1月30日、一般社団法人日本映画製作者連盟が、「2023年度(令和5年)興収10億円以上番組」を発表した。これは邦画・洋画別に、興行収入をランキング化したもの。興収10億円を突破した作品のみを対象とし、該当したのは邦画が34本、洋画は15本だった。今回は、このランキングの邦画部門を詳しく見ていきたい。
目次
・スラダン、コナン、ジブリ……トップ3位はアニメ作品
・旧ジャニーズ主演映画、トップはSnow Man・目黒蓮『わたしの幸せな結婚』
・『キングダム』劇場版3作品がすべて興収50億超え
・【ランキング】2023年(令和5年)興行収入10億円以上番組
スラダン、コナン、ジブリ……トップ3位はアニメ作品
第1位は22年12月3日公開のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』で興収は158.7億円。国内におけるシリーズ累計発行部数が1億2000万部以上を誇る大人気コミック『SLAM DUNK』(集英社)を、作者の井上雄彦氏がアニメ映画化した作品で、国内の歴代興収ランキングでも第13位につけている。
第2位は『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(23年4月14日公開)で138.8億円。原作は、漫画家・青山剛昌氏の人気マンガ『名探偵コナン』(小学館)で、1996年1月にテレビアニメ化。翌年からは劇場版シリーズが公開され、第26作目となる『黒鉄の魚影』は歴代最高の興収を記録した。
第3位は、スタジオジブリの宮崎駿監督が『風立ちぬ』以来10年ぶりに監督した長編アニメーション映画『君たちはどう生きるか』(23年7月14日公開)で88.4億円。難解なストーリーが賛否両論を呼び、100億超えを連発するジブリ作品としては少々物足りない数字となったが、北米ではジブリ作品史上最高額の興収を記録。『第96回アカデミー賞』の長編アニメーション賞にもノミネートされている。
このように、上位3作品はすべてアニメ映画。日本でのアニメ人気の高さを示す結果といえるだろう。なおトップ10内には、ほかにもアニメ作品が3本ランクインしており、8位『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』(23年3月3日)は43.4億円、9位『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(23年2月3日)は41.6億円、10位『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』(23年5月20日)は29.2億円を記録。
『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』は173館と大規模上映ではなかったものの、トップ10入りを果たすという大金星だった。
旧ジャニーズ主演映画、トップはSnow Man・目黒蓮『わたしの幸せな結婚』
昨年、創業者・ジャニー喜多川氏(19年7月に死去)の性加害が社会問題と化した旧ジャニーズ事務所。60年以上続いた屋号を下ろし、被害者への補償業務を行う会社「SMAILE-UP.」、タレントの育成・マネジメントを担うエージェント会社「STARTO ENTERTAINMENT」の2社が新しく設立されるなど、激動の1年だったが、タレントたちの主演映画は20本も上映された。
そんな中、トップの興収を叩き出したのがSnow Man・目黒蓮主演映画『わたしの幸せな結婚』(23年3月17日公開)。順位は11位で、28.0億円だった。これは、同社の演技派俳優である嵐・二宮和也主演『ラーゲリより愛を込めて』(22年12月9日公開)の26.7億円(13位)、トップタレントである木村拓哉主演『レジェンド&バタフライ』(23年1月27日公開)の24.7億円(14位)を上回る数字で、旧ジャニーズの新時代の幕開けを感じさせた。
目黒がメインキャストの一人として出演している『月の満ち欠け』(22年12月2日公開)も13.0億円で25位にランクイン。彼の映画界でのさらなる活躍に期待が膨らむ結果となった。
なお、ほかの旧ジャニーズ勢の主演映画を見ていくと、同じく二宮主演の『アナログ』(23年10月6日公開)が28位で12.2億円、なにわ男子・高橋恭平主演の『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(23年3月3日公開)が34位で10.1億円だった。
『キングダム』劇場版3作品がすべて興収50億超え
ランキングには、人気コミック原作の実写映画の続編も目立った。第4位の山崎賢人主演『キングダム 運命の炎』は、劇場版シリーズの第3作目で興収は56.0億円。実写映画ではトップの成績だ。第1作目の『キングダム』は57.3億円、第2作目の『キングダム2 遥かなる大地へ』は51.6億円と、ここまで全作が50億超えを記録。今年7月12日には、第4作目の『キングダム 大将軍の帰還』の公開が予定されており、こちらも50億超えのヒットが期待される。
また『東京リベンジャーズ』(21年7月9日公開)の続編も2本公開され、共にランクイン。第12位の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』(23年4月21日公開)は27.1億円、第18位の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』(23年6月30日公開)は23.4億円だった。第1作目は45.0億円だっただけに、勢いは後退したが、それでも20億超えのヒットとなった。
もう一作、『翔んで埼玉』(19年2月22日公開)の続編『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』(23年11月23日公開)も23.3億円で20位に入ったが、第1作の37.6億円は超えられなかったようだ。さらに同作は、同時期公開で、上映規模が小さい『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(23年11月17日公開/14位、24.7億円)に敗北した。
果たして24年はどんな映画が大ヒットとなるのか。今後も邦画界の動向を追っていきたい。
【ランキング】2023年(令和5年)興行収入10億円以上番組(令和6年1月発表)
1位:『THE FIRST SLAM DUNK』158.7億円
2位:『名探偵コナン 黒鉄の魚影』138.8億円
3位:『君たちはどう生きるか』88.4億円
4位:『キングダム 運命の炎』56.0億円
5位:『ゴジラ-1.0』55.9億円
6位:『ミステリと言う勿れ』48.0億円
7位:劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』45.3億円
8位:『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』43.4億円
9位:『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』41.6億円
10位:『劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD』29.2億円
11位:『わたしの幸せな結婚』28.0億円
12位:『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』27.1億円
13位:『ラーゲリより愛を込めて』26.7億円
14位:『レジェンド&バタフライ』24.7億円
14位:『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 -とべとべ手巻き寿司-』24.7億円
14位:『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』24.7億円
17位:『Dr.コトー診療所』24.4億円
18位:『シン・仮面ライダー』23.4億円
18位:『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』23.4億円
20位:『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』23.3億円
21位:『怪物』21.5億円
22位:『憧れを超えた侍たち 世界一への記録』17.9億円
23位:『映画プリキュアオールスターズF』14.6億円
24位:『沈黙の艦隊』13.7億円
25位:『月の満ち欠け』13.0億円
25位:『BLUE GIANT』13.0億円
27位:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』12.5億円
28位:『アナログ』12.2億円
29位:『首』11.6億円
30位:『こんにちは、母さん』11.1億円
31位:『かがみの孤城』10.9億円
32位:『映画 イチケイのカラス』10.8億円
33位:『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』10.6億円
34位:『なのに、千輝くんが甘すぎる。』10.1億円