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市川猿之助は上級国民? セクハラ・パワハラはうやむやに早期復帰を画策する歌舞伎界
市川猿之助の“復帰プラン”で思い浮かぶ「上級国民」という言葉……セクハラ・パワハラはうやむや?
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
ハマスとイスラエル、どちらが悪なのか正義なのか。どちらが残虐なのか、人道に反するのか。それぞれの主張はプロパガンダなのか事実なのか。日々伝えられるパレスチナ自治区の状況を見て、その複雑さにあぜんとする。この議論をすると、周囲でも断絶が起こるほど――。
第671回(10/19〜10/24発売号より)
1位「10・20初公判直前の異変 市川猿之助被告『弟子との㊙︎新生活』復帰着々」(「女性セブン」11月2日号)
同「市川猿之助被告 復帰舞台は香川が仕切る追善公演」(「週刊女性」11月7日号)
2位「衝撃告白『毎年40人を辞めさせるのが責務』元宝塚スタッフが明かす苛烈な悪習」(「週刊女性」11月9日号)
同「徹底取材 宝塚歌劇団『密告犯は別にいる』」(「女性セブン」11月2日号)
3位「二世芸能人『実力派』と『七光り派』その分岐点」(「週刊女性」11月7日号)
日本の伝統と格式と文化――それを担っているはずの2大エンタメ界が揺れている。さまざまな問題、そして膿が噴出しようとしている。歌舞伎と宝塚を舞台にだ。
まずは歌舞伎界。10月20日、“心中事件”を起こした市川猿之助被告の初公判が行われ、大きな注目を浴びた。が、驚いたのは初公判にして即時結審したということ。2人の死者が出ているのに、事件の発端となったセクハラ・パワハラはうやむやに。そんな状況で、さらに即日結審とは異例のことだ。
そしてもうひとつの驚きは、猿之助が自らの職業を「歌舞伎役者」と明言したこと。さらに、そんな猿之助と呼応するように、判決も出ないうちからすでに猿之助の復帰が話題になっていることだ。
この日の初公判を前に、「女性セブン」では猿之助の近況を報じていた。猿之助には2人の歌舞伎役者がつきっきりで身の回りの世話をしていること、そのため彼ら役者は舞台から離れて心配の声が上がっているという。そして記事では猿之助の復帰についても大きく取り上げている。
「興行主サイドは水面下で『復帰が大前提』として動いています」
「もし執行猶予判決が出るようなら、社会貢献活動など“禊”を行い、世間の理解を得たうえで復帰させるというプランを練っているそうです」(歌舞伎関係者のコメント)
興行主の松竹は客を呼べる、つまりお金になる猿之助の早期復帰を是が非でも画策したいということだ。「セブン」は歌舞伎界による復帰の動きに、こう釘を刺している。
「歌舞伎界は完全に黙殺していますが、事件のきっかけは猿之助さんの性加害が報じられたことだとされます。その検証が済まないうちに復帰ができるのでしょうか。復帰の道筋も見えないのに、未来のある一門の若手に身の回りの世話をさせるのは、公私の混同ではないか」(歌舞伎評論家のコメント)
猿之助、異例の即日結審と復帰の動きで思い浮かぶ言葉
おっしゃる通りだと思う。初公判後に発売された「週刊女性」も同様だ。松竹が猿之助復帰舞台として9月13日に逝去した市川猿翁の追善公演への筋道を立てていると報じる一方、こう断じている。
「猿之助さんは公私で親しい人と仕事をするスタイル。彼のそういった姿勢が心中騒動につながったパワハラやセクハラを助長していたという見解もあります」(澤瀉屋に近しい人のコメント)
「セブン」「週女」とも今回の事件のそもそもの本質、問題を改めて指摘する。確かにこれまでの流れをみると、猿之助のセクハラ・パワハラはスミに追いやられ、また“消えたビニール袋”などの疑問もあるにもかかわらず、“殺人”ではなく“自殺ほう助”というより軽い罪で起訴されたことへの疑問も今や雲散霧消したかのようだ。
そして裁判も異例の即日結審。さらに松竹による猿之助復帰の動き――。これらを重ね合わせると、どうしてもひとつの言葉が思い浮かぶ。上級国民。2019年、池袋で起こった乗用車暴走事故で2人もの死者を出したにもかかわらず逮捕されなかった元高級官僚に対し、その不公平感からネットを中心に拡散された批判だ。猿之助もまた事件後しばらく逮捕されなかったこともあり、この言葉が頭をよぎる。
いじめ否定の宝塚の問題を指摘する「週刊女性」と「女性セブン」
そして、もうひとつが宝塚歌劇団を巡るいじめ自殺問題だ。すでに今年2月から「週刊文春」(文藝春秋)が報じていた宝塚いじめ問題。劇団側はこれを全否定していたが、報道から半年以上たった9月30日、いじめの被害者とされた25歳の有愛きいさんが自宅マンション屋上から転落自殺してしまう。にもかかわらず、劇団側は現在においても調査はするといいながら、いじめについては否定したままだ。
これまでも宝塚のいじめ体質などの問題に関する報道は存在した。だが劇団側はその度、いじめやパワハラを強くそれを否定してきた。そんな宝塚に対し「週刊女性」はその姿勢、体質を批判した。
「一貫していじめの存在を認めない劇団の姿勢に多くの人が疑問を抱いています」(スポーツ紙記者のコメント)
徹底した年功序列や情報管理など閉鎖的な環境、先輩によるいじめの実態なども指摘、その体質にメスを入れる記事だ。そして「女性セブン」もいじめ報道直後から劇団内で“執拗な犯人探し”があったこと、情報リークもいじめも宝塚ならではの体質によるもの、さらにタカラジェンヌが置かれた環境は“牢獄のよう”であることを指摘している。
現在、次々と公演中止が発表されている宝塚。そもそも清く正しく美しく、そして徹底した年功序列――これらの言葉を聞くだけでパワハラの温床だと思うが、しかしその隠蔽体質は、根が深いようだ。今回の悲しい事件を機に、少しでもそれが改善されることを願うばかり。
コネも親の名前も利用しない実力派二世芸能人の例外
結構な衝撃だった。「週刊女性」の二世芸能人特集。趣里、安藤サクラ、柄本佑・時生兄弟、杏など、昔と違い親の七光りではなく、コネも親の名前も利用しない実力派が増えたという記事なのだが、しかし例外が。
「次女のKōki,は、15歳のときに突然ファッション誌の表紙を飾り、世間の度肝を抜きました。なにせ、顔がキムタクにそっくりですからね。しかし、彼女のそれ以降の活動を見ると何を目指しているのか、まったくわかりません。少し遅れてデビューした姉のCocomiも同じ。今のところ“キムタクと工藤静香の娘”が職業ですよね」(某芸能プロダクション代表取締役のコメント)
と、けちょんけちょん。ここまでコケに!? これも性加害問題の余波か――。