2021年10月期の連続ドラマ(民放5局、午後8~10時台)が続々と初回放送を終えた。視聴率ランキングのトップに立ったのは、世帯平均19.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録した米倉涼子主演『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)だった。
100年に一度のパンデミックによって新局面を迎えた「東帝大学病院」を描く今シリーズ。初回では、外科の海老名敬(遠藤憲一)や加地秀樹(勝村政信)が、内科部長の蜂須賀隆太郎(野村萬斎)におなじみのセリフ「御意!」を“飛沫が飛ぶ”との理由で禁止されるシーンが登場し、放送中、SNS上では「面白すぎる」「飛沫とか、タイムリーなセリフが楽しい」と話題になっていた。
第7期を数える同作だが、初回視聴率が20%を下回ったのは12年の第1期以来のこと。ただ、過去のシリーズでは、最終回に25%超えを記録したことも複数回あるため、今後数字がどこまで伸びるか注視したい。
ベスト2位は、15.8%を記録した小栗旬が主演を務める日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』(TBS系)。同枠で前期に放送された鈴木亮平主演『TOKYO MER~走る緊急救命室~』の初回14.1%を1.7ポイントも上回る好発進となった。
1973年に刊行された小松左京氏のSF小説『日本沈没』(光文社文庫)をアレンジし、2023年の東京を舞台に小栗演じる環境省官僚らが一国の海中沈没という未曾有の危機に立ち向かう姿が描かれる同作。初回放送後、ネット上では「現実的にありそうなテーマだし、めちゃくちゃリアルだった」「やっぱり日曜劇場は面白い」と引き込まれた視聴者の声も多かったが、中には「期待しすぎたせいか、なんか全然面白くなかったんだけど……」とがっかりする視聴者も見られた。
また、地震学者役の香川照之の個性的な演技が物議を醸し、「なんであんな不自然な演技なの?」「コントに出てくる博士みたいで冷める」と否定的な声も少なくないようだ。とはいえ、第2話も15.7%と高水準を保っており、注目度の高さは「日曜劇場」ならではといったところ。
ベスト3位と4位には、水谷豊主演『相棒 season20』と沢口靖子主演『科捜研の女 season21』というテレ朝の看板シリーズが並んでランクイン。今期の『科捜研の女』は、京都府警科学捜査研究所の法医研究員・榊マリコ(沢口)に東京への異動の話が持ち上がる……という同作ファンをドキドキさせるような幕開けでスタートした。
そんな波乱の初回では、現在公開中の映画『科捜研の女 -劇場版-』にも登場するマリコの別れた夫で刑事指導連絡室長の倉橋拓也(渡辺いっけい)も登場。これに、ネット上では「マリコの別れた夫が渡辺いっけいさんだったとは!」と驚がくする視聴者が散見された。
ちなみに10月14日からのドラマ放送に先駆けて、6日からCS東映チャンネルでは『科捜研の女 season1』を再放送中だが、一部視聴者から「シーズン1、マリコが別れた夫のことを引きずるわりと俗っぽいキャラだったりと、随所に見られる違いがパラレルワールドのようで面白い」という声も。長期シリーズにおける登場人物の微妙な性格の変化が、ファンの間で話題になっているようだ。
田中圭の演技に賛否『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』はワースト入り
ワースト3位は西島秀俊主演『真犯人フラグ』(日本テレビ系)で、8.4%。しかし、同枠の前クールで派手にコケてしまった中川大志主演のラブコメディ『ボクの殺意が恋をした』(全話平均5.3%)と比較すると、そこまで悪い数字ではなさそうだ。
同作は、19年4月期から2クール連続で放送された『あなたの番です』(同)の制作スタッフが再集結したオリジナルミステリー。今作も2クールにわたり放送が予定されており、初回では家族がこつ然と姿をくらまし、右往左往する主人公(西島)の様子が描かれた。
ネット上では、「今回も、犯人を推理するのが楽しみ!」「『あな番』大好きだったから、新作うれしい!」と期待する『あな番』ファンがいる一方で、「『あな番』に似てるけど、ハラハラドキドキしない」「主人公の必死さが伝わらない」といった声も目立ち、17日放送の第2話では、7.2%まで数字を落としてしまった。ただ、『あな番』の後半での追い上げを思うと、挽回する可能性は十分ありそうだ。
7.8%でワースト2位となったのは、江口のりこ主演『SUPER RICH』(フジテレビ系)。周囲に弱みを見せないベンチャー企業の代表取締役CEOを江口が演じ、その前に現れる一回り年下の専門学生役を赤楚衛二が務める。初回放送後は「初回見たけど、江口のりこと赤楚衛二の恋愛展開がありそうで怖い」「これからラブ要素が出てきたら嫌だな」という声が見られ、恋愛要素ほぼゼロの“THE お仕事ドラマ”を期待している視聴者も多いようだ。
今期のワースト1位となったのは、初回2時間スペシャルが7.2%を記録した田中圭主演『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(テレビ東京系)。主人公の天才遺伝子科学者(田中)が熱血刑事(安田顕)や科捜研の美女(倉科カナ)とともに未解決事件を解き明かし、遺伝子捜査の裏にある人間の業に迫るヒューマンミステリーだ。
ネット上の評判を見ると、「犯人はキャストでわかるけど、初回拡大でも飽きずに見れた」「DNAというテーマは興味深いので、最後まで見ていきたい」「とにかく白衣の倉科カナが良い!」などの好意的な声がある一方で、「ワクワクしない。2時間見るのはしんどかった」「3分の1くらい見て飽きてしまった」という残念な声も。加えて、主人公のクセの強いしゃべり方や動きが、「これまでの田中くんの演技と違って、面白い!」「田中に、この役は合わない」などと賛否を巻き起こしているようだ。
初回から4~5%台を記録する作品が複数みられた前クールとは違い、今のところどの作品もヒットする可能性がありそうな今期。今後の推移を最終回まで見守りたい。
【2021年秋ドラマ(午後8~10時台、民放5局)初回視聴率一覧】
1位『ドクターX ~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系、木曜午後9時) 19.0%
2位『日本沈没-希望のひと-』(TBS系、日曜午後9時) 15.8%
3位『相棒 season20』(テレビ朝日系、水曜午後9時) 15.2%
4位『科捜研の女 season21』(テレビ朝日系、木曜午後8時) 12.8%
5位『ラジエーションハウスII~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系、月曜午後9時) 11.3%
6位『アバランチ』(フジテレビ系、月曜午後10時) 10.3%
7位『婚姻届に判を捺しただけですが』(TBS系、火曜午後10時) 9.4%
8位『二月の勝者―絶対合格の教室―』(日本テレビ系、土曜午後10時) 9.2%
9位『最愛』(TBS系、金曜午後10時) 8.9%
10位『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系、水曜午後10時) 8.8%
11位『真犯人フラグ』(日本テレビ系、日曜午後10時30分) 8.4%
12位『SUPER RICH』(フジテレビ系、木曜午後10時) 7.8%
13位『らせんの迷宮~DNA科学捜査~』(テレビ東京系、金曜午後8時) 7.2%