(田中みな実)とセックスレスであることをカミングアウトするという展開が描かれた。
刺激的なセリフや激しいラブシーンが多く、ネット上では「家族のいるリビングでは見られない」と困惑する視聴者も多い。そのためか、スマホなどで見られるTVerのお気に入り数は101.3万人に上り、『教場0』に迫る勢いを見せているようだ。
4月期ドラマ初回視聴率ランキング(民放4局、午後8~10時台)
1位『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系、日曜午後9時) 14.7%
2位『風間公親-教場0-』(フジテレビ系、月曜午後9時) 12.1%
3位『特捜9 season6』(テレビ朝日系、水曜午後9時) 9.4%
4位『合理的にあり得ない』(フジテレビ系、月曜午後10時) 9.3%
5位『Dr.チョコレート』(日本テレビ系、土曜午後10時) 8.6%
6位『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 8.4%
7位『unknown』(テレビ朝日系、火曜午後9時) 7.6%
同率7位『ペンディングトレイン-8時23分、明日君と』(TBS系、金曜午後10時) 7.6%
9位『王様に捧ぐ薬指』(TBS系、火曜午後10時) 7.5%
10位『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系、水曜午後10時) 6.1%
11位『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系、水曜午後10時) 6.0%
12位『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系、木曜午後10時) 5.8%
13位『日曜の夜ぐらいは…』(テレビ朝日系、日曜午後10時) 5.6%
14位『だが、情熱はある』(日本テレビ系、日曜午後10時30分) 4.7%
※小数点第2位以下を四捨五入。