「子ども同士の付き合い」が前提のママ友という関係は、価値観や環境の違いからさまざまなすれ違いが起きやすい――。ママたちの実体験を元に、ママ友ウォッチャーのライター・池守りぜねが、ママ友トラブルの解決策を考える。
コロナ禍が明けた今年の年末は、クリスマス会や忘年会などと称して、ママたちが子連れで集まる機会も増えているようだ。しかし、幹事を引き受けたママと、参加するママたちとの間で、ちょっとしたいさかいが起きることも珍しくない。今回は、クリスマス会の幹事であるママ友にイライラしてしまうというお母さんの声を取り上げる。
仲良しママ友とクリスマス会のはずが……幹事が店の予約をしていなかった!
由真さん(仮名・38歳)は、首都圏で5歳になる娘を育児中のママ。子どもが0歳児の頃から保育園に預け、不動産関係の企業で働いている。
「育休明けの1年間は、時短勤務をしていました。効率よく仕事をこなすためにはどう工夫すべきかをずっと考えてましたね。子どもの都合で急な休みが発生しても、ほかの人にすぐ仕事を引き継いでもらえるよう事前に準備したり……。職場には、言われたこと以上のことをこなす人が多かったので、それが当たり前だと思っていたんです」
由真さんは、子どもが同じ保育園に通う仲良しのママ友・留美子さん(仮名・34歳)、幸代さん(仮名・37歳)と、親子3組でクリスマス会を開催することになった。2人とも5歳の女の子を育てており、子ども同士も仲がよい。
「去年の年末はまだコロナ禍だったので、ママ友同士で集まるのを控えていました。今年はカラオケがついている個室居酒屋で、子連れクリスマス会をしようと盛り上がったんです。言い出したのは留美子さんで、『カラオケのキッズルームを予約しておく』と話していたので、私はお任せしていました」
由真さんは留美子さんからの連絡を待っていたというが、1週間ほどたっても何の進展もなかったという。
「普段のランチ会は、私が率先してお店を選んで予約をしていました。今回も私がやってもよかったんですが、毎回、幹事をするのも面倒だなって思ってしまったんです。さりげなく留美子さんに、『クリスマス会の居酒屋って予約した?』と聞いてみたら、『忘れてた!』って言うんですよ。私のほうで店を選び、URLを送ったら、ようやく連絡してくれたものの、もうキッズルームは埋まっていたそうで、『普通の個室を予約したよ』と言われました。子どもたちが遊べる遊具があるキッズルームじゃないなら、別のお店で良かったのに」
さらに由真さんを悩ませたのが、留美子さんの突然の提案だったという。クリスマス会が迫る中、LINEグループに「子どもたちにおそろいのサンタ服を着せない?」と送ってきたのだという。
「ネットで買っても間に合うのかどうか……私のほうから『家にあるものでクリスマスっぽい服を着せない?』と提案しました。留美子さんの行動は計画性がなくて、行き当たりばったりに感じました」
由真さんは、幹事を任せた手前、留美子さんに口出しするのはためらわれるというが、「このままではイライラが募るばかり。彼女のことを責めてしまいそう」と漏らす。
「子どもたちが食べられるデザートが限られているため、当日はこちらで用意したケーキを持って行こうと相談していたんです。それなのに確認したら、まだお店に連絡していないっていうんですよ。留美子さんは、いつも『やっておくね』と言うものの、忘れてしまうことがとにかく多い。彼女は接客業なのですが、仕事はどうしているのかと心配になるほどです」
共通のママ友である幸代さんは、留美子さんの“抜けている”ところをあまり気にしていないようだという。
「幸代さんは、旦那さんが単身赴任中で、普段はワンオペ育児なんですが、留美子さんに娘を預かってもらうこともあるなど、2人はとりわけ仲良しなんです。それもあってか、留美子さんが予約を忘れたりすることに対して、『まぁ仕方ない』という感じ。ママ友同士の付き合いに、仕事のような段取りを求める私のほうがズレてるんでしょうか……」
コロナ禍で自粛モードが長引いている間、ママたちから「ママ友との飲み会やランチ会が減ってうれしい」という声を聞くことが少なくなかった。ママ友会は、ママたちが楽しむために行われるものだが、その段取りを組むことがストレスという人もいるのが現実だ。
ママ友とのランチ会や飲み会で多いトラブルといえば、支払いに関するものだ。子ども同士の関係ありきの仲だけに、お金のことを言いだしにくくなり、参加者の間で負担額に差が出てしまう……などだ。このコラムでも何度か取り上げているが、不明瞭な部分は事前に確認するのが大切。
しかし今回のように、「キッズルームの予約ができなかった」「突然おそろいのサンタ服を着ようと提案された」くらいは、さほど大きな問題にはならないため、由真さんも自身のモヤモヤを我慢してしまうのだろう。
ママ友というのは、年齢も学歴も職業もバックグラウンドがそれぞれ違うため、同じような価値観を求めるとうまくいかないことも多い。しかし、ママ友関係は、子ども同士の仲がいい間はずっと続くものだけに、そつなく付き合っていくためには譲歩も必要だ。由真さんにとってどうしても譲れないこと以外は、相手のやり方に従うべきなのではないかと思った。
一方、由真さんも気づいているだろうが、余計なストレスを抱えたくない、自分のやりたいようにしたいのなら、やはり幹事を自ら買って出るべき。自分の時間を犠牲にする行為だが、そのほうが由真さんにとってはいいのかもしれない。
段取りや準備が得意な由真さんが、それらが苦手だというママ友や忙しいママ友に代わって進んで幹事を引き受ける。これからも円滑なママ友付き合いを続けていきたいなら、それがベストだろう。