覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける瑠壬(るみ)さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
目次
・日本唯一の「ムショの中学校」で入学式
・「人としても成長したい」
・パソコンや料理も教えてくれる刑務所
日本唯一の「ムショの中学校」で入学式
春は卒業式とか入学式の季節でもありますが、日本でただ一つの「ムショの中学校の入学式」のニュースが気になりました。
長野県松本市の旭町中学校の分校の「桐分校」で、松本少年刑務所の中にあります。戦後間もない頃は、義務教育をちゃんと受けていない子どもも多かったので、収監中に勉強させようと作られたんですね。
ホームページには、入学資格は「全国の受刑者」で「刑務所での生活態度が良好で強い学習意欲があること」とありますが、少年刑務所やから対象は今までは「少年」(つまり男子)のみでした。でも、令和6年度(2024年)から女性も勉強できるようになったそうです。当たり前ですが、収容されてる男子とは顔を合わせないようになってました。
今年度の合格者は女子のみで5人。入学希望者16人のうち学力試験や面接などで5人が合格って、なかなかの倍率です。年齢は20代から60代と、幅広いです。所長が「受刑期間中に学べることの意味を考えて過ごしてほしい」とおっしゃってて、ちょっと感動しました。子どもの頃はわかりませんでしたが、学校で勉強できるって、ほんまにすごいことですね。ましてやムショでの勉強は貴重です。
たとえば、新宿歌舞伎町の「トー横」が毎日のようにニュースになってますが、ここに来るのは、おうちや学校に居場所がなくて、勉強したくてもできひん子たちです。税金はこうゆう子たちのために使うてほしいです。瑠壬もめっちゃ払ってますしね。
「人としても成長したい」
合格した5人の女性は、中学3年生に編入されたそうです。1年間で主要5教科(国語・数学・英語・理科・社会)と、音楽や美術を1日7時間も勉強して、運動会や合唱の発表会もあるそうです。けっこう大変すよね。
桐分校のホムペを見たら、なんと1時限は「1時間」みたいです。普通の中学は、1時限は45分か50分ですから、めっちゃ体力と気力がいりますよ。でも、みんなやる気満々らしいです。
子どもの頃に勉強できなかったこと、おとなになってからつらい思いをしたことなんかを後悔してて、勉強して「人としても成長したい」と記者さんたちに話してました。「つらい思い」をしても、また勉強できる機会があれば幸せですよね。こうゆう機会をもっと増やしてほしいです。
パソコンや料理も教えてくれる刑務所
ムショにいる間に勉強できれば、出所後の生活も変わってくるかなと思います。今は懲罰よりも、こうゆう社会復帰の支援をする刑務所が注目されてます。北海道の札幌刑務所は、精神に障害がある受刑者の社会復帰を支援するモデル事業を進めてるそうです。
犯罪って、いろんな理由があると思います。精神に障害あると悪い仲間から誘われても「ノー」と言いにくくて、犯罪に加担したり、再犯したりすることが多いらしいです。
札幌刑務所では、出所後に悪い仲間と付き合わずに、自立して生活できるように、パソコンの使い方やお料理も教えてくれるそうです。
あと、前から注目してる千葉県市原市の「市原青年矯正センター」も、発達障害や知的障害などがある26歳未満の男性を収容して社会復帰支援をしてます。
センター長さんは、「受刑者を手厚く処遇することになりますが、出所したあと再犯に至らないことは社会全体のためになると認識し、矯正に取り組んでいく」と話してました。
ほんまそのとおりで、「悪いヤツは懲らしめよう」と思うのは当たり前なんですが、やっぱり社会に復帰して働いたり、家族や友人と仲よくしたりできるための支援は必要です。出所後にちゃんと働けないと、また事件を起こす確率はかなり高くなります。孤立と貧困は、多くの事件の原因ですね。