Hey!Say!JUMP・山田涼介が主演し、浜辺美波がヒロインを務める映画『サイレントラブ』が、1月26日に公開初日を迎えた。29日発表の国内映画ランキング(興行通信社調べ、以下同)では初登場3位にランクインしたが、ネット上では手厳しい感想が多く寄せられているようだ。
今作は、ある出来事をきっかけに声を発することをやめた青年・沢田蒼(山田)と、不慮の事故で視力を失ったピアニスト志望の音大生・甚内美夏(浜辺)の恋模様を描いた物語。公式サイトでは「世界でいちばん静かなラブストーリー」(原文ママ、以下同)とPRしており、山田にとってはラブストーリー映画初主演作だ。山田・浜辺のほかに野村周平、SWAY、吉村界人、古田新太、辰巳琢郎らが出演している。
原案・脚本・監督は、草なぎ剛主演映画『ミッドナイトスワン』(2020年9月25日公開)でメガホンを取った内田英治氏が担当。音楽は久石譲氏が手掛け、主題歌にはMrs. GREEN APPLEが今作のために書き下ろした曲「ナハトムジーク」が起用された。
なお、1月30日に配信された映画情報サイト「映画.com」の記事によれば、『サイレントラブ』は公開初日から3日間で15万5,000人を動員し、興行収入(以下、興収)は2億1,200万円を記録したという。
これまで数々の映画に出演してきた山田だが、過去に主演した作品の成績を見ていくと、前作『大怪獣のあとしまつ』(22年2月4日公開)は3日間の動員が12万4,524人、興収は1億7,068万円(ニュースサイト『MANTANWEB』22年2月7日配信記事より)。ひとまず、『サイレントラブ』はこの記録を上回った。
「なお、初日3日間の動員数や興収は不明ですが、そのほか『記憶屋 あなたを忘れない』(20年1月17日公開)は国内映画ランキングで初登場6位、『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(22年5月20日公開)は9位、『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(同年6月24日公開)は8位にそれぞれランクイン。安藤サクラが主演を務め、山田がメインキャストの1人として参加した昨年9月27日公開の『BAD LANDS バッド・ランズ』も初登場5位と振るいませんでした。それに比べると、『サイレントラブ』はまずまずのスタートといえるでしょう」(ジャニーズに詳しい記者)
『ミッドナイトスワン』内田監督の脚本に酷評集まる
しかし、ネット上の感想を見てみると、1月30日時点ではシビアな意見が目立っている状況だ。「山田涼介は“王子様っぽさ”を消して演技を頑張っていたし、演出は悪くないけど……。脚本のせいか、ことごとく上滑りしている印象だった」「キャストの演技は素敵だったけど、思っていた作品と違った。伏線を回収せずに終わったし、ツッコミどころが満載」「自分が期待しすぎていたのか……さほど感動しなかった」「同じキャストで、脚本を変えたら良い映画ができそう」などと酷評されている。
劇中には暴力的なシーンもあったといい、「『サイレントラブ』が予想外のグロ作品で夢に出そう」「前半は良い作品かもと期待しながら見ていたけど、乱闘シーンとか残念な点が多い。古田新のムダづかいだと思った」「暴力的なシーンは不要だった」との声も。
「また、内田監督は高い評価を受けた『ミッドナイトスワン』でも自ら脚本を手掛けていたため、同作の高評価を受けて『サイレントラブ』を鑑賞した人も少なくなかったようです。『ミッドナイトスワン』は、ショークラブで働くトランスジェンダーの女性と母親から育児放棄をされた中学生が親子愛を育む物語で、『第44回日本アカデミー賞』において最優秀作品賞を受賞。難役を演じた草なぎも最優秀主演男優賞を獲得するなど、大きな話題になりました」(前出・芸能ライター)
それだけに、SNS上には「『ミッドナイトスワン』のイメージで見に行ったから、いろんな意味で裏切られた」「内田監督の脚本に注目していたけど、『サイレントラブ』はおかしなシーンが多くて感情移入ができなかった」「自分が『ミッドナイトスワン』をひきずりすぎているのか……。『サイレントラブ』は久しぶりのハズレ映画だった」と、2作を比較する書き込みもわずかにある。
とはいえ、『サイレントラブ』に関しては「会話のできない2人の距離が段々と縮まっていく様子が純粋で美しい。音楽も素晴らしくて、心地の良い映画だった」「セリフやナレーションが少ないのに主人公の気持ちが伝わってきて苦しい。でも、最後に希望が感じられて感動した」と、好意的な反応もチラホラ見受けられ、賛否両論が飛び交っている状態だ。
なお、山田の主演作で最終興収が最も伸びたのは、松井優征氏による人気マンガ(集英社)の実写版『暗殺教室 -卒業編-』(16年3月25日公開)で35.1億円。果たして、『サイレントラブ』はこの成績にどこまで近づけるだろうか。
山田涼介主演映画の興行収入ランキング
1位:『暗殺教室 -卒業編-』(16年3月25日公開)35.1億円
2位:『暗殺教室』(15年3月21日公開)27.7億円
3位:『鋼の錬金術師』(17年12月1日公開)11.1億円
4位:『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17年9月23日公開)10.9億円
5位:『大怪獣のあとしまつ』(22年2月4日公開)4.8億円
6位:『記憶屋 あなたを忘れない』(20年1月17日公開)4.6億円
7位:『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー』(22年5月20日公開)2.8億円
8位:『鋼の錬金術師 完結編 最後の錬成』(22年6月24日公開)2.4億円
※一般社団法人日本映画製作者連盟資料、「キネマ旬報」(キネマ旬報社)より