9月8日より、テレビアニメ『シティーハンター』 の最新作『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』が公開される。
集英社の漫画誌「週刊少年ジャンプ」でかつて連載(1985年13号~91年50号)された、北条司氏による人気漫画が原作の『シティーハンター』シリーズ。新宿を舞台に、裏社会No.1の始末屋である主人公・冴羽獠のハードボイルドな生き様を描くアクションコメディで、87年にテレビアニメ化を果たし、シリーズ4作とスペシャル3作が放送されたほか、劇場版も過去に4本製作された。
今回の映画は、テレビアニメシリーズから約20年ぶりの復活となった2019年公開の『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』に続く最新作で、物語は「最終章〈ファイナルチャプター〉」へと突入し、冴羽獠の過去、そしてかつてのパートナーだった槇村秀幸の死の核心に迫るストーリーが展開されるという。
「声優陣には、冴羽役の神谷明をはじめ、ヒロイン・槇村香役の伊倉一恵ら、オリジナルのキャストが顔を揃えているほか、関智一、木村昴、沢城みゆき、堀内賢雄ら豪華な面々が参加。エンディングテーマは、テレビアニメ第1シリーズの主題歌でもあるTM NETWORKの『Get Wild』(87年)であることも発表されており、ネット上では往年のファンから歓喜の声が上がっています」(芸能ライター)
主演の神谷といえば、声優界を代表するレジェンドの一人。76歳という高齢ながら、現在も現役で活躍中だ。長年冴羽役を演じてきた神谷が今回も続投することについて、業界関係者は「とても良い傾向」と話す。
「20年以上も前の作品となると、『 声が変わっているのではないか』と思う人もいるでしょうが、神谷の声は昔とまったく変わっていません。 『ドラゴンボール』(フジテレビ系)シリーズの孫悟空役・野沢雅子や、『ONE PIECE』(同)シリーズのルフィ役・田中真弓らも同じです。中には、年齢を重ねたことで声の衰えを指摘される声優もいるものの、それはよく酒を飲んでいたり、 喫煙歴の長い人だけで、ほとんどはあまり声質が変わりません。 それに、神谷は長い間、冴羽役を演じてきましたから、テレビアニメ放送初期よりも表現力が豊かになり、 より良い芝居が見られると思いますよ」(声優業界関係者)
声優・神谷明、業界内で「使いづらい」印象も……後輩からは慕われているワケ
そんな神谷は、09年に『名探偵コナン』(日本テレビ系)シリーズの毛利小五郎役を突如降板した過去がある。当時、自身のブログで「私神谷 明は、昨日をもって名探偵コナンの毛利小五郎役を解かれました。理由などは、詳しくお伝えすることは出来ませんが、契約上の問題と、信・義・仁の問題とだけ申し述べたいと存じます」(原文ママ)と説明。詳細は明かされなかったため、さまざまな臆測を呼び、アニメファン、声優ファンに衝撃が走った。
その後、神谷は再びブログを更新し、問題は「契約の交渉過程」で起きたと説明。その交渉相手である制作会社の人物に、「本来守秘義務の生じる契約内容について、音声制作関連の団体および俳優関連の団体、さらに出演者の一部にまでその情報を、悪意を持って伝えられてしまった」といい、それによって「僕の帰る場所は奪われ」降板に至ったそうだ。
「神谷は当時、声優への“権利料の支払い”について疑念を抱いていたそう。テレビアニメのDVD化などの二次使用料は数千円ほどのため、声優としての権利と地位の向上を訴えていたものの、個人で各所へ働きかけていたこともあり、なかなか実を結ばなかったとか。小五郎役降板の裏になにがあったのか、詳しい事情はわかりませんが、こうした行動から、結果的に『神谷明は使いづらい』という印象を業界内に与えてしまったようです」(同)
一方で、人柄の良さから、後輩声優からは慕われているようだ。
「ベテラン声優の中には偉ぶる人も多く、特に酒の席で横柄な態度を取ったり、現場での上下関係に厳しいケースも。しかし、神谷は誰にでも親しげに接し、 後輩に対してもフレンドリー。 当然、芝居も素晴らしいので、共演した後輩からは『とても勉強になった』との声が聞こえてきます」(同)
一部からは、これまでの実績や経験を生かし、「声優界の発展のため、『日本俳優連合の理事になってほしい』という声も上がっている」(同)という神谷。『シティーハンター』 は最終章に向かうようだが、後進のためにも、今後も活躍し続けてほしい。