『水曜日のダウンタウン』(TBS系)『あざとくて何が悪いの?』(テレビ朝日系)『千鳥のクセがスゴいネタGP』(フジテレビ系)など多くの人気番組を手掛ける有名ナレーター・服部潤が9月14日に投稿したツイートが波紋を広げている。
「有名声優かしらないけど、番組ナレーターに使うのはもう止めにしないか?内容が全く入って来ないし、番組として成り立ってない 声優はキャラクターを通しての表現はピカイチだけど、ナレーションとしての表現は全く出来ていない そりゃそうだ ナレーターは10年以上それだけを追求しているのだから」
こうつづった服部だが、では「声優あがり」のナレーターと、プロのナレーターはどう違うのだろうか? 7月から『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』(日本テレビ系)2代目ナレーターに抜てきされた声優の花江夏樹を例に、ある放送作家はこう解説する。
「花江は就任当初でこそ、自身の代表作『鬼滅の刃』(TOKYO MXほか)の(竈門)炭治郎ばりにテンションの高い声を入れていましたが、今はだいぶ抑えている。ここからわかるのは、キャラクターに命を吹き込む声優と、番組をガイドしていくプロは明らかなに差というか、深くて大きな溝があるということです。その差とは、服部が指摘した通り『内容が頭に入ってこない』。感覚的な話なのでうまく説明できないのが歯がゆいのですが……。声優側も、どう自分の声を番組に乗せていいのか、わからないのかもしれません。そして平板になってしまい、かえって自分の良さを消してしまっている気がしてなりません」(同)
『鬼滅』ブームの最盛時には、『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)などで『鬼滅』声優が特別にナレーション出演したこともあったが、そうした起用も今は落ち着いたようだ。やはり、再びキャスティングしたいと思わせるほどの結果は残せなかったのだろう。
一方、声優の中でナレーター業が評価されている人物はいるのか聞いてみたところ、2人の名前が上がった。
「『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』(テレビ東京系)海馬瀬人役の津田健次郎は、『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)でも存在感を発揮しています。また先頃、『ルパン三世』シリーズの次元大介役を卒業することを発表した小林清志は、『Cの嵐!』から『嵐の宿題くん』(日本テレビ系)まで一連の嵐の冠番組でもおなじみでした。いずれも彼らの場合は、津田なら海馬の声、小林なら次元の声を出してほしいと番組スタッフがお願いしている。アニメの話題性だけで当て込んで、声優に指示をしないままだと失敗しやすいといえます」(テレビ制作関係者)
両者は上々の評価を得ているようだが、いずれにしても、本業ナレーターと、声優あがりのナレーターの静かな戦いは、しばらく続きそうだ。
(村上春虎)