• 日. 12月 22nd, 2024

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ママ友から「運動会の場所取り要員」にされた? うちのレジャーシートにママたち合流にモヤモヤ

「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。

 小学生の子どもを持つ親にとって、運動会は是が非でも参加したい学校行事の一つ。春や秋の運動会シーズンともなると、家電量販店では一眼レフカメラやビデオカメラの売り場も盛況のようだ。

 親が集まる場には、トラブルもつきもの。今回は、運動会の場所取りをめぐり、ママ友の無礼な行動に頭を悩ませているというお母さんの声を取り上げる。

転校したばかりの小学校で最初にできたママ友

 関東近県に住む麻美さん(仮名・43歳)は、小学3年生になる息子を育児中のママ。今年8月に、4年ほど住んだ九州から関東へ家族で引っ越してきた。建築関係の仕事に就く夫は、数年ごとに転勤があり、それに伴う転居だった。

「今年の2学期から、子どもは新しい学校に転校しました。まだ小3なので、新しい環境にもすぐなじめるかなと思っています。ただ、問題は私のほう。ママ友がおらず、すべてゼロからのスタートなので心細かったですね」

 しかし、転校してからすぐに、息子と同級生の男児を育児中の恵美子さん(仮名・40歳)と、親しくなったという。

「恵美子さんは、保護者会の帰りに一緒になりました。旦那さんの実家近くに、戸建てを購入して家族4人で暮らしている恵美子さんは、ママ友も多くて、いつもママ友数人と一緒に行動していたんです」

 麻美さんと恵美子さんが仲良くなったのは、息子の習い事がきっかけだった。

「『空手を習いたい』という息子のために教室を探していたのですが、恵美子さんの子どもが通っている道場を紹介してもらいました。その時に、『困ったことがあったら、何でも聞いて』と言われて、連絡先を交換したんです。彼女はこの地域のことだけでなく、去年、PTA委員もしていたので、学校のことにも詳しい。わからないことがあると、恵美子さんに聞くようになりました」

 引っ越してすぐ、息子の小学校で運動会が行われた。同校ではコロナ禍以降、運動会は2学年制で行われ、保護者も入れ替え制となっている。

「1・2年、3・4年、5・6年という形で、2学年ずつ運動会が行われる形です。全学年の家族が集まるわけではないので、場所取りはそこまで大変ではなかったのですが、入れ替え制のため、ほかの学年にきょうだいがいるママさんは大変そうでした。下の子の運動会が終わったら、一度退場して、もう一度場所を取り直さないといけないからです」

 麻美さんにとっては、息子が転校して初めての学校行事。「早めに場所取りをして、いい位置で観覧しようと思っていた」という。そんな時、恵美子さんから、「良ければ一緒に観覧したい」と誘われたそうだ。

「夫は仕事なので、当日は一人で見る予定でした。『ひとりぼっちはさびしいなぁ』と思っていたところに、恵美子さんが声をかけてくれたので、『ぜひ一緒に応援しましょう』と答えたんです」

 当日、麻美さんはレジャーシートを持参し、場所取りを行った。恵美子さんが合流すると、その後、彼女の親しいママ友2人もやって来たという。

「恵美子さんとは、保育園時代からの仲というママさんは、下の子2人も連れて来たため、計6人で観覧することに。あまり大きなレジャーシートではなかったので、子どもたちを優先して座らせると、私が座れなくなるほどぎゅうぎゅうになってしまったんです」

 しかし、競技の時には、写真を撮るなどして動き回っていたため、「シートに座れないのはそこまで気にならなかった」という。

「3・4年の競技が終わると、入れ替え制なので親たちは帰るのですが、高学年の子どもがいる一部の保護者は、ルール違反ではあるものの、そのまま校庭に残っていたんです。恵美子さんは小3の息子以外に、小6の娘もいるので、どうするのかなと思っていたところ、『このままシートを貸してくれない?』と聞かれました」

 麻美さんは、入れ替え制のため、一度、退場したほうが良いのではないかと思ったものの、恵美子さんには言えなかったそうだ。

「それに、わが家のシートを貸すとなると、私がズルして場所取りしているみたいで嫌だったのです。でも、うちは転校してきたばかりだし、恵美子さんはPTAの会長とも親しそうだったので、『歯向かったら、学校での立場がなくなるのでは……』と思ってしまって……。恵美子さんも『大丈夫。ちゃんと返すから』と言って取り合ってくれず、結局、そのままにして私は退場しました」

 あとになって麻美さんは、「恵美子さんは最初から、場所取り目的で私に声をかけたのではないか」と感じるようになった。

「恵美子さんは、私と一緒に見ようと言っていたのに、ほかのママ友を連れてきた。もしかしたらうちが用意したレジャーシートに、みんなで座るつもりだったのかもしれません。場所取りに使われたみたいで、残念な気持ちになりました。しかも、そのまま私が用意したレジャーシートで上の学年の運動会も観覧したのかと思うと、なんだかモヤモヤするんです」

 コロナ禍を経て、小学校の運動会は短縮化や入れ替え制が進んでいる。忙しいママたちにとっては、場所取りや弁当作りなどの手間が減るので、必要な学年だけ観覧できるスタイルは歓迎されているだろう。しかしその半面、子どもが複数いる場合には、何度も場所取りをしなければならず、新たな手間も増えた。

 運動会では、ママ友同士が集まって応援する姿をよく見かける。まだ引っ越したばかりで知り合いの少ない麻美さんにとって、「一緒に観覧したい」という恵美子さんの申し出は、とてもうれしかったことだろう。実際、場所取りとして使われていただけだとしたら、気の毒でならない。

 来年も同じような目に遭わないためには、事前に「レジャーシートが小さくて、○人くらいしか座れない」など、ほかのママ友を連れて来るのは避けてほしいと暗に伝えるのがいいだろう。

 そもそも運動会の観覧は、基本的に家族単位で行われ、ママだけというケースは少ない。家族ぐるみの付き合いをしているママ友以外とは、レジャーシートを共有しないほうがトラブルは避けられるように思う。

一方、「レジャーシートをそのまま貸してほしい」という申し出についてだが、暗黙の了解事を知る恵美子さんからしたら「一度退場する」というルールを破るのは、大したことではないのかもしれない。

 しかし新参者の麻美さんにとっては、場所取りしないで良い席に座られた上に、自分がルール違反をしているように受け取られかねない行為だ。恵美子さんは、「転校して間もない麻美さんは、入れ替え制についてよくわかっていない」からルール違反しても許されると思い、そう仕向けて頼んできた可能性もある。

 では今後、同様のことを避けるためにはどうすればいいのか。直接「ルール違反だから無理」と言うのが憚られるのであれば、「夫がそういうのを嫌がるタイプ」など、家族が言っているふうにして断ると、角が立ちにくい。

 子ども同士の関係がありきのママ友には、たとえ正論でも伝えづらいことは多い。今後も付き合いが続くとしたら、なおさらだ。なるべく学校行事に関しては、家族以外は介入させない。それがトラブルを防ぐ一番の方法といえる。

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