俳優・堺雅人が日本語吹き替え声優を務めたアニメ映画『FLY!/フライ!』。3月15日に全国372館で封切られたが、同18日発表の全国週末興行成績ランキング(興行通信社調べ、3月15~17日)では初登場7位と振るわず、厳しいスタートを切った。声優業界関係者からは、堺の演技に対して厳しい声が上がっている。
目次
・映画『FLY!/フライ!』の概要
・堺雅人の過去の声優仕事
・堺雅人、『FLY!/フライ!』の演技が「残念」
堺雅人が吹き替え担当のアニメ映画『FLY!/フライ!』、上映館数が少ない『変な家』に興収及ばず
『FLY!/フライ!』は、『ミニオンズ』シリーズや、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(2023年)を手掛けたアメリカのアニメ制作会社・イルミネーション・スタジオによる最新作。渡り鳥なのに小さな池から一度も出たことがないカモの一家の初めての大移動を描いた、オリジナル長編アニメだ。
日本語吹き替え版では、心配性な父ガモ・マックを堺が演じたほか、母ガモ・パム役を麻生久美子、兄ガモ・ダックス役を黒川想矢、妹ガモ・グウェン役を池村碧彩、ハト集団のリーダー・チャンプ役をヒコロヒーが担当。そのほか、羽佐間道夫、野沢雅子、関智一、鈴村健一ら豪華声優陣も出演している。
同18日発表の全国週末興行成績ランキングのトップ10を見ると、『FLY!/フライ!』は初登場7位に。同じく初登場1位の『変な家』(間宮祥太朗主演)や、5位の『デューン 砂の惑星 PART2』(ティモシー・シャラメ主演)、6位の『恋わずらいのエリー』(宮世琉弥&原菜乃華のダブル主演)は、『FLY!/フライ!』よりも上映館数が少ないだけに、堺をはじめとする出演者や制作陣にとっては悔しい結果となったことだろう。
堺雅人、声の演技に苦戦! 「言い訳しているわけじゃないけど本当に難しかった」
なお堺は、クリストファー・ロビン役を演じた18年公開のディズニー映画『プーと大人になった僕』で吹き替えに初挑戦。テレビアニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(フジテレビ系)の初代・白鳥麗次役としても知られており、19年公開の劇場アニメ『プロメア』では、悪役のクレイ・フォーサイト役を好演し、アニメファンや声優ファンの間で注目を集めた。
そんな堺だが、3月21日放送の『DayDay.』(日本テレビ系)に出演した際、今作のアフレコ収録を振り返り、「(声優は)本業じゃないから! 言い訳しているわけじゃないけど本当に難しかったし、監督のおっしゃっていることに一つひとつ頷きながら。本当に勉強になりましたね」とコメント。
特に難しかったシーンについては、堺が演じるマックを先頭に一家が空に飛び立つシーンを挙げ、「台本が手元、モニターが前にある。『レッツフライ!』って後ろに(いるほかのキャラクターに向けて)言わないといけない……難しいですよ」「だからすごいんですよ、声優さんは。それをあらためて身に染みてわかりました」とも語り、声だけの演技に苦労したようだ。
堺雅人、映画『FLY!/フライ!』での演技が「残念」なワケ
実際、プロは『FLY!/フライ!』での堺の演技をどのように評価するのだろうか。
「芝居のうまい俳優が声の演技をするとぴったりハマることは多々ありますが、今作の堺に関しては“残念”。完全にテレビドラマ『VIVANT』(TBS系、23年7月期)と同じ演技でした。このアニメはアメリカで作られたもので、日本よりも表現が大袈裟になっている。堺自身はキャラクターに寄せるよう努力したのかもしれませんが、もともとナチュラルな演技をする方なので、その差を埋められていない印象が強い。オーバーに表現されているアニメーションに、彼の自然な演技がついていっていないんです」(制作会社関係作)
そのため、「目を瞑って声を聞けば、“ドラマで演技している堺の姿”が浮かぶものの、実際は、作品に適した芝居ではありません」(同)とのこと。
「堺を起用することの話題性や彼の人気に頼らないのであれば、今作に関しては、プロの声優に任せたほうがよかったと思います。一方で今回出演した芸能人声優の中では、妹ガモ役を務めた子役の池村は、特徴的な声でキャラクターにも合っていましたし、本業かと思うくらい良い演技をしていました。なお、堺はもっとナチュラルな芝居を求められる、宮崎駿のジブリ作品だったら、うまくハマると思いますよ」(同)
俳優として高く評価されている堺。その実力を十分に生かせるアニメ作品と出会ってほしいものだが……。