ジャニーズ事務所は9月13日、公式サイト上で「故ジャニー喜多川による性加害問題に関する被害補償及び再発防止策について」という文書を公開。同7日の記者会見で創業者・ジャニー喜多川氏(2019年に死去)の性加害問題を正式に認めた事務所が、今後問題解決に向けて、どのような対応を取るのか注目されていたが、「被害者への補償と同時に発表された“所属タレントのための施策”が、業界内外で物議を醸している」(スポーツ紙記者)ようだ。
公式サイトでは今回、まずジャニー氏による性加害の被害者への補償に関して「再発防止特別チームからの提言に従い、被害者救済委員会を設置するとともに補償受付窓口を開設いたします。この被害者救済委員会の判断に従い被害者に対する金銭補償を行います。また、弊社は被害者の方々との対話を進める所存です」(原文ママ、以下同)などと発表。
「そのほか、『社内規程整備』などで再発防止を図っていくとのことですが、最も注目を集めているのは『弊社は失った信頼を回復できるように全力を注ぐととともに、今後1年間、広告出演並びに番組出演等で頂く出演料は全てタレント本人に支払い、芸能プロダクションとしての報酬は頂きません』という部分でしょう」(同)
ジャニーズタレントを6~7割引でCMに起用できる?
ジャニー氏と事務所側の問題が取り沙汰されている現在、所属タレントをCMに起用する大手スポンサー企業が、次々に「契約見直し」を発表している。
「テレビ出演や広告契約で得た報酬をすべてタレント本人に支払い、事務所は本来受け取るはずだった、数億かそれ以上のお金を放棄するということになります。それだけに思い切った施策ではあるものの、前向きに受け止める声はあまり出ていないようです。すでに“CM降板ドミノ”が起きてしまっている最中とあって、付け焼き刃、取ってつけた感が出てしまっています」(同)
なお、この施策は業界関係者から見ると不明瞭な点も多いようだ。
「同事務所のタレントは基本的に月給制で、衣食住にもある程度の補填が出るというシステムといわれているんです。なのでタレントが受け取るギャラ自体は、ほかの事務所と比べてそこまで高くないとか。例えば、あるタレントに新規で1000万円の広告が入ったとしても、歩合ではないので、本人の実入りは変わらないということです」(同)
一方、この施策が実行されると、「芸能界でのCMの取り分の相場は、大体タレントと事務所で7:3~6:4くらい。それをジャニーズ事務所にも適用すると、スポンサー企業は6~7割引でジャニーズタレントを起用できるということになる」(同)そうだ。
スポンサー企業の広告料は変わらず、タレントにまるまる入る可能性は「低そう」
もしくは、スポンサー企業がこれまでジャニーズ事務所に支払っていた広告料は変わらず、それがまるまるタレントのポケットに入るケースも考えられるが、「可能性は低そう」(同)だという。
「それならタレントにかなり有利ではあるものの、いきなりギャラの規定を抜本的に作り変えるのも大変でしょうし、あまり現実的ではない。そもそもCMのキャンセルが相次ぐなど、事務所との契約に難色を示す企業が続出している中での同施策は、本当に所属タレントのためなのか。企業側が“タレント本人に報酬が渡るなら”と好意的に捉えてくれたらいいものの、そのタレント本人がジャニーズ事務所の看板を背負っている以上、難しいのでは。正直、事務所が、これから大流出が始まるであろうタレントの“囲い込み”を図るための苦肉の策のようにも見えます」(同)
いずれにせよ、ジャニーズ事務所としては相当な痛みを伴い、かつタレントファーストの施策ではあるものの、「どうにも怪しい施策に感じてしまう」(同)ようだ。このようなボタンの掛け違いが続くようなことになると、タレント側も息苦しいままかもしれない。