かつて外食業界で脚光を浴びた「肉寿司」にブームの終焉が訪れています。外食チェーン経営の株式会社ガーデンが展開する居酒屋「肉寿司」の都内4店舗(うち1店舗はコラボ業態の0秒サワー)が、この3月に一斉閉店したのです。
今回、筆者は、そのうちの1店舗である吉祥寺店の閉店日に潜入取材を敢行。看板メニューの肉寿司を味わいながら、その栄枯盛衰に思いを馳せました。
※価格はすべて税込
※価格やメニューは2024年3月31日現在の情報です
※最新情報は公式サイトをご確認ください
目次
・「吉祥寺 肉寿司」最後の1日
・写真映えする肉寿司の欠点
・いくらと牛肉のマリアージュは◎
一大ブームとなった肉寿司は今……吉祥寺店の最後の1日
馬肉や牛肉などの生肉をシャリにのせた肉寿司。その目新しさで、一時期ブームになったものの、今ではスシローやくら寿司といった大手回転寿司チェーンでも同様のメニューを提供していることもあり、すっかり定番の寿司ネタになっているのではないでしょうか。
そんな肉寿司を看板メニューに掲げる「吉祥寺 肉寿司」は3月31日、残念ながら閉店に。最終日に足を運んだところ、店内のテーブル席はほぼ満席で、にぎやかな雰囲気に包まれていました。店員が常連らしきお客さんと和やかに会話する光景が何度も見られ、「吉祥寺 肉寿司」が多くの人に愛される店であることが伝わってきました。
「吉祥寺 肉寿司」ではお箸の先におみくじがつけられており、その結果によってさまざまなサービスが受けられるという工夫も。例えば超大吉の場合、肉刺し盛りが2,900円が2,000円に、また大ジョッキが無料になるそう。このおみくじで、グループ客が大盛り上がりしていました。
肉寿司がブームになったのは「写真映え」? しかし肉が食べにくいという欠点も
「吉祥寺 肉寿司」のメニューを見ると、肉寿司はメインディッシュに位置付けられているようで、まずはポテトサラダや冷やしトマト、枝豆といった一般的な居酒屋メニューを注文することが推奨されていました(もちろん肉寿司だけの注文でもまったく問題はないようです!)。
今回、筆者は、ブームとなった肉寿司の今について調べるという目的があるため、「馬3種盛り」(690円)と「牛3種盛り」(990円)を注文。ほどなくして、2皿同時に運ばれてきました。
馬肉も牛肉も真っ赤~ピンク色の赤身がきれい! 食べるのがもったいないと感じるほど美しい造形です。肉寿司がブームになったのは、この見た目の華やかさが写真映えするという理由もあったのでしょう。
とはいえ、肝心なのは味……!! 馬肉の赤身からいただきます。特製醤油につけてほおばると、馬肉特有の風味が口の中に広がり美味! しかし、肉質が硬くてかみ切れない!? 肉を咀嚼していると、旨味が出てくるのでおいしいんですが、シャリのほうはあっという間に飲み込めてしまうので、口の中にいつまでも肉だけが残ってしまうのが残念。どうしてもクチャクチャという咀嚼音が出てしまうのも気になりました。
この肉をかみ切れない問題ですが、馬肉だけでなく牛肉も同様。生肉、しかも分厚くカットされているせいかもしれませんが、もともとかみ切りにくいローストビーフは特に苦戦してしまいました。
肉自体はそれなりにおいしく、シャリも人肌でちょうどよい具合なのに、肉が食べにくいため、寿司を食べている感があまりしないのはかなりのマイナスポイント。肉寿司衰退の理由はこれなのかもしれません。
いくらと牛肉のマリアージュは最高! ポテトサラダもおいしいが……
しかし、肉寿司の中にもヒットメニューがありました! それは「肉のこぼれ包み寿司 NIKURA」(649円)です。
牛肉といくらとシャリをのりで包んでいただく一品なのですが、見た目の鮮やかさはもちろんのこと、いくらと牛肉のマリアージュが最高で、さらに食べにくさをあまり感じませんでした。
「馬3種盛り」「牛3種盛り」を頼むなら、こっちを数皿食べればよかったと後悔したほどです。
ちなみに、箸休めに注文した「肉寿司のポテトサラダ」(429円)がバツグンにおいしく……肉寿司よりもこちらの虜に!
粒マスタードがたっぷりかかっていて、ぷつぷつ食感となめらかなマッシュポテトが最高の相性でした。また「吉祥寺 肉寿司」のオリジナルメニューだという鶏皮餃子もパリッパリで美味。肉寿司を看板にするのではなく、一般的な居酒屋で、メニューの一つに肉寿司があるという業態でもいいのでは? と思ってしまいました。
「肉寿司」は全国にコラボ業態も含め十数店舗あるのですが、「吉祥寺 肉寿司」は3月31日で閉店。なんと2カ月後、同じ場所、同じメンバーで魚料理をメインとする居酒屋に生まれ変わるのだそうです。
また新たなブームの火付け役となるような斬新な魚メニューが吉祥寺から生まれることを期待していますよ!