菅田将暉の主演映画『ミステリと言う勿れ』が、全国週末興行成績に基づく映画ランキング(興行通信社調べ)で、今年初となる5週連続の首位獲得という大ヒットを記録。現在までに、累計動員数278万人、興行収入37.6億円を突破している。
同映画の原作は漫画家・田村由美氏が「月刊フラワーズ」(小学館)で連載中の同題作品。昨年、フジテレビ系月9枠で放送された連ドラ版は、全話平均11.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でフィニッシュし、ビデオリサーチによる「2022年に最も見られた番組ランキング」のドラマジャンルで1位を獲得した。
連ドラ版のみならず、映画版でも大ヒットを記録している『ミステリと言う勿れ』だが、同じように映画化された月9作品は10作品以上もある。月9ドラマの映画化は2000年代から活発に行われており、映画版がドラマ版以上のヒットにつながることもあれば、中には大爆死してしまうケースも。
フジ月9映画、最大のヒットは興行収入90億円突破
そんな月9映画化作品の中で、トップの興行収入は山下智久主演の『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(18年)の93.0億円。興行収入90億円突破は、邦画実写映画として15年ぶりという快挙だった。
2位は木村拓哉主演の『HERO』劇場版第1作目(07年)で、81.5億円。ちなみに15年公開の第2作も46.7億円で4位にランクインしており、同シリーズの人気ぶりがうかがえる。3位は福山雅治主演の『ガリレオ』シリーズ『容疑者Xの献身』(08年、劇場版第1作目)で49.2億円。俳優としてさまざまな作品に出演してきた福山だが、意外にも同作が映画初主演だった。
一方、興行収入が伸びなかった作品もある。月9映画化作品史上、最も興行収入が低いのはディーン・フジオカ主演の『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(22年)の5.2億円。ドラマ版でさまざまな謎が残されていたにもかかわらず、映画版はそれをひもとくようなストーリーではなかったのも敗因の一つかもしれない。
ワースト2位は『劇場版ラジエーションハウス』(22年)の9.4億円。もともと人気同名マンガの実写化だったはずが劇場版は完全オリジナル作品であり、ドラマファンの心をつかめなかったとも考えられる。ワースト3位は『映画 イチケイのカラス』。ドラマ放送後に視聴者から「『HERO』の裁判官バージョン」といった声が上がるなど、ドラマ版・映画版ともにヒットした『HERO』を意識した作品と見られており、ワースト入りしたものの、ヒットの基準とされる興行収入10億円は突破している。
『ミステリと言う勿れ』は現時点で興行収入が37億円超えで、フジテレビ系「月9」映画歴代興行収入ランキングでトップ10入りが確定。ここからどれだけ数字を伸ばすのか、期待したい。
フジテレビ系「月9」映画歴代興行収入ランキング【2023年10月最新】
1位:『劇場版コード・ブルー-ドクターヘリ緊急救命-』(18年7月27日公開)93.0億円
2位:『HERO』(07年9月8日公開)81.5億円
3位:ガリレオシリーズ『容疑者Xの献身』(08年10月4日公開)49.2億円
4位:『HERO』(15年7月18日公開)46.7億円
5位:『信長協奏曲』(16年1月23日公開)46.1億円
6位:『西遊記』(07年7月14日公開)43.7億円
7位:『のだめカンタービレ 最終楽章前編』(09年12月19日公開)41.0億円
8位:『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(20年7月23日公開)38.4億円
9位:『のだめカンタービレ 最終楽章後編』(10年4月17日公開)37.2億円
10位:ガリレオシリーズ『真夏の方程式』(13年6月29日公開)33.1億円
11位:ガリレオシリーズ『沈黙のパレード』(22年9月16日公開)30億円
12位:『コンフィデンスマンJP ロマンス編』(19年5月17日公開)29.7億円
13位:『コンフィデンスマンJP 英雄編』(22年1月14日公開)28.9億円
14位:『イチケイのカラス』(23年1月13日公開)10億円超
15位:『劇場版ラジエーションハウス』(22年4月29日公開)9.4億円
16位:『バスカヴィル家の犬 シャーロック劇場版』(22年6月17日公開)5.2億円
※現在公開中の『ミステリと言う勿れ』は含めず
※一般社団法人日本映画製作者連盟資料、「キネマ旬報」(キネマ旬報社)より