――日本各地のご当地で愛され続ける、家庭料理の味。北海道から沖縄までそれぞれの地域でロングセラーを誇るローカルな商品を、調味料ソムリエ/野菜ソムリエ・MICHIKOさんが紹介していきます。
京都の味:原了郭「黒七味」
今回は京都の逸品、“黒い”七味唐辛子の原了郭「黒七味」です。
創業は元禄16年(1703年)、忠臣蔵で有名な赤穂義士の子孫が祇園に開業した老舗店、原了郭。黒七味は百年以上前に山椒に着目したことから生まれました。黒七味の原料は、漢方由来の自然素材である白ごま、唐辛子、山椒、けしの実、黒ごま、麻の実、青のりの七種類ですが、その時々の季節や産地により、厳選して使用しているそうです。
この原料の一部を乾煎りし、細かく挽いた後、丁寧に手でもみ込むことで、独特の濃い茶色になるのです。この秘伝の製法は一子相伝、現在は13代目の当主一人の手作業で生み出されているとか、職人の技が光るこだわりの商品です。
封を開けた途端に、鼻をくすぐる黒ゴマと山椒の深く香ばしい香りがフワッと立ち込め、旨味が口いっぱいに広がり、後から舌にヒリヒリと感じるシビれる辛さが押し寄せてきます。粒はとても細かく、しっとりとしたツヤを帯びた黒茶色です。香り・旨み・辛味、三拍子そろった七味唐辛子です。
刺身と合わせるのがおすすめ
黒七味は薬味として、料理のおいしさを引き立ててくれる味わいが魅力です。京都のおばんざいや冷奴、おつゆなどのマイルドな味わいに、そうめんやパスタ、ハンバーグや焼肉、とんかつソース、ラーメンにも、食卓に置いて、ササッと振りかけましょう。
おすすめは刺身やステーキに振りかけ、醤油と合わせれば、いつもと違うおいしさが楽しめます。お好きなフルーツやかき氷等にもひと振りすれば、甘さの中に旨みとピリッとした辛みがプラスされて絶妙な味わいです。
ほかに、さわやかな辛さと香りが楽しめる「粉山椒」、刺激的な辛さをお好みの方には「辛極」があります。保存料等は使用していないので、賞味期限は3カ月が目安です。夏場は冷蔵庫で保存して、使う分だけを出しても。これ1袋あれば、あなたも料理上手に♪
【原了郭「黒七味」】アレンジレシピ:ローストビーフの黒七味チーズソース
まろやかさと辛味、旨味を持ち合わせた深みのある絶品ソース♪
【材 料】(作りやすい分量)
ローストビーフ(市販)・付け合わせサラダ 各適量
(A)黒七味 小さじ1/2、クリームチーズ 30g、生クリーム 50ml、塩 少々
【作り方】
1)耐熱容器に生クリームと常温に戻し小さくカットしたクリームチーズを入れて、電子レンジ(500w)でそのまま1分ほど加熱する。
2)チーズをスプーンの背などでつぶし、塩と黒七味を加えて混ぜ合わせ、冷ます。
3)器にローストビーフとサラダを盛り合わせ、2)を上からかける。
*ほかに焼き魚や蒸し野菜などにも合います。
【材 料】
真鯛の刺身・すし飯・黒七味 各適量
【作り方】
すし飯をひと口大に握り、黒七味をふり、そぎ切りした真鯛をのせて軽くにぎり、上からも黒七味をふる。醤油をお供に。
☆パイナップルに黒七味をひとふり