ヘンリー王子がアメリカでもイギリスでも“厄介者”になりつつある。滞在ビザを取得する際に薬物使用歴を正直に申請していたのかが問題視されているアメリカでは、米国土安全保障省が「プライバシールールに基づき公開しない」と拒否したため、ネット上では「移民法に違反している可能性があるのにおかしい」「バイデン政権の不透明さを示すものだ」と大炎上。
一方のイギリスでは、現地時間6月17日に開催された君主の誕生を祝う祝賀パレード「トゥルーピング・ザ・カラー」に王子夫妻は欠席。王子に関する報道自体が少なくなってきており、王族からもイギリス国民からも完全に距離を置かれているとネット上で失笑されている。
アフガニスタン任務を終了したばかりの10年前は、失言が多くヤンチャであるものの、「いざという時は女王や国を守ってくれるヒーロー」だとイギリス国民からの支持率が絶好調だったヘンリー王子。2020年3月にメーガン夫人と子どもを守りプライバシーのある生活を送るために王室を電撃離脱した時も、「ダイアナ元妃が生きてたら応援するのでは」と好意的な意見が多かった。
王室離脱後はカナダに移ったものの、カナダ政府から警備費の負担を停止され、同年7月、セレブ友達の助けでプライバシーの守れるアメリカの高級住宅街に移住。購入したカリフォルニア州サンタ・バーバラの大豪邸でこのまま静かに暮らすのかと思いきや、フィリップ殿下の体調が悪化していた21年3月に夫人と共にオプラ・ウィンフリーの独占インタビューを受け、ドラマチックに王族批判や英メディア批判を展開。
その後、NetflixやSpotifyで王室メンバーを批判するドキュメンタリーやポッドキャストを制作し、今年1月には暴露本とも揶揄される自叙伝『SPARE』をリリース。イギリスでは、「王族批判で金稼ぎしている」「反論できない国王や皇太子の悪口を言っている」「亡くなったばかりの女王への侮辱」と大炎上し、アメリカでも「やってることはリアリティ番組のセレブと同じ」とバカにされ、笑い者となってしまった。
アメリカでは薬物使用歴がある人物は、ビザ申請を却下されることがあるが、自叙伝でコカインのようなハードドラッグにも手を出したと告白したヘンリー王子が、コロナ禍だったにもかかわらず、あっさりビザを取得できたのは、薬物使用歴があることを正直に申請しなかったからではないか、王子だから優遇されたのかとネット上で騒がれるように。ワシントンの保守系シンクタンクであるヘリテージ財団は、このことを重く受け止め、米国土安全保障省に対して王子のビザ申請内容を公開するよう裁判所に申し立てをする大騒動に発展した。
連邦地方裁判所はヘリテージ財団の申し立てを認め、ビザ申請内容の開示を許可。いったいどんな内容なのかと注目が集まっていたが、米国土安全保障省はプライバシー保護を盾に、これをまさかの拒否。「開示したらプライバシー上の利益が損なわれる。そこまでして公共の利益があるとは認められないので、開示しない」と説明した。
ネット上は、「もし王子が正直に薬物使用歴を認めていたら、もう薬物使用を理由にビザ申請を拒否できなくなるから公開しないんでしょ」「さすがに王子を国外退去にできないでしょ。政治家ともコネがあるだろうし」「本当に汚いよね」「移民法に関わる重大なことなのに」などと批判が続出。
ヘリテージ財団側は、「バイデン政権の不透明さが明確になった」と強く非難し、開示されるまで法廷で闘い続けると意欲を示している。
なお、イギリスのメディアは、「(ビザを取り消して)王子を返されても困る。あなた方の問題なのだから、そちらでなんとかしろ」と冷酷で、先日、王子が英タブロイド紙「デイリー・ミラー」の発行元ミラー・グループ・ニュースペーパーズ(MGN)を相手取り「電話を盗聴された」と主張し起こした裁判で、ロンドンの高等法院の証言台に立った際の様子から、「王子は精神状態が悪いように見受けられる」「(メーガン夫人らに)利用されていることに気づくほど頭も良くないし、かわいそう」と同情する声も。
今月17日に開催された、国王の誕生日を祝う定例行事「トゥルーピング・ザ・カラー」に王子夫妻が招待されていないようだという事前情報に対しても「当然」だと短く冷ややかに伝えている。
英軍各連隊が参加して行われる伝統的なこの行事だが、今年はチャールズ国王が馬に乗ってパレードに参加し、ウィリアム皇太子やアン王女、エドワード王子も同様に騎馬で参加し、大いに盛り上がった。
一方で、同日は、ヘンリー王子夫妻が契約しているNetflixで、メーガン夫人の出世作『SUITS/スーツ』全シリーズ配信がアメリカでスタート。そんなことからネット上では、メーガン夫人の嫌がらせじゃないかとのうわさも。
ヘンリー王子を「嫌い」と答えたイギリス人は63%に
王子は現在、「プライバシー侵害」や「違法な情報収集」をされたとしてMGNのほか、アソシエイテッド・ニュースペーパーズ・リミテッド(ANL)、ニューズ・グループ・ニュースペーパーズ(NGN)も相手取り訴訟を起こしている。ANLに対しては「名誉毀損」でも訴訟を起こしているが、米「ニューズウィーク」はこれらの訴訟が失敗に終わるだろうと推測する記事を掲載。
4月に行われた英世論調査会社・YouGovの調査では、ヘンリー王子を「嫌い」と答えたイギリス人は63%、メーガン夫人を「嫌い」と答えたイギリス人は65%という結果が出たそう。これほどまでに人気がない王子が起こした訴訟は失敗に終わる運命にあると報道した。
アメリカでもイギリスでも人気が低迷し、厄介者扱いされつつあるヘンリー王子。マーケティングに強いスタッフを新たに雇うなど、人気回復とイメージアップに躍起になっているようだが、かなり難しいだろうとみられている。