• 日. 12月 22nd, 2024

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『バチェラー5』女のバトルからシスターフッド推しへ! 恋リアウォッチャーの抱いた“違和感”とは?

 8月3日から配信がスタートした婚活サバイバル番組『バチェラー・ジャパン』シーズン5(Amazon プライムビデオ)が、完結を迎えた。今作のバチェラー・長谷川惠一さんは、これまでの圧倒的ハイスペックなバチェラーと違い、起業したての元プロバスケットボール選手。口下手な面もあり、番組から付けられたキャッチフレーズは「この男、名バチェラーか。それとも、迷バチェラーか。」。配信前から、ネット上では長谷川さんの起用に賛否が分かれたが、実際のところはどうだったのか!? 最終エピソードまで視聴した恋愛リアリティーショーウォッチャーが振り返る。

※本記事は『バチェラー・ジャパン』シーズン5のネタバレを含みます。

「迷バチェラー」疑惑の長谷川惠一さんは成長したのか?

 今回のバチェラー・長谷川さんは、2022年配信の『バチェロレッテ』シーズン2に参加していた男性陣の一人。その出演を踏まえ、長谷川さんは今作でも「言語化がヘタ」「気持ちを伝えるのが苦手」「言葉にするのに時間がかかる」といった点が自分の欠点だと語っていた。

 確かに、ソロでのインタビュー映像はほとんど棒読みで、ロバートのコント「アスリートCM講習会」(※)そのものだった。そういう点を長谷川さんなりに克服しようと頑張ったのか、彼は終盤になるにつれ、複数の女性に「好き」の言葉を繰り出す。それどころか頬へのキス、口へのキスを連発していた。
※アスリートがCMで見せる“棒読み”のセリフ回しにスポットを当てたコント

 長谷川さんは「今残っている人、全員好き」という状態になっていたのだろう。その気持ちを素直に行動に移してみた様子だった。加えて、“思ったことをすぐさま言っちゃう”状態にもなっていた長谷川さん、確かに言語化のスピードは上がっていたかもしれないが、表現のクオリティーは下がっていた気がする。また、女性メンバーとの会話もどことなく表面的で、女性が自身の病気や、シングルマザーに育てられたことなどを開示してくれているのに深く堀り下げることもほとんどなく、トークスキルの点ではそこまで成長していなかったように見えた。

 一方、いいぞ長谷川さん! と思えるシーンもあった。エピソード2のグループデートで、結婚後は順調に子どもができる前提で、女性陣に子育ての話題を振った長谷川さん。センシティブな話題だけに、一部の女性から「産む前提で話が進んでいた」「子どもができない可能性を考慮していない」「みんなの前でする話題ではない」と反発の声が上がった。

 それを知らされた長谷川さんは、「100%授かれるわけではないし、産まないという選択もできる中で、子どもがいる前提で話してしまった」と素直に反省。話してくれた女性には「ありがとう、話してくれて」と感謝を伝え、カクテルパーティー前には全員の前で「私の不用意な会話で悲しませてしまった方、本当にごめんなさい。気づかせてくれた方、ありがとうございます」と伝えた。

 人からの指摘に反発したり、いじけたりせず真摯に受け入れられ、自分が悪いと思ったらちゃんと謝れる――これは、変なプライドがあると、なかなかすんなりとはできないこと。長谷川さんのような男性は、結婚相手として貴重な存在といえるだろう。この素直さこそ、長谷川さんはまだまだ成長の余地があると感じさせるものだと思った。

 それと同じく、38歳にして、キスの前に「キスしてもいいですか」と律儀に許可を得る姿も、「制作側から事前に『性的同意を取るなど』のコンプライアンス研修を受け、それを忠実に実践しているのだろうな……」と思わせる素直さが表れていたように思う(ファイナルローズ前に複数人にキスしてしまう点はさておき)。

 言語化スピードが速いのはもちろんだが、素直さや、ちゃんと謝れるのも立派なコミュニケーション能力の一つ。長谷川さんには無理に言語化スピードを上げることを目指さず、こっち方面を磨いていってほしい!

 女性参加者の「女のバトル」が煽られていたこれまでのシーズンとは違い、「シスターフッド」がクローズアップされていたともいわれる今作。これは今年6月、シーズン5配信決定が報じられた際、MCの一人・指原莉乃が「女性参加者同士の友情を超えたシスターフッドな絆に“令和のバチェラー”を感じました」とコメントしたことがきっかけであり、配信開始後に視聴者から自発的に出てきたワードではない。

 女性同士の交流シーンが多く、魅力的なメンバーがそろっていたのは確か。あからさまな女同士の蹴落とし合いはなく、視聴者としても応援したくなるメンバーばかりだった。これを「シスターフッド」と呼んでもいいのかもしれないけれど、一方で、これは単に制作側の編集傾向が変わっただけでは? と違和感を抱いてしまったのも事実。今までのシーズンは「女のバトル」を煽るような編集が多かったが、ピックアップする場面によっては、今作と同じような女性同士の絆が見られていたのではと振り返りたくなった。

 一方、今作でも「女のバトル」になりそうなシーンはいくつかあった。ストールンローズ(※)を誰が使うかの話し合いは、編集によってはもっとドロドロしたものになりそうだった。

 また、ファイナルローズをゲットした飲食店経営者・大内悠里さんが、長谷川さんと2人きりのときに「女の子の中で私が一番(ローズをもらえる可能性が)ないと思われてるから~」と打ち明ける場面も気になった。これは、長谷川さんに「自分は、ほかの女性メンバーから下に見られているかわいそうな存在」と暗に伝え情に訴える行為であり、ひいては女性陣のイメージを下げることにもなる。大内さんのズルさが垣間見えた場面であり、ここも編集によっては「女同士の蹴落とし合い」に見えたはずだ。
※バチェラー略奪をかけて、デートに乱入できるローズのこと。

 指原は、番組内でも「シスターフッド感!」「令和のバチェラー!」「魂が震えた!」「過去最高のバチェラー!」と大げさに語っていたが、“私は制作側の意図を読み取っていますよ”という主張のように感じてしまう。

 この編集と指原の反応を受け、即「シスターフッド最高!」と思える人は、制作側の意図にまんまとハマりやすいタイプなのではないか。「女の敵は女」を売りにしたシーズンのときには、同じように「女のドロドロ最高!」という感想を持っていたのではないか。筆者も自分を顧みつつ、そんな疑念を抱いてしまった。

 筆者が「シスターフッド」以上に「令和のバチェラー」を感じたのは、以下の3点。

「“女性は地位とお金を持った男性を愛する”という前提を取っ払っていた点」
「女性側もバチェラーを、結婚相手として吟味しているとハッキリ見せた点」
「バチェラーをそれほど必要としていなさそうな女性が多数登場した点」

 事実、選ばれなくても晴れ晴れとした表情で帰っていくメンバーも多かった。この新しいバチェラー像を作っただけでも、長谷川さんが出演した意義はあったはずだ。

 今回ファイナルローズに選ばれたのは、元キャバ嬢で現在はシーシャバーなどを複数経営している大内さんだった。初登場のときから涙を流し、長谷川さんとツーショットになるたびほぼ毎回のように号泣し、長谷川さんのご両親との会食でも泣き……そんな涙もろい大内さんだが、元売れっ子キャバ嬢という経歴から「演技か!?」とうがった見方をしていた。けれど、そういう意地悪な先入観ナシに、素直に接してくれる長谷川さんだからこそ、大内さんは惹かれていったのかもしれない。

 エピソード10「アフターファイナルローズ ~“最後の恋愛”の答え~」の座談会で、大内さんが幸せそうな表情をしているのを見て、純粋に長谷川さんを求めていたのだなぁと実感できた。エピソード9で突然、長谷川さんから「結婚の前に燃えるような恋がしたい」「いつまでも恋人のような夫婦でいたい」という願望が飛び出したが、大内さんなら叶えられそうだ。

 座談会で正式に婚約したことを発表した2人。大内さんは、“約束を守ってくれる長谷川さん”に惹かれていった様子なので、結婚という約束事も、彼ならきっちり実現させるのではないだろうか。心からおめでとうございます!

By Admin