6月3日、アニメ『ルパン三世』公式Xが、峰不二子役で知られる声優・増山江威子さん(享年89)の訃報を伝えた。同日、所属事務所・青二プロダクションも公式サイトを更新し、増山さんはかねてより病気療養中だった中、肺炎を患い5月20日に亡くなったことを明かした。業界関係者からはお悔みの声のほか、その人柄を含めて絶賛する声が聞こえてきた。
目次
・故・増山江威子さんの人物像
・3代目峰不二子役・沢城みゆきは「悪いところなし」!?
『ルパン三世』峰不二子役・増山江威子さん死去――プロ声優が語った、その人物像
増山さんは、1977年10月から放送を開始したtテレビアニメ『ルパン三世』第2シリーズ(日本テレビ系)で峰不二子役を担当。
初代の二階堂有希子から引き継ぎ、2011年12月にアニメ化40周年記念作品として放送されたテレビスペシャル『ルパン三世 血の刻印 〜永遠のMermaid〜』(同)で沢城みゆきに交代するまで、長らくメインキャストを務めた。
今回の訃報を受け、沢城は事務所を通じて「なんか許せちゃう永遠のマドンナ、増山さんの不二子ちゃんの大ファンです。心から、ご冥福をお祈りいたします」と追悼コメントを発表。
また、95年4月公開の映画『ルパン三世 くたばれ!ノストラダムス』から故・山田康雄さんより役を引き継ぎ、主人公・ルパン三世を演じている栗田貫一も、自身のXにて書面を掲載。
「まさに紅一点 私にとっていつもエレガントで憧れの不二子ちゃんでした」と増山さんの印象を語りつつ、「右も左も分からぬ私に『やすべえなら、、』と 座長としての山田さんの立ち振る舞いを優しくお話して下さり、ルパンファミリーに迎え入れていただきました」と、収録時を振り返った。
そして、山田さんのほか、次元大介役の小林清志さん、石川五ェ門役の井上真樹夫さん、銭形警部役の納谷悟朗さん、原作者のモンキー・パンチさんもすでに亡くなっていることを悔やみながら、「増山さんや皆さんの想いを これからもルパンに引き継ぎ精進してまいります。 ありがとうございました。ご冥福をお祈り致します」と結んでいる。
後輩キャストたちからも慕われていた様子の増山さんについて、あるプロ声優は以下のように語る。
「増山さんは上品で服装もおしゃれ。メガネなどの小物にも気を使われていて、とても素敵な方でした。ファンの“峰不二子像”を壊したくないからと、あまり表に出たがらなかったことは有名で、増山さんなりにキャラクターを守っていらした。現場で一緒になった後輩たちはすごく勉強になりましたよ。峰不二子がただのセクシーお姉さんにならなかったのは、増山さんの力が大きかったのではないでしょうか」(プロ声優)
増山江威子さんの後任、3代目峰不二子役・沢城みゆきは「悪いところなし」!?
そんな増山さんから不二子役を引き継いだ沢城については、以下のような評判も聞こえてきた。
「沢城は増山さんの芝居をなぞっているような印象がありました。3代目峰不二子に選ばれたときには正直不安でしたが、沢城は技術力で峰不二子を自分のものにしましたね。先代たちのように自分が演じるにはどのようにすればよいか、研究を重ねた成果が見えます。業界の評判もすこぶるよく、芝居、性格、どこをとっても悪いところがありません。真面目で謙虚です」(制作会社関係者)
なお、沢城は現在39歳。10代の頃はアイドル声優として売り出されていた時期もあるが、今でも第一線で活躍しているのは、「彼女にしっかり実力があるから」(同)だとか。
「彼女はアニメ声優としてはもちろん、ナレーターとしてのスキルも持っています。アイドル声優から実力派声優へと早い時期にシフトチェンジしたのが功を奏したのでしょう。ちなみに、『報道ステーション』(テレビ朝日系)で増山さんの訃報を伝えた際のナレーションは、沢城が担当していました。番組では沢城が3代目峰不二子ということは一切触れずに、沢城はいちナレーターとして仕事をしていた。あの場面は感慨深いものがありましたね」(同)
業界内でも高く評価されている様子の沢城。今後も増山さんの遺志を引き継ぎ、不二子を大事に演じていってほしいものだ。