覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
「プリズン・コンサート」のPaix²(ぺぺ)が「市民栄誉賞」を受賞
9月17日にPaix²(ぺぺ)のお2人が地元・鳥取県倉吉市の「市民栄誉賞」を受賞されたそうです。
2000年から23年も続けてる「プリズン・コンサート」が500回を超えたことと、22年の「安全安心なまちづくり関係功労者内閣総理大臣表彰」を受賞したことで、地元からもサプライズ表彰になったんですね。瑠壬もうれしいです。
リアルには1回しかお会いしたことないけど、ムショでは「励まされる側」やったし、大好きなお2人です。
これからもがんばってほしいし、なんなら3人目のPaix(「ペ」=フランス語で「平和」)として入れていただき、「ペペペ」として活動させてほしいです。前から言うてますが、なかなか実現しません。来年こそマジでお願いします。
ネイリストの技能検定を獄中で
コロナもあるし、ムショの慰問も微妙なところがありますが、瑠壬の頃もいろんな方が来てくださってました。
特に心に残ってるのは八代亜紀さんです。壇上からやのにめっちゃいい匂いがして、「早くムショを出て、香水や化粧品を買いたい!」と思えました。これも更生のきっかけのひとつです。
ちなみに瑠壬は見てへんのですが、ドランクドラゴンの鈴木拓さんがテレビで慰問の話をしてて、看守さんが「失礼のないように、騒いだり、笑ったりするんじゃねえぞ!」 っていうからやりづらいと話してたそうです。
ちょっとおもろかったです。たしかにムショでは慰問は「手は膝」で静かに聞かされるから、芸人さん的には「地獄」やそうです。笑うてほしいですよね。
シャバにいてたら音楽や漫才、落語もなんでも聞けますが、獄中(なか)はそんな自由もないです。イヤならムショに行くようなことをしなければええんです。これは反省しております。
全部のムショではないですが、ラジオ番組を作ってるところもあります。有名なのは府中刑務所ですね。懲役(受刑者)から曲のリクエストや思い出を聞いてパーソナリティーが読むので、人気があるそうです。
東京新聞は、府中刑務所の刑務官の「人とのつながりが暴力団しかない受刑者もいる」「出所後に再び罪を犯さないように、健全なつながりを知ってほしい」「メッセージの記入は自分や家族のことを考え、内省する機会になっている」とかのコメントを載せてました。
ムショにいる間にいろいろ考えたり、反省したりできれば出所後もがんばれますし、新しい更生支援も増えてきましたね。
民間の出版社や警備会社とかが運営に参加してるPFI刑務所の「喜連川社会復帰促進センター」は、ネイリスト養成を刑務作業に入れてて、NPO法人日本ネイリスト協会が、ジェルネイル技能検定の初級試験を獄中で実施したそうです。試験官さんがちゃんと施設に来たんですね。
これはうらやましい。瑠壬の頃にはなかったですが、瑠壬の母校(和歌山刑務所)は地元の方が使える激安美容室をやってます。
激安ゆうと不安な感じですが、出来栄えはちゃんとしてるし、最近はヘアドネーションの活動にも協力してるそうです。医療用のウィッグに使うアレです。こうゆう社会に役立てる刑務作業がええですね。
少子高齢化で懲役も減ってて、ムショの対応も優しくなってるのかなと思うと、そうでもないんですよ。
ネットニュースで、岡山刑務所の拘置施設で被告人との面会を録音していた弁護士さんが、その内容を刑務所の職員に確認されたため、「弁護活動の自由や接見の秘密が侵害された」として、国に100万円の賠償を求める裁判を起こしたのを知りました。
接見交通(被疑者・被告人に保障された、弁護人とだけできる自由な面会)は立会人ナシですよね。弁護士さんとだけなら安心して話せる、と思うほうが普通ですが、訴えられた岡山刑務所はお得意の「訴状が届いていないので、コメントできない」コメントでした。訴状届いても絶対コメントしないですよね。
あとは「服役していた男性が刑務所にHIV感染を放置された件」も気になりました。和解したそうですが、放置してエイズ発症、今も杖が手放せないそうです。
この2つの裁判は、両方とも若い女性の弁護士さんで、編集者さんも感心してました。和解を取ったほうの弁護士さんは、監獄人権センターの理事なんですね。
同センターはヤクザから左翼、右翼までいろんな懲役を助けてますから、ムショに関係ありそうな界隈では知らない人はいてません。ありがたい存在なのです。
若い女性が活躍してるのは頼もしいし、瑠壬もがんばりたいと思いました。