パスタソースや和惣菜を中心に開発・販売する「久世福商店」。新店舗が続々とオープンする一方で、運営会社の業績は不安定な様子……その理由を探るため、店舗でお買い物してみました。
目次
・68品目を約43円値上げ
・「富澤商店」とごっちゃに?
・「○○あんバター」シリーズ
・「食べる、すき焼き」を購入
・「食べる、すき焼き」実食
・久世福商店に感じたこと4つ
※2024年7月22日公開の記事を再編集しています。
※商品の価格は公開当時の情報です。
【久世福商店】68品目を約43円値上げ
“ザ・ジャパニーズ・グルメストア”をコンセプトとした久世福商店は、2013年に千葉県のイオンモールに1号店がオープンし、現在は全国に159店舗を展開。
今年7月だけでも、奈良・イオンモール奈良登美ヶ丘店、東京・町田マルイ店がオープンし、さらに25日オープンの神奈川・ゆめが丘ソラトス店、27日オープンの長野・アリオ上田店が続くといいます。
そんな好調に見える久世福商店ですが、ここ数カ月の売上高と客数を見てみると、前年同月比割れしている月が目立ち、少々不安定な印象。
さらに、運営するサンクゼールが5月に発表した決算によれば、24年3月期の連結経常利益は前期比13.5%減の14億円。24年1~3月期の連結経常利益も前年同期比34.9%減の2.6億円に落ち込み、売上営業利益率は前年同期から大幅に悪化したといいます。
日本経済新聞の10月4日付け記事によれば、久世福商店は自社製造商品の計68品目を平均約43円値上げしたとのこと。久世福商店は約1,000アイテムを扱っており、今回の値上げ対象品は全体の7%ほどにあたるとか。
【久世福商店】に到着、「富澤商店」とごっちゃに……
今回は、新業態ではなく従来の店舗で魅力的な商品を探したいと思います。
高島屋に入っている久世福商店に到着。店構えや看板がなんとなく似ている「富澤商店」と隣同士だったので、「すわ、競合同士か!?」と緊張してしまいましたが、「富澤商店」は製菓材料や道具を中心に扱うお店。まったく競合していませんでした。
以前から久世福商店と富澤商店がごっちゃになっていた筆者ゆえ、今日は久世福商店の特徴をきちんと理解して帰ろうと思います。
今は夏ということで、一番目立つ売り場には5色のカラフルな手延べそうめんや、冷や汁のもと、フルーツゼリーといったすずしげな商品がずらり。これに、上品なシニアご夫婦や、健康意識が高そうなお姉さま方が足を止める姿がよく見られました。
【久世福商店】パンに塗る「○○あんバター」シリーズが充実
まず目を引いたのが、売れ筋商品と思われる「○○あんバター」シリーズ。
新商品の「国産枝豆使用 ずんだあんバター」(560円)や、定番商品の「北海道産小豆のこしあんバター」(430円)のほか、「抹茶あんバター」(490円)、「あまおうの苺あんバター」(490円)、「とろける ミルクあんバター」(490円)などがありました。
パンに塗る瓶入り商品だと、成城石井のフルーツバターシリーズが有名ですが、270gも入っているので「おいしいけど、量がちょっと多いな……」と感じることもあったんです。その点、久世福商店の「○○あんバター」は125g入りなので、手に取りやすいと感じました。
ちなみに「紀ノ国屋」の「あんこバター」は150g入りで798円。これと比較すると、久世福商店のほうが気軽に試せそうです。
一方、パスタソースのコーナーでは、500円台の瓶入りソースが多く並ぶ中、新商品の「芳醇で旨味引き立つ からすみのオイルソース」(790円)や「桜えび華やぐ 国産大葉のジェノベーゼ」(840円)といったお高めのオイル系商品も並んでいました。
内容量は110gで約3人前だそうなので、1食分はそんなに高くないのかも? オイル系はバゲットにも合うそうです。
【久世福商店】590円の「食べる、すき焼き」を購入!
続いて、ごはんにのせる瓶入り商品をチェック。
定番の「大人のしゃけしゃけめんたい」(637円)や「大人のつなつなめんたい」(702円)と迷いつつ、筆者は商品名が気になった「食べる、すき焼き」(590円)を買ってみることに。
そして、「食べる、すき焼き」を手に取った途端、「買う意思がある客」と認められたのか、「(フルーツ酢の)試飲もできるので、なんでもおっしゃってくださいね!」と満面の笑みで声をかけてくださる店員さんが登場。
すると次の瞬間、別の店員さんが試飲用の冷たい和風だし汁を差し出してくれました。さらに冷凍コーナーの前を通ると、最初の店員さんがすかさず冷凍の“おやき”の説明を開始! なるほど、久世福商店はチェーン店ながら、個人商店のような手厚いおもてなしをしてくれるお店なんですね。
親切な店員さんに「すぐ売り切れてしまう人気商品」だと言われた勢いで、「いろは堂 炉ばたのおやき なす」(388円)を購入することに。こちら久世福商店のオリジナル商品だとばかり思って購入しましたが、後で調べたら長野県の老舗有名店「いろは堂」の商品でした。
ほぼオリジナル商品で埋め尽くされている久世福商店ですが、一部にこうしたセレクト商品も置いているようです。
【久世福商店】購入品を実食! モヤモヤが止まらないワケ
「食べる、すき焼き」590円
先ほど購入した「食べる、すき焼き」を実食します。
売り場でこの商品を見つけた途端、「『のせる』とか『かける』じゃなくて、『食べる』? 食べるラー油的なノリなんだろうけど、そもそもすき焼きって食べるものでは……」とモヤモヤしてしまった筆者。
同じ棚に「食べる、だし醤油」(590円)や「食べる、梅だし醤油」(590円)という商品を発見し、「なるほど、このシリーズなのか……」と一瞬安心しつつも、「すきやきって調味料じゃないし!」とやはりすっきりしません。
パッケージの写真に倣い、ごはんにのせて、卵黄をトッピングしました。
口に入れると、アルコールのような刺激とともに、猛烈な甘さが襲ってきます。期待していた牛肉の味がしない代わりに、大豆とえのきの味を強めに感じました。
勝手に“牛肉のしぐれ煮”的なものを想像していたので、「思ってたのと違う!」とショックを受けた筆者。味や食感を例えるなら、“割り下味のなめたけ”といったところ。
あまりにも肉の味がしないので不思議に思い、原材料を確認。すると、やはり上位に肉はなく、「粒状大豆たん白」と「えのき茸」と書かれていました。
そして、名称に「食べる調味たれ」と書いてあるのを見て、思わず「え?」と声を上げてしまった筆者。だったら、これは「食べる、すきやき」ではなく、「食べる、すきやきの割り下」のほうが誤解を招かないのではないか……などと今もグルグルと考えています。
「いろは堂 炉ばたのおやき なす」388円
続いて、店員さんにおすすめしてもらった「いろは堂 炉ばたのおやき なす」を実食します。こちら前述のとおり、筆者が勝手に久世福商店のオリジナル商品だと勘違いして購入した商品になります。
パッケージに書いてあるとおり、レンチンした後、トースターで少し焼きました。
これは甘いみそ味と、ゴロゴロとしたなす、香ばしい小麦粉の皮の組み合わせがおいしすぎる! もっと買えばよかったと後悔しました。
Amazonやデパートのネットショップでも買えるようなので、お取り寄せしてみようと思います。このおやきと出会わせてくれた久世福商店に感謝!
【久世福商店】価格設定と内容量に好印象!
今回買い物してみて感じたのは、以下の4つです。
(1)ほぼオリジナル商品で楽しい。新商品も多め
(2)商品によって試飲OKだったりと、店員さんのサービスが手厚い
(3)どれも内容量が多すぎないため、試しやすい
(4)「無印良品」の食品売り場とノリが近い
買い物体験としては、「無印良品」の食品売り場に近い感覚を覚えました。普段から無印良品の食品をよく買う人は、久世福商店にもハマるのではないでしょうか。
また、オリジナル商品の価格帯は、「紀ノ国屋」や「成城石井」より若干お手頃な印象。加えて、今回のおやきのように、地方の名品と出会えることもわかりました。
一方、今回たまたま購入した「食べる、すき焼き」が個人的に微妙だったため、「当たり外れがあるのかも……」と怖さを覚えてしまったのも事実。もし同様のことを思っている人がほかにもいるのであれば、現在業績が今一つの理由はそこにあるのかもしれません。
上品な店員さんとの交流も楽しい久世福商店。次回は商品名だけで決めず、おすすめ商品をちゃんと聞いてから購入したいと思います。