• 日. 12月 22nd, 2024

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娘が「すみっコぐらし」のグッズを友達にあげてしまった! お礼は折り紙と手紙だけって許せる?

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。

 子どもの頃、香りのついた消しゴムや小さな便せんなど、可愛らしい文房具を友達同士で交換したことがある人は少なくないだろう。令和の小学生の間でも、友達同士でプレゼントを贈り合う風習は残っているようだ。しかし、そこにはトラブルも潜んでいる。今回は、娘の友達付き合いをめぐり、ママ友の対応に頭を悩ませているお母さんの声を取り上げる。

小学校の帰り道にある我が家は子どもの溜まり場に

 都内に住む歩美さん(仮名・43歳)は、私立大学の事務として勤務しながら中学1年生になる息子と、小学3年生の娘の育児をしている。

「娘の愛理(仮名)はコロナ禍の時に小学校へ入学した影響からか、新しい友達ができにくかったんです。当時は子どもの保育園が同じだったママ友とLINEのグループを作って、子どもたち同士で遊ぶ機会を作るようにしていましたが、今では愛理も、小学校にたくさん友達ができました」

 戸建て住宅である歩美さんの家は現在、子どもたちが集う場所になっているそうだ。

「我が家はちょうど小学校の帰り道にあるので、よく娘が友達を家に連れて来ているようです」

 放課後、子どもたちが歩美さん宅で過ごすことは、ママ友たちも了承しているそうだ。というのも、歩美さんの家には中学生の息子がおり、小学生だけで留守番しているわけではないため、「安心感があるみたいですね」とのこと。

「小学校の周りには高額な民間学童しかないため、当初は仲が良いママ同士で『お互いの家で子どもを留守番させよう』とも話していたんです。実際に、娘もママ友の家で遊んでいたのですが、ほかのお宅はみんなマンションでして、『一軒家のほうが広い』という理由から、自然とうちに子どもたちが集まるようになった感じですね」

 歩美さんの家では、息子さんが小学生の頃も、友達がよく遊びに来ていたそうだ。

「私は時短勤務で午後4時には退社できるので、フルタイムで働いているママの子どもがよく遊びに来ていました。ママ友にうちまで迎えに来てもらうのは悪いなぁと思い、子どもたちには『帰る時間があまり遅くならないようにね』とよく伝えていました。それでもゲームに熱中して、なかなか帰らないこともあって、それには困ってしまいましたね」

 子どもたちが集まる家ならではの悩みはほかにもある。

「息子と友達は当時、ポケモンカードや『Nintendo Switch』でよく遊んでいました。ある時、そのゲームソフトがなくなってしまい、一緒に遊んでいたママ友にLINEをして探してもらったことがあるんです。どうやら友達が、息子にソフトを借りたまま持って帰ってしまっていたのです。そういう子ども同士のトラブルがあると、『うちで遊んでもらうのは嫌だな……』と思ってしまいます」

 最近、歩美さんは、愛理さんの友達付き合いで困っていることがあるそうだ。

「息子は、特定の少数の友達と仲良くするのではなく、大勢のクラスメイトが一気にうちへ遊びに来て、途中で公園に行く……という遊び方をしていたのですが、愛理は仲のいい2~3人の女の子とばかり一緒に過ごしていて、その子たちが代わる代わる毎日遊びに来ています。そのうちの1人は、ママに会ったことがないので、何かあった時に困るなぁとは常々思っていました」

 ある時、愛理さんの持ち物で気になることがあった。

「愛理の筆箱を見たら、鉛筆や消しゴムが減っているんです。それにぬいぐるみも1つなくなっていました。『この前、買ってあげたばかりじゃない』と聞いたら、家に遊びに来た三奈ちゃん(仮名)にあげてしまったと言うんです。三奈ちゃんは、3年生になって初めて同じクラスになった子で、さっき話した“ママと面識がない子”。三奈ちゃんは娘の好きな『すみっコぐらし』のキャラクターを気に入って、『欲しい』と言ったみたいで、愛理がプレゼントしたそうです」

 もともと家に遊びに来ていたのは保育園で一緒だったママさんの子どもが多かったので、「気軽に連絡が取れた」という歩美さん。しかし子どもが小3にもなると、交友関係が広がり、相手の家庭を把握しきれなくなったそうだ。

「三奈ちゃんのママは、あまり保護者会などには来ないので、顔もよくわからないんです。息子の時のゲームソフトのように高額ではないですが、ノートや文房具、ぬいぐるみなどを勝手にあげるのはよくないと思いました。娘にも『金銭のやりとりではないけれど、パパとママが働いて買ったものなのだから、そういうことはしないで』と伝えたんです」

 しかし、愛理さんから驚くような反論をされたという。

「愛理は『あげたんじゃない。お礼をくれたよ』と言い、折り紙の作品や、メッセージの書かれたノートの切れ端が入ったビニール袋を持って来たんです。子ども同士なので悪気はないのでしょうが、新品の文房具やぬいぐるみのお礼を、折り紙や手紙で済ませてしまっていることに、強い違和感を抱きました」

 そこで、歩美さんは三奈ちゃんのママに手紙を書いたそうだ。

「もしかしたら、うちに遊びに来ていることを知らないかもしれないので、手紙にはまずそのことを書きました。それから、愛理が文房具やぬいぐるみをあげてしまったことを記し、『お互いそういうことはしないようにしませんか』『ご家庭でも三奈ちゃんに注意してほしい』と書きました」

 その手紙を三奈ちゃんに『パパかママに渡してね』と伝え、託したという歩美さん。しかし――。

「その後、公開授業で三奈ちゃんのママと会う機会があったのですが、何も話しかけてこなかったんです。私だったらすぐ謝るのに……。たまらずこちらから『こんにちは』と声を掛けたのですが、『こんにちは』と受け流されてしまって、『私の手紙読んだのかな』『読んだのに何も伝わってない?』と、それ以来モヤモヤしています」

 物の貸し借りや、もらったりあげたりをめぐり、子ども同士、また親同士がトラブルになるケースはよくある話。最近は、おもちゃや文房具も高額化しているが、「親の知らぬところで、子どもが友達に貸したり、あげたりしてしまう」ことは、ママたちの悩みの種になっているようだ。実際、筆者も、気づかぬうちに子どもが自分の文房具を友達にあげていたことがあった。

 小学校中学年くらいまでの子どもは、物の価格や価値はわからないだけに、キャラクターものなど、周りの友達が欲しがるグッズは、できるだけ学校や学童には持っていかせず、家の中だけで使うのが得策といえる。しかし、愛理ちゃんと三奈ちゃんは自宅で遊ぶ仲だけに、それでは防ぎきれない。

 となると、やはり「もともと付き合いがあり、コミュニケーションが取れるママの子どもしか家に招かない」ようにするしかない。たとえ親しいママ友同士でも、おもちゃがなくなったことを伝えたり、子どもがあげたつもりのものを返してほしいとお願いするのは、気が引けるものだし、あまり知らない相手であった場合、それはなおのこと難しいだろう。

 三奈ちゃんのママは、実際のところ手紙を読んでいないかもしれないが、子ども同士のトラブルに介入するのを嫌がるタイプの可能性もある。しかし、お互いに「物の貸し借りは、親に確認してからじゃないとしない」「持ち物を勝手にあげたりしない」というルールを明確に共有できているママではない場合は、自分の目が届く場所で、子どもたちを大勢かつ公園で遊ばせるなど、個人同士だけの付き合いにならない工夫をする必要があるかもしれない。

 そうこうしているうちに、子どもも成長し、物の価格や価値を理解できるようになって、こうしたトラブルはなくなっていくはずだ。

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