下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
いやはや、こんなことが起ころうとは。先月末、電撃的に結婚を発表したドジャース・大谷翔平。お祝いムード一色だったのに、一転してこんな事態に。女性週刊誌も大谷報道の内容も一転した。日本中、いや世界もびっくり仰天だ。こんなことってあるんだな。
目次
・今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
・松本人志の“主義主張”がのり移ったような「女性セブン」
・1週間で一転! 女性週刊誌の大谷翔平記事
・羽生結弦が結婚以外にも失敗したこと
今週の女性週刊誌、注目記事ベスト3
第691回(3/21〜3/26発売号より)
1位「松本人志 『引退するわけない』『家族の支え』独占肉声」(「女性セブン」4月4日号)
2位「大谷翔平に降りかかる“一発退場“のクライシス」(「週刊女性」4月9日号)
同「翔平妻 真美子さん涙決断『全試合球場へ行く!』(「女性自身」4月9日号)
参照「大谷翔平 韓国メディアと攻防戦『新妻を守る!』(「女性セブン」4月4日号)
3位「羽生結弦と浅田真央『リング建設』で明暗わかれて」(「女性セブン」4月4日号)
松本人志の“主義主張”がのり移ったような「女性セブン」
すごいぞ、「女性セブン」のダウンタウン・松本人志特集が。松本が性加害問題で芸能活動を自粛してから2カ月。この間の松本の様子、そして松本の動向をレポートしている特集記事なのだが、その内容はあぜんとするものだった。
まず記事冒頭では2月下旬、松本が吉本興業本社を訪れた際、突然の出現に社内がパニック状態となったなどと、松本の“大物ぶり”がアピールされる。続いて“松本の知人”や“芸能関係者”なる匿名人物たちが、次々と松本の“肉声”を“代弁”していく。
「(週刊文春記事で)性的な行為の『強制性』を訴えているのは最初の記事に出たAさんとBさんの2人のみ」
「女性に対して『無理やりしたことはないし、しようと思ったこともない』とも話していました」
「身の潔白を堂々と主張できるからこそ、仕事を休んででも裁判に臨む覚悟を決めたのです」
「行きすぎた報道やマスメディアのあり方を問う絶好の機会にもなると考えているようです」
「(情報番組に対して)BPO(放送倫理・番組向上機構)に抗議を申し立てることも検討しているそうです」
「松本さんは不退転の覚悟を決めたのです」
「潔白を証明した後、なるべく早い時期に復帰したいという考えもあるようです」
かなり一方的な“松本寄り”のコメントが、ずらずらと並ぶのだ。記事には「肉声を独占詳細」などと高らかにうたっているが、要は松本の匿名知人たちが松本の主張を証言し、「セブン」がそのまま紹介することで結果、松本の代弁をしているとしか思えない代物。松本の擁護記事、いやまるで美談記事仕立てでもある。
さらにあぜんとしたのが、松本の性加害報道による妻や家庭への影響についてのくだり。語るのは“松本の知人”(匿名)だ。
「松本さんは結婚前、奥さんに『俺はそれ(不倫)がない男ではないよ』と告げています。奥さんは、もし松本さんが浮気して、会見で『一線は越えてません』などとごまかしたりしたら『ガッカリする』、『そんな松本人志は見たくない』と言ってのける気丈な人」
なんて気持ちの悪い文章だ! 不倫すると堂々と宣言し、妻も浮気を容認する“気丈な人”だと開き直る。だから夫の性的報道が出ても家庭は安泰って――。
これほど性搾取、女性蔑視が問題となっている時代、こんな文章が女性週刊誌に堂々と掲載されるとは――。まるで松本の“主義主張”がのり移ったような「セブン」の論調。怖すぎる。
1週間で一転! 女性週刊誌の大谷翔平記事
そして現在、世間を震撼させ続けているのがドジャース大谷翔平の通訳・水原一平の違法賭博と窃盗問題だ。先週までは新妻のお披露目もあり、お祝いムードの大フィーバーだったのに一転、とんでもない事態になってしまったものだ。
しかも当初は、大谷が借金を肩代わりしたとの水原発言が報じられたが、直後に大谷の代理人が“大谷は何も知らなかった”と水原発言を否定するなど、事態は混迷。もし大谷が違法賭博を知っていて自ら送金していたら、今後どうなるのか? もし水原が野球賭博にまで手を出していたら、大谷も永久追放? などと恐ろしい最悪の事態も指摘され、息を飲む展開だった。
本日(3月26日)大谷自身が会見を開き「彼が僕の口座からお金を盗んで、なおかつうそをついていた」とすべての関与を否定したが、しかし、こんなことって起こるんだな、というのが正直な感想だ。
でもって女性週刊誌である。「週刊女性」は、水原が受ける今後の罰について弁護士が解説、大谷への影響の可能性などにも言及している。
「女性自身」も同じく、水原の今後の罪状はどうなるのかをシミュレート、さらに水原が抜けた穴を埋めるべく、真美子夫人が大谷を支えるため全試合に同行する決意だと伝えている。もちろん2誌とも情報が錯綜する中での急きょの第一報特集だったのだろう。
しかし「女性セブン」を見ると、そんな騒動が巻き起こるとは思ってもいない段階で、新妻をクローズアップする“幸せな特集”が掲載されている。それを見て再び思った。1週間でこんなことになるとは――。
羽生結弦が結婚以外にも失敗したこと
水原一平問題が起こる以前、大谷翔平の結婚はマスコミ戦略も含め“完璧”だと称賛された。そして比較されたのが、羽生結弦の結婚・離婚劇だ。完全なる“失敗婚”として。
そんなトホホな羽生だが、今度は同じスケーターの浅田真央に比べられて、挙句“失敗”だと嘲られてしまった。羽生批判の急先鋒の「女性セブン」にだ。
「セブン」記事によると、2人はともにスケートリンク新設に関わっている。浅田は東京・立川で。羽生は故郷である仙台で。しかし羽生が関わる仙台の新リンクは、多額の税金が投入されているのに一般の利用が不可で、市民からも疑問の声が。
一方、立川の新リンクは浅田の「未来の子供たちのためにリンクを造りたい」という希望に沿って一般にも開放され、レストランも併設されるなど至れり尽くせり。結婚だけでなく新リンクでも浅田と比べられ、完敗。またしてもトホホな羽生の姿を報じた「セブン」だった。