毎晩、暑くて寝苦しい夜が続きますが、朝までぐっすり眠れていますか? なかなか寝つけなかったり、夜中に目が覚めてしまったり……。そこで今回は、薬剤師が「熱帯夜でもすっきり快適に眠れる方法」を、ある女性の体験談を交えながら解説します。
1.エアコンの設定温度で“争い”に!? 汗が不快で眠れない!
暑い季節の睡眠に悩んでいるという、33歳の雅美さん(仮名)。夫と2人暮らしだそうですが、ここ最近、睡眠について悩んでいるといいます。
「今年の夏は、ほとんどぐっすり眠れていません。熱中症が怖いので、エアコンをつけて眠るようにしたいのですが、一晩中つけていると頭痛がしたり、逆に寒くなったりと、体調を崩してしまいます」
同室で寝る夫とは、エアコンの設定温度で“争い”になったこともあるとか。
「就寝時間する前にエアコンをつけて布団に入り、しばらくしてからタイマーで切るようにしていました。しかし、そのうち主人が起きてエアコンをつけてしまうんです。エアコンをつけると寒く、エアコンを切ると暑くて汗が不快……。毎晩こんな調子なので、朝の目覚めも悪いですね」
ついには、夫から「しばらくリビングで寝る」と言われ、別々に寝ることになったそう。ところが、雅美さん1人で寝るようになってからも、快眠はできなかったといいます。
「しばらくの間、冷房をつけたり消したりしていたからか、体温調節が苦手になってしまったようです。びっしょりとした寝汗をかくことも増え、不快感で起きてしまいます。なかなか眠れないせいで、日中も頭がボーッとしてしまい、職場でもウトウト……。この不調、どうやったら改善できますか?」
本来、汗には体温を調整する役割があります。起きているときだけではなく、寝ているときに多少の汗をかくのも自然な現象ですが、目が覚めるほどの大量の汗や、寝つけないほど不快になる汗は、体の不調を知らせるサインです。
夏の寝汗は、自律神経やホルモンバランスの乱れ、脱水が主な原因。それでは、不快な寝汗を改善し、ぐっすり眠れるための方法を、いくつかご紹介します。
その1:食事を工夫する
トマトやきゅうりといった夏野菜は、体内にこもった熱を放出する食材なので、積極的に取り入れてみましょう。さらに、イカ、ほたての貝柱、牡蠣などの貝類のほか、アスパラガスやオクラは脱水を防ぎ、水分バランスを整える効果が期待できます。
その2:入浴で自律神経を整える
入浴は寝る間際ではなく、2~3時間前に行いましょう。すると、自律神経が整い、体がリラックスした状態でベッドに入れるため、深い睡眠ができるはず。ぬるめの湯にゆったり浸かることも、自律神経を整える効果がありますよ。
その3:寝具の素材や機能にこだわる
吸湿性のよい綿のパジャマや、速乾性の高いシーツなどを使ってみましょう。これらを活用すれば、汗をかいても不快感が続きにくいので、暑い夜も快適に過ごせます。
人は眠るとき、汗をかいて体温を下げようとしますが、寝具で涼しい環境を整えれば、汗も抑えられるのです。ひんやり感のある素材を使った枕やシーツなども活用してみましょう。
雅美さんはこれらの方法とは別に、“漢方”を飲むことで快眠できるようになったそう。近所のドラッグストアで薬剤師に「ぐっすり眠れるようになる睡眠薬はないものか?」と相談したところ、漢方薬を勧められ、ネットで購入できるサービスを紹介してもらったといいます。
そこで勧められたのが、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」という漢方薬。飲み始めてしばらくすると、雅美さんの悩みの種だった不快な寝汗は、次第に改善されていきました。
「毎晩ぐっすり眠れるようになっただけでなく、暑さによる体のダルさも感じなくなりました。全体的に体が元気になり、日中もバリバリ仕事をしていますよ」
寝付きの悪さを漢方で解消した、雅美さんの体験談でした。
3-1.漢方で寝汗体質の改善を目指す!
漢方医学では、「気(エネルギー)」が不足すると、寝汗をかくだけでなく、疲れやすくなり、体のダルさを感じるといった症状が現れるのです。
また、気が不足する原因のひとつに「胃腸機能の低下」が考えられます。胃腸の機能が低下することで、食事から十分なエネルギーを得られなくなるためです。ストレスも気が不足する原因になります。
気が十分にあれば、外気の変化に対応できますが、気が不足すると寒さや暑さ、外気などの環境変化に対応しきれず、自然な発汗をコントロールできなくなるのです。
それでは、不快な汗を改善するのにおすすめの漢方薬をご紹介しましょう。
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):体力虚弱で、食欲がなく、疲れやすい方
胃腸の機能低下に作用し、疲れやすさやダルさの改善も期待できます。
・桂枝湯加黄耆湯(けいしかおうぎとう):たくさん汗をかき、体力があまりない方
皮膚の締まりがよくなり、発汗を抑えます。また、風邪の初期症状にも用いられる漢方薬です。
・黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう):体が弱く、疲れやすい方
体にエネルギーを与え、丈夫にする働きがある漢方薬。子どもの寝汗にもよく用いられます。
漢方薬は、ご自身の状態や体質にうまく合っていないと、効果を感じられないだけでなく、場合によっては副作用が生じることもあります。しかし、たくさんの漢方薬からご自身に合った漢方薬を見つけるのは大変ですよね。
そんなときは、薬剤師に気軽に相談できる、「あんしん漢方」などのオンライン漢方サービスを利用するのもいいでしょう。あなたに合った漢方薬を見極めて、お手頃価格で自宅に郵送してくれます。
4.熱帯夜でもすっきり快眠!
夏の暑い夜は、良質な睡眠を得ることはなかなか難しいでしょう。特に、寝汗にお悩みの方は、食事や寝具を工夫ししながら、ご自身に合った方法を探してみてください。
それでも効果が実感できない方は、あなたに合った漢方薬を、専門家に探してもらうのもおすすめ。しっかり睡眠をとって、暑い夏を乗り切りましょう!