• 日. 12月 22nd, 2024

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明日あなたが被害にあうかもしれない

「タカラヅカいじめ裁判」宝塚歌劇団96期生、マスコミが沈黙した内容の全貌

 10月1日、宝塚歌劇団の公式サイトがニュースを更新。「昨日、宝塚歌劇団員の死亡に関する報道がございました。
謹んで心より哀悼の意を表します。また、ファンの皆様ならびに関係者の皆様にご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます」との文面を公開し、詳細については公表を差し控えると伝えた。

 前日の9月30日、宝塚歌劇団(宝塚市)に所属する劇団員が死亡していたと報じられた。地上18階建ての高層マンションの最上階から身を投じた自殺とみられているという。

 このニュースを受けて、現在ネット上では「いじめ」という言葉が飛び交っている。過去に宝塚音楽学校で起こった“宝塚歌劇団96期生”のいじめ問題を指摘し、今回の報道と結びつける意見もみられ、多くの賛同を得ているようだ。

 2008年、ヅカファンを中心に衝撃が広がった“宝塚歌劇団96期生”の悪質ないじめ騒動。それまでも卒業生のタカラジェンヌの口から、校内にいじめが存在することは匂わされていたが、具体的な手口や手法が明らかになったのはこのケースが初めてだろう。

 サイゾーウーマンでは、08年に宝塚音楽学校で起こったこのいじめ事件のきっかけや、マスコミの沈黙について取り上げていた。改めて、10年12月11日公開の記事を再掲する。

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 兵庫県宝塚市に位置する宝塚音楽学校。20倍の難関を勝ち抜いた少女たちは、タカラジェンヌを夢見ながら、厳しい校則にも従順に2年間を過ごす。そして今年も3月に卒業式が行われ、第96期生の38人が巣立っていった。しかし、あるはずのSさんの姿はそこにはない――。

 入学当時17歳のSさんが、無実の罪で退学処分を受け、学校を相手取り起こした"いじめ裁判"。今年7月にようやく決着が付き、その一部始終を綴った書籍『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今』(山下教介著/鹿砦社)がついに刊行された。

 「清く、正しく、美しく」のモットーは何処へ……と目を疑う内容に、ヅカファンのみならず衝撃を受けることだろう。

ネットの「Sさんが一番きれい」書き込みがきっかけに

 2008年、生徒の大半が共同生活を行う「すみれ寮」。入学したばかりのSさんは、何者かに洗濯物をゴミ箱に捨てられるなどの嫌がらせを受けていた。原因はインターネットサイトにあった「予科生の中でSさんが一番きれい」という書き込みだと言われており、実際にSさんは容姿端麗だったようだ。

 同時に「すみれ寮」では相次いで盗難事件が発生。犯人は分からぬまま被害者が17名にも及んでいたある日、自室に戻ったSさんは異変に気づく。

<引用>自分の部屋に戻ると、ベッドの上にそのドライヤーをはじめ、R丸の名前が書かれたボディファンデーション、食券などいろんなものが置かれて、部屋に集まっていた同級生たちから「これらのものはどうした?」と責め立てられた。<引用終わり>

 この一件で、生徒と学校サイドからSさんへの不信感が募り始める。それから2カ月後、ある他界したあるタカラジェンヌの後援会から同郷のSさんに、法要への出席の打診があった。母親と共に法要に参加したSさんの様子は、取材に来ていた岩手放送によって報道され、「学校側に無許可で取材を受けた」「予科生は化粧は禁止なのに、薄化粧で出席した」などの校則違反を犯したとして学校で大問題に。Sさんへの風当たりは更に冷たくなっていった。

宝塚音楽学校、万引きの告発と加速するいじめ

 その翌月、Sさんにとって最大のピンチが訪れる。「コンビニでSさんが万引きするところを見た」と同期生が告発したのである。「私はやっていません。防犯ビデオを見てください」と訴えるSさんの声も空しく、一方的に吊るし上げられる形となった。

 「私の視界に入るな」「死ねばいいのに」、容赦なく浴びせられる罵声や、Sさんを除いたメーリングリストの作成など、いじめはエスカレート。そんな最中、また不運が訪れる。宝塚劇場でお客さんがなくした財布を、Sさんが偶然拾ってしまうのだ。事態はどんどん悪い方へ……。

 数々の疑いをかけられたSさんは、ついに学校側から退学処分を通知されるも、学校を相手取り訴訟を起こす。学校側の幼稚な対応や、学校ぐるみでのいじめの実態が明るみになりながら、裁判は意外な結末を迎える――。

 騒動当時、週刊誌が数ページのレポを載せるぐらいで、テレビや新聞は宝塚歌劇団のバックである阪急・阪神という巨大資本を前に萎縮し、大々的な報道をしなかった。

 ここまで突っ込んだ本を刊行できるのも、過去にプライバシー侵害で宝塚歌劇団と裁判を繰り広げた鹿砦社くらいかもしれない。だとすれば、『ドキュメント タカラヅカいじめ裁判―乙女の花園の今』は貴重な一冊といえるだろう。結末は是非、皆さんの目で確かめて頂きたい。
(林タモツ)

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