下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
LGBT理解増進法案が即日採決され可決された。しかしこの法案、その内実は“理解増進法案”というより、“差別増進法案”としかいいようのないもの。差別主義者が跋扈する日本の政治って――。
第654回(6/8〜6/13発売号より)
1位「広末涼子 『欲望すべて手中に』蜘蛛女人生」(「女性自身」6月27日号)
2位「松潤ショック!『嵐とジャニーさんの聖地』閉店トラブル一部始終」(「女性セブン」6月22日号)
3位「生田斗真 嵐のメンバーに“選考漏れ”も、主演映画やドラマが続々決定 ジャニーズ内俳優ルート選択で“一人勝ち”」(「週刊女性」6月27日号)
やるなあ、広末涼子と有名シェフ鳥羽周作氏のダブル不倫疑惑が「週刊文春」(文藝春秋)で報じられた。不倫は犯罪ではないし、家庭や個人の問題だから、無関係な人間は特にそれを糾弾する必要はないとは思っている。もちろん芸能マスコミ的には報道することは当然だが。
そんな広末不倫報道だが、「女性自身」の後追い記事が面白すぎる。記事は今回の不倫騒動をおさらいした上で、若かりし頃の広末の“奇行”や“プッツン”ぶりを振り返る。まあ、そこまでは普通の後追い記事だ。しかし「自身」が強調したいのは、そんなことではなかった。
記事には広末の“ある写真”が掲載されていた。それは今回の不倫とは無関係のもので、今から2年前の2021年に「自身」がドラマの撮影現場に向かう姿を撮った写真だという。その写真は広末を背後から撮ったもので、こう説明がなされている。
「背中に大きな蜘蛛があしらわれたカットソー、“ギャル風”のメタリックカラーのサンダル……。ドラマの撮影現場に向かう広末涼子(42)の私服はテイストも統一されておらず驚くほど個性的なもの」
そして「自身」は、この2年前の広末の“蜘蛛ファッション”を“彼女の性と深い関係がある”として、なぜか心理カウンセラーに解説させるのだ。
その解説によると、蜘蛛や爬虫類などを好む人は個性が強く、自己顕示欲が強いのだという。さらにスピリチュアル的には矛盾した存在だとも。
「広末さんも清純なイメージを持ちつつ、恋愛に対する強い衝動を秘めている可能性もあり、矛盾という意味では、蜘蛛に通ずるものもあるように思えます」
「糸でからめとるという行為は、“手に入れたい”という気持ちの強さの表れともいえるからです」
広末不倫の後追い記事をやろうとして、しかし新しいネタがなかったんだろうね。2年前に撮っておいた写真を引っ張り出して、無理やり今回のことにつなげようと心理カウンセラーまで引っ張り出して、これまた無理やり解説させた。特に“蜘蛛”には非常にこだわりたかったらしい。記事の“締め”も蜘蛛だった。
「初めての挫折により、女優・広末涼子は“手に入れ続ける”蜘蛛的な生き方を見直すことになるのか――」
だってさ。タイトルも“蜘蛛女人生”って、すごいな、「自身」。
ジャニー喜多川氏の性加害問題に触れずに美談を報じる「女性セブン」
ジャニーズ事務所の性加害問題は、いまだ大きな波紋を広げ続けている。外部専門家による再発防止特別チームが発足し、岸田文雄首相が対策会議を開く方針を表明。さらに「週刊文春」では毎週連続して、故・ジャニー喜多川氏の性加害関連記事を掲載し、ジャニー氏だけでなく、マネジャーだった男性によるJr.への性加害も明らかになるなど、問題は収束するどころか拡大し続けている。
でもね、本欄でも何度も言ってるけど、女性週刊誌の世界ではジャニーズ事務所の性加害などなかったかのような、異様な状況が続いているのだ。たとえば今回の「女性セブン」には、ある焼肉屋の閉店トラブルの記事が掲載されている。この店、有名人も足繁く通う名店だったというが、嵐、そしてジャニー氏にも縁が深いとして、こんな“素敵な”エピソードを紹介するのだ。
「田原俊彦(62才)は、テレビ番組で『ジャニー(喜多川)さんと訪れた思い出の店』として紹介」
「彼ら(嵐)がジャニーさんから『嵐』と名付けられたのはこの店なんです。ハワイでのデビューイベントの前日にここで食事をして『Youたち、嵐だから』と告げられたのだとか」
「特に松本(潤)さんはメンバーとジャニーさんの思い出の場所として記憶していて、それは相葉(雅紀)さんも同じでした」
美談として“ジャニーさんエピソード”を挿入する「セブン」。狂っているのか!? 醜悪としかいいようがない。
ジャニーズの性加害問題に他人事の姿勢「週刊女性」
醜悪なのは「週刊女性」も同様だ。ジャニーズタレント・生田斗真の俳優としての活躍ぶりを紹介する記事なのだが、そのなかにジャニーズの性加害に関してこんな一文が。
「生田さんはアイドルではなく“俳優”だからか、報道による影響は出ていませんね」(全国紙記者のコメント)
俳優だから無関係? 意味不明である。しかも、まるで他人事。腐っている。