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ジャニーズWEST『パパジャニWEST』の「パパ力検定」に疑問 女性にかけられた呪いの再生産

ByAdmin

8月 17, 2021

 ジャニーズWESTの冠番組『パパジャニWEST』(TBS系)の「当たり前パパ力検定」という企画が物議を醸している。

 8月10日の放送では「真夏のキャンプ検定」と題し、子どもと二人きりでキャンプに行くことを想定したスキルを“パパ力”として競い、ゲストのママタレントが審査するものだった。

 同日の放送では、タレントのユージ、お笑い芸人のあばれる君、野性爆弾・くっきー!、横浜DeNAベイスターズ元監督のアレックス・ラミレスと、ジャニーズWESTのメンバーが挑戦し、審査員は北斗晶と千秋が務めた。

 審査された内容は、キャンプファッション、テント設営の様子。次週は後編として、キャンプ飯、キャンピングカーの縦列駐車、フォークダンスの審査があるという。

 特に視聴者から疑問の声が多く出たのは、テント設営の審査。これは説明書なしでドーム型のテント及びタープの設置を20分以内で行うというもの。

 あばれる君・ユージ・ジャニーズWESTの桐山照史はスムーズに設営できたものの、ラミレス・くっきー!、ジャニーズWESTの中間淳太は難航。苦戦している人たちの様子が北斗晶・千秋の辛口コメントとともに笑いにする文脈で放送された。

 こういった内容にネット上では「出来ない人が貶されているのを見るのが辛い」「『ママ力』なんて言ったら炎上するのに『パパ力』はいいの?」といった否定的な反応が続出。

 実生活においてキャンプでテント設営を予定しているならば、説明書を見たり、事前にネットで調べたりするのが一般的だろう。抜き打ち、かつ説明書なしで“パパ力”としてジャッジされるのは、意地悪な企画だと感じた。

 なお、筆者は何度か当番組を視聴したことがあるが、以前はジャニーズWESTのメンバーが子どもの恋や夢を応援するような企画を行っていたと記憶している。だが、今年3月9日の放送から“パパ力”を測る企画が始まったようだ。

<番組初の試み!メンバーのパパ力を世のママたちがチェック!!
「手先が器用なパパランキング」「子どもを笑わせるパパランキング」「頼りがいがあるパパランキング」を発表。各部門でNO.1に輝くパパは誰だ!?不名誉なBADパパも発表します!!>

※参照:https://www.tbs.co.jp/papajohnnyswest/archive/20210309/

女性にかけられた呪いの再生産
 最近では、バラエティにおける「イジり」など人を卑下する笑いに対し、視聴者から拒否感が示されることは珍しくない。『パパジャニWEST』においても、できない姿を見て笑う構造に視聴者から嫌悪感が示されている。人を貶したり蔑んだりする笑いは、今の視聴者の感覚に合っていないのだろう。

 また同企画は、「男らしさ」「女らしさ」の決めつけでもある。「当たり前パパ力検定」と題されているが、キャンプでのスキルも含め、それらができなくても子どもから好かれている父親はいるし、父親として劣っているわけでもない。「男性・父親なら○○できないといけない」といった考えも、今の視聴者にはなじまないだろう。

 時代の変化により、何が女性蔑視の言動にあたるのかは認識されつつある。しかし同じことが、男性に対しては平気で行われていないだろうか。先に引いたネット上の意見にもあったとおり、例えば女性アイドルが出演する番組で「ママ力検定」といった企画が放送されたら「時代遅れ」と批判が噴出する様子が容易に想像できる。

 美の表現についても、引っかかりを感じることがある。例えば、女性に対する「可愛すぎる」「美しすぎる」といった表現は、ルッキズムの観点から近年使われる機会がめっきり減った。しかし一方で、「性別ないです」と公表しているモデルの井手上漠を「可愛すぎるジュノンボーイ」というキャッチフレーズで紹介するメディアは多い。また、「ジェンダーレス」として注目を集める俳優・板垣李光人に対しても「美しすぎる」という形容が使われることも少なくない。ルッキズムの視点は男性に対しても慎重であるべきではないか。

 らしさの押し付けやルッキズムは「女性だからダメ」「女性が怒ってるから控える」のではなく、人の尊厳を傷つける言動からダメなのだ。

 男性に対しても尊厳を傷つけるものでないか、いまいちどメディアも受け手も考え直すべきではないか。でなければ、女性にかけられた呪いを男性に再生産することになるだろう。

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