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しゃぶしゃぶ最大チェーンから陥落【温野菜】、「脂身9割肉」が波紋も……「むしろマニアックなメニューにしては?」

ByAdmin

9月 5, 2024 #暮らし

 しゃぶしゃぶの食べ放題チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」。8月31日にX(旧Twitter)ユーザーが同店の肉の質について問題視する投稿をしたところ、ネット上で波紋を広げている。この問題について、グルメライターに意見を聞いた。

目次

しゃぶしゃぶ温野菜、脂身9割のイベリコ豚を提供
イベリコ豚は脂身のおいしさが魅力、脂身9割は「全然アリ」
しゃぶしゃぶチェーン最大手だった「温野菜」、店舗数が減少し倒産ケースも
いっそ、脂身を別メニューにする方法も?

しゃぶしゃぶ温野菜、脂身9割以上のイベリコ豚を提供

 「牛角」などで知られる株式会社レインズインターナショナルが運営するしゃぶしゃぶ食べ放題チェーン「しゃぶしゃぶ温野菜」(以下、「温野菜」)。現在、同チェーンについて、とあるX(旧Twitter)ユーザーの投稿が話題を集めている。

 8月31日、「温野菜でこれが出てきて一瞬時が止まった」という文章とともに、9割以上が脂身と思われるしゃぶしゃぶ用の肉の画像がXにアップロードされた。

 投稿主が行った補足のポストによれば、この写真は「温野菜」の「温野菜コース」(3,828円、税込み/以下同)以上の食べ放題に含まれている「イベリコ豚しゃぶ」のもの。脂身が多いのは理解してオーダーしたものの、ここまでとは予想していなかったとのこと。2人前頼んだところ、いずれもこの脂身の多さであったが、食べてみたところ「普通においしかった」という。

 この投稿は4日時点で15万以上の「いいね」を集めているほか、1万以上のリポストをされるなど同SNS上で大きな注目を獲得。ネット上では「確かにイベリコ豚は脂が多いものだけど、これはさすがに多すぎる」「“温野菜”じゃなくて“温脂肪”じゃん」「ひどい。これが出てきたら交換してもらいたくなる」など、ほぼ真っ白というショッキングな肉の見た目に驚く声や、これを商品として提供した「温野菜」への批判の声が噴出。

 一方で、「イベリコ豚はこんなもんだとは思う」「自分は脂身大好きだから、これが出てきてもうれしい」など問題ではないとする声も一定数見られ、議論を呼んでいる。

グルメライター「イベリコ豚は脂身のおいしさが魅力だから全然アリ」

 果たして、今回の“ほぼ脂身”肉の提供は、しゃぶしゃぶチェーン店ではままあることなのか――。「サイゾーウーマン」でチェーン店やスーパーなどに関する記事を寄稿しているグルメライター・阿左美賢治氏に聞いた。

「『温野菜』には僕もそれなりに行きますが、9割以上脂身というこのような肉は今のところ見たことがありませんね。『イベリコ豚しゃぶ』がかなり脂身の多い肉であることは確かですが、三枚肉のような、脂身は多いけど赤身もそれなりにあるという商品を想像している人がこれを提供されてしまった場合、衝撃を受けるのは否めないでしょう。ただ、個人的な意見を言わせてもらえるなら、ネットの声にもあった通り、イベリコ豚は脂身のおいしさが魅力だと思うので、全然アリ……というか、僕がこれを提供されたらむしろ“当たり”だなと思っちゃうかもしれません。脂身のおいしさを好む人であれば、全然おいしく食べられる範疇だと思います」

 個々人の嗜好によって受け取り方に大きな違いがあることがわかるが、今回議論を呼んだのは、ネガティブに捉えるべき事案だ、と思う人が多かったからだろう。

しゃぶしゃぶチェーン最大手だった「温野菜」、店舗数が減少し倒産ケースも

 2016年にベトナムのハノイ市に初進出を遂げた際には国内388店舗と、しゃぶしゃぶチェーンの中で最大手となっていた「温野菜」だが、現在では216店舗(公式サイトによる)と、半分近くに減少。

 現在ではファミレス業界最大手であるすかいらーくグループが運営する「しゃぶ葉」や、「焼肉きんぐ」で知られる株式会社物語コーポ―レーションが展開する「ゆず庵」などの参入で競争が激化し、かつてに比べるとその存在感が薄くなりつつあることも確かだ。すかいらーくグループを統括する株式会社すかいらーくホールディングスの発表によれば、今年の6月30日時点で「しゃぶ葉」の店舗数は290と「温野菜」を抜いている。

「昨年には『温野菜』の北陸甲信越地区エリア本部として、富山県、石川県、新潟県や長野県、東京都などへフランチャイズ出店をしていた株式会社リレーションズ(現名称・NS)が倒産したと報じられています。ただ、富山県、石川県の3店舗は経営権が第三者に譲渡され、現在も営業を継続しているそうです」(同)

いっそ、脂身を別メニューにする方法も?

 そんな苦境の中、図らずもネガティブなイメージを世間に抱かれてしまうこととなった「温野菜」だが、今回のように脂身の多い肉を提供する際に、同じ轍を踏まないようにする方法などはあるのだろうか。

「いっそこの際、脂身が極端に多いコンディションの肉は、それを明記した別メニューにしてみるというのはどうでしょう。例えば馬肉でも『こうね』と呼ばれるたてがみが生えている部分の脂身が一つの部位として成立し、赤身と合わせて食べたり、好きな人は単品で食べたりする希少部位として人気を集めています。これと同じように、“イベリコ豚のトロ”のような表記で提供し、脂の味が好きな人に対するマニアックなメニューにしてみるのはどうでしょう。僕のような脂身好きの人間や、面白がって頼む人など、それなりの人気が出るように思いますね」(同)

 ウルトラC級の提案だが、食の廃棄が問題視され続ける中では、やってみる価値があるメニューかもしれない。 

「東京都板橋区にある背脂チャッチャ系ラーメンの名店『下頭橋ラーメン』では、かつてスープを背脂100%にするという裏メニューが提供されていました。個人的にちょくちょく食べに行っていたのですが、しゃぶしゃぶの〆の一つとして提供している『中華麺』を楽しむ際、背脂代わりに入れてみるなど楽しめそうです。何より、脂身が極端に多いものであるということを明記しているわけですから、『おかしなメニューを始めた!』という反応はあっても、今回のようなネガティブな声を集めることはなくなるという利点がありますから」

しゃぶしゃぶ温野菜の魅力は、高価格帯のコースと期間限定メニュー

 阿左美氏によれば、「温野菜」が「しゃぶ葉」の後塵を拝してしまった理由の一つに、「高価格帯のコースのクオリティや、期間限定メニューなどには十分な魅力があるものの、低価格帯のコースが『しゃぶ葉』よりもかなり割高感があり、消費者がそれに相応するだけのバリューが見いだせない部分があるのではないか」とのこと。

 平日ディナータイムの食べ放題コース価格を比較するとで、「しゃぶ葉」で一番安価な「豚バラしゃぶしゃぶ食べ放題コース」は1,979円なのに対し、「温野菜」で最も安い「三元豚コース」は3,498円と、かなりの価格差があった。

 同氏の提唱する“イベリコ豚のトロ”の販売がそうした価格差を覆すだけのバリューを生み出す方策の一つになり得るかはわからないが、「温野菜」が現在の苦境を乗り越え、再び隆盛を取り戻せることを願ってやまない。

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