Netflixで配信中の『あいの里』シーズン2。12日に配信された9話~12話のポイントについて、婚活のプロである「くじら結婚相談所」所長で芸人のくじら氏に解説してもらった。
目次
・『あいの里』シーズン2が連日ランキング1位
・マンハッタンの告白は「早すぎ」
・「一か八かの告白」はするもんじゃない
・ニノがした「恋愛初心者にありがちなミス」
・マキオの言動は「婚活の幅」が広がる
※以下、『あいの里』シーズン2の12話までのネタバレを含みます。
Netflix『あいの里』シーズン2、『ダンダダン』を抑えて連日1位
『あいの里』シーズン2(全20話/毎週火曜配信)は、沖縄の古民家を舞台に35歳以上の男女が「最後のパートナー探し」を繰り広げる恋愛リアリティ番組。
配信が開始されるとネット上で話題沸騰となり、Netflixの視聴数ランキング「今日のTV番組TOP10(日本)」では大ヒットアニメ『ダンダダン』などを抑えて連日1位に輝いている。
9話~12話に登場する参加者は、以下の10人。
9話~12話に登場するメンバー
パチゆみ(51)スポーツジム経営/結婚歴1回
たみフル(45)漫画家/結婚歴なし
マンハッタン(60)スタンダップコメディアン/結婚歴1回
せん姉(57)食育トレーナー/結婚歴なし
隊長(48)元レスキューパイロット/結婚歴なし
あやかん(35)秘書/結婚歴なし
ギタりん(52)音楽教室の先生/結婚歴なし
マキオ(39)建築リフォーム業/結婚歴なし
ニノ(42)モデル&WEBエディター/結婚歴なし
タナさん(52)飼料穀物専門商社社長/結婚歴1回
19日の3週目の配信を前に、くじら氏に気になるシーンについて以下で解説してもらう。
【あいの里 シーズン2】結婚相談所の所長がポイント解説:
マンハッタンからたみフルへの告白は「早すぎ」
エンタメ的には面白いが、婚活的に間違った動きが多々あるのがこの『あいの里』の興味深いところ。今回も婚活のマンツーマンカウンセリングを毎日のようにやっているオレが、婚活のプロ目線で出演者たちのムーブを解説していきたい。
まずは、冒頭の山場であるマンハッタンからたみフルへの告白シーン。
率直に言って、タイミングが早過ぎる。明らかにまだ2人の関係性ができていない状態での告白であり、こんなタイミングでは自己満足に過ぎなくなってしまう。
こうした告白を「潔くて良かった」なんて美談にする風潮もあるが、果たしてそうだろうか。自己満足を続けていては、婚活はいつまでたっても終わらないだろう。
マンハッタンに限らず、以前のギタりんからちぃへのアプローチにも言えることだが、玉砕覚悟をどこか「男らしい潔さ」と捉えている気がしてならない。この感覚が独りよがりの告白に走らせる原因ではないだろうか。
自分の気持ちばかり高まってしまい、「早く結論が欲しい」と自分本位になり、相手の気持ちが上がっていくところまで待てないのだろう。だが、本当に相手を愛しているのなら、相手の気持ちが上がってくるまで結論を先延ばしにするべきだ。
マンハッタンのような「一か八かの告白」はするもんじゃない
特に恋愛や婚活がうまくいっていない人に覚えておいてほしいのが、「一か八かの告白なんてするもんじゃない」ということ。
『あいの里』では“鐘を鳴らして告白する”というシステムがあるため仕方ない面はあるが、大きく告白すれば、その分、大きくフラれるリスクがある。中学生のような告白を、大人の婚活でやっていてはなかなか成功しない。
婚活でアプローチする時の鉄則は、「細かい好意を何度も表現する」ということ。婚活は“勝つ婚活”よりも、“負けない婚活”が大事といえる。
今回のマンハッタンのケースで言えば、「たみフルの落ち着いたトーンで話す感じ好きだなー」とか「たみフルってオレが変なこと言っても絶対に引いたりせず、受け止めてくれる感じあるよね。そういうとこ好きなんだよね」などと、もっと細かい表現を続けていくべきだった。
マンハッタンも細かい好意の表現を続けながら関係性を作っていたら、もっとチャンスはあったのではないだろうか。
ニノがしてしまった「恋愛初心者にありがちなミス」
とはいえ、マンハッタンに限らず、婚活サポートをしていると玉砕覚悟の告白方法しか知らない人が、男性も女性も意外と多い。
こども家庭庁(2022年までは内閣府)が毎年行っている「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によれば、13-29歳までの未婚者の「恋人有率」は25%。これは若者を対象にした調査ではあるが、これは大多数の人が上手な恋愛のやり方を知らないからとも言える。
そしてこの大多数に入るのが、容姿端麗なモデルでありながら「手をつなぐような恋愛」の経験が乏しいと告白した新メンバー・ニノだ。
ニノは、恋愛初心者にありがちなミスがあった。マキオに半ば一目惚れをし、最初から「マキオ一択」と照準を絞ってしまったことだ。恋愛初心者ほど相手のことをあまり知りもしないうちから「この人じゃないとダメ」と思い込み、「運命の人」扱いしてしまったりする。
逆に、恋愛経験が豊富な人ほどストライクゾーンが広い。恋愛を経験していくと「人なんて付き合ってみないとわからない」「運命の人なんていない」と気づき、「とりあえず付き合ってみよう」という感覚が備わってくるからだ。
すると可能性が無限に広がり、目の前の人を「運命の人」に仕立て上げることができるようになる。これこそが恋愛の本質であり、『あいの里』のシステムがそれを証明している。
ギタりんはちぃのことを最初は「運命の人」扱いしていたが、ちぃがいなくなるとあっという間にニノのことを好きになり、以前の号泣シーンがウソのようだった。
身近な人と何度も接するうちに好きになることを、心理学では“単純接触効果”と呼ぶ。一般的に社内恋愛が多いと言われるのも、その証拠だろう。「誰とでも結婚する可能性があるな」と思いながら、『あいの里』ライフを楽しむのがベストなのだ。
マキオくらい淡々と振る舞っていたほうが、婚活の幅は広がる
そういう意味では、新メンバーのマキオの言動はあらゆる可能性を探っていた気がする。誰にでもフラットに接し、楽しいコミュニケーションを取り、お互いを知っていったうえでたみフルに惹かれていった。
たみフルとマキオがカップル成立となるかは次回の配信に持ち越しとなったが、マキオくらい淡々と振る舞っていたほうが婚活の幅は広がるだろう。
まあ、婚活のプロ目線だとこんな解説にはなっていくが、恋愛リアリティショーとしてはギタリんくらい未熟な婚活ムーブをしてくれたほうが面白くはある。
ツッコミどころも多くなるので、司会のロンドンブーツ1号2号・田村淳さんとベッキーさんのコメントもキレキレだった。ギタリんが強引なボディタッチでニノを泣かせてしまい、番組を一時退場した時の淳さんの例え「アイスホッケーで反則した時に小さな箱に入れられる人みたい」は最高だった。
恋愛や婚活では相手に完ぺきを求めてしまいがちだが、人間の不完全さを面白がれることこそ、愛の本質だと思う。いろいろダメ出ししといてなんだが、『あいの里』メンバーには自分をさらけ出しながら、本当の愛を見つけてほしい。