7月14日に公開されたスタジオジブリの最新アニメーション映画『君たちはどう生きるか』が、同18日発表の全国週末興行成績をもとにした映画ランキング(興行通信社調べ、以下同)で、初登場1位を獲得。初日から3日間で観客動員100万3,000人、興行収入16億2600万円をあげ、同映画を手がけた宮崎駿監督の前作『風立ちぬ』(2013年7月20日公開)との興収対比は150%と伝えられている。
「23年下半期がスタートしたばかりのタイミングで、『君たちはどう生きるか』がいきなり好発進し、日本映画界は盛り上がっている様子。一方、上半期にも多くの映画が公開されましたが、残念ながら“大コケ”した作品もありました」(映画誌ライター)
広瀬すず&櫻井翔『映画ネメシス』は寂しいスタート
例えば、3月31日に公開された『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』。同作は、広瀬すずと嵐・櫻井翔のダブル主演により、21年4月期に放送された連続ドラマの劇場版で、探偵助手の美神アンナ(広瀬)と自称・天才探偵の風真尚希(櫻井)がさまざまな依頼に挑む物語だ。
「そもそも連ドラ版は、全話世帯平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、たいして話題にならず。それでも劇場版が制作されたのは、最初から“ドラマと映画の連動企画”だったためでしょう。『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』は全国346スクリーンで上映を開始し、映画ランキングでは初登場3位。初日から3日間の動員は16万2,000人、興収も2億円と、大規模上映のわりには寂しいスタートでした」(同)
そして翌週は6位、翌々週は8位と徐々にランクダウンしていき、4週目にはトップ10圏外に。同映画公開後、4月には『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(14日公開)や『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(28日公開)といった話題のアニメ作品が控えていたこともあり、『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』はそのまま世間から忘れ去られていった。
新田真剣佑『聖闘士星矢 The Beginning』は公開翌週にランキング圏外
「一方、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と同日に公開した『聖闘士星矢 The Beginning』も悲惨でした。21年4月に芸能事務所・トップコートを退所し、海外に拠点を移した新田真剣佑のハリウッド初主演映画で、原作は漫画家・車田正美氏が『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載していた名作『聖闘士星矢』。日本とアメリカ合衆国の共同制作で実写化し、制作費は80億円ともいわれていたことから、当然、大ヒットを狙っていたはずです」(同)
同作で“小宇宙(コスモ)”というパワーに目覚める主人公・星矢を演じた真剣佑も、やはり気合が入っていたとみられる。ところが、全国323スクリーンで上映を開始するも、映画ランキングではまさかの初登場8位。翌週には早々にランキング圏外となり、世界累計興収は10億円に届かなかったと伝えられている。
広瀬すず、もう一つの主演映画もほとんど話題にならず……
「また、『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』がコケてしまった広瀬は、6月9日公開の主演映画『水は海に向かって流れる』も、ほとんど話題にならず。全国270スクリーンほどで上映されたものの、同時期に話題作の公開が重なり、埋もれてしまったのか、映画ランキングには入らずじまいでした。同作は、漫画家・田島列島氏が『別冊少年マガジン』(講談社)で連載していた同題作品の実写版で、主人公の会社員・榊千紗(広瀬)や高校生の熊沢直達(大西利空)らが共同生活を送るシェアハウスでの人間関係を描いたヒューマンドラマ。鑑賞した人からの評判は上々だっただけに、関係者は落胆しているのでは……」(同)
下半期公開作品も、すべてが『君たちはどう生きるか』のようにロケットスタートを切れるわけではないだろう。一体いくつの作品がコケてしまうのだろうか。