• 日. 12月 22nd, 2024

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明日あなたが被害にあうかもしれない

山口組は分裂9年も平行線、「トクリュウ」が勢力拡大? 元極妻が予想する「2024年のヤクザ情勢」

 今は亡き某指定組織の三次団体幹部の妻だった、待田芳子姐さんが語る極妻の暮らし、ヤクザの実態――。

年明け早々、六代目山口組傘下組員が逮捕

 今年は新年早々、震災や大事故が起こって、すごいことになりましたね。元オットの兄弟分たちは、すぐに能登での炊き出しに動いて、頼もしいと思いました。

 被害に遭われた皆様には衷心よりお見舞い申し上げます。

 戦争も続いてますし、世界中がざわついてますが、1月7日夜には神戸市内の神戸山口組傘下の組長宅の窓ガラスがバールで割られて、六代目山口組傘下組員が逮捕される騒ぎがありました。

 年明けから想定内というか想定外というか微妙な事件でしたが、今年のヤクザ情勢はどうなるでしょうか。ちょっと考えてみました。

恒例の山口組「お餅つき」が復活

 ガラス割りについては続報を待ちたいところですが、昨年暮れの山口組の「お餅つき復活」は、ヤクザ業界的には「いいニュース」でしたね。コロナで中止されてたのですが、みんなでPCR検査を受けた上で、司忍六代目と髙山清司若頭、執行部など100人以上が集まり、500キロのお餅をついたそうです。

 報道には「『親分が今年も元気に餅をついていた』ということがわかると(獄中の組員も)頑張ろうと思うだろう」とあり、なんか牧歌的なものも感じますよね。

 今年82歳の司六代目もいつも通りに餅をついたそうで、帰り際には捜査員らに右手を上げ「おう、皆さん良いお年を」と笑みを浮かべていたそうです。「怒ってるヤクザより笑ってるヤクザのほうが怖い……」と以前、刑事さんからお聞きしましたが、今回の笑顔はいい感じに見えました。

分裂抗争は平行線?

 2015年8月の六代目山口組分裂から、今年でもう9年になります。あっという間でしたね。今年はどうなるでしょうか。

 私は今年もこのままだと思いますよ。六代目側と神戸山口組の関係は冷え切っていて修復不能と聞いていますし、工藤會トップの一審・死刑判決を受けて、業界全体が「トップに類が及ぶようなことはまかりならん」となっているので、「決定的なこと」は起こせないようです。

 思えば15年の夏は、お盆を過ぎたあたりから「どうもおかしい」みたいな話が出てたんですが、関係者から「(組織が)割れます」とメールが来て、それからすぐでしたね。

 まあ、その前から「火種」はあったんですよね。五代目までは山健組が主流派だったのですが、六代目は弘道会が主流となったことで、いろいろ不満が表面化していきます。会費が高いとかミネラルウオーターを大量に買わされるとかですね。

 08年には、六代目山口組の二次団体・後藤組を率いていた後藤忠政組長が組の定例会を病欠したのに、実は大物演歌歌手をたくさん呼んでゴルフをやってたのを報道されたことで除籍処分になっています。

 このことで後藤組長をかばう「怪文書」も出回りました。この時は分裂しませんでしたが、いろんな不満がたまっていって、じわじわと分裂に向かっていたんでしょうね。

「トクリュウ」の捜査は進むか?

 いずれにしろヤクザは動きにくい状態ですから、その分「半グレ」の動きが目立ってますね。

 そして、半グレは「トクリュウ」に昇進(?)していました。

 昨年7月の警察庁組織改編で、SNS経由の闇バイトとか最近の新しい形態の犯罪グループを「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)と定義して犯罪対策を進めると報道されました。

 具体的にはどうするんですかね? ヤクザ組織と違って未成年や女性もいますし、警察としては実態を把握しづらいでしょうから、SNSの規制とか、変な方向に行かないといいなと思っています。

ヤクザの「主たる事務所」はどこへ?

 昨年は指定暴力団の「主たる事務所」の変更も目立ちました。

 23年末時点で指定組織は25団体ありますが、このうち住吉会、神戸山口組、絆會の3つの組織の本部(主たる事務所)を23年に公安委員会が変更しています。

 どれも地元の反対運動(もちろん警察主導)で本部が使用できなくなったのですが、暴対法上は「主たる事務所」がないと「指定」できないので、ほとんど使っていない倉庫みたいなところを無理に「本部」にしたとのうわさもあります。

 ヤクザにとって事務所とは組織そのものですから、本来は重要です。でも、若い衆的には、事務所当番や部屋住みは「面倒くさい」んですよね。大親分のおうちの部屋住みは出世が約束されますし、電話の取り方から接客、お掃除までいろいろ学べるいい機会なんですけど、若い男の子たちにとっては大変ですよね。

 でも、1月9日発売の「週刊アサヒ芸能」(徳間書店)に出ていた元ヤクザである弁護士の諸橋仁智先生と司法書士の甲村柳市先生の対談で、諸橋先生が事務所を大事にされていたとおっしゃっています。

 諸橋先生によると、事務所とは「精神的なよりどころ」であり、ヤクザ映画を見ながら語り合うのも楽しかったそうです。トイレ掃除は素手(事務所ではありがちです)だし、イヤだったけど、事務所には思い入れがあったそうです。

 元オットの兄弟分の若い衆たちからは、「事務所閉鎖になって、犬の散歩をしなくてよくなってラッキー」とかしか聞いてなかったんで、新鮮でしたね。

 これに対して、甲村先生は大親分の部屋住みも断っていらっしゃいます。「別に出世はしたくなかった」そうです。

 いろいろ対照的なお2人ですが、「任俠道」という文化を否定したくないところは共通しています。とはいえ、世間的な理解を得るのは難しいですね。

 今年も大きな事件は起こりにくいと思いますが、引き続き見守っていきたいです。

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