• 日. 12月 22nd, 2024

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成績トップ2の生徒がテストで最下位転落、自傷行為……黒木がかけた“再起の言葉”『二月の勝者-絶対合格の教室-』

 中学受験をリアルに描く連続ドラマ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(日本テレビ系、土曜午後10時~)。第2話では、中堅中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」の下位クラスに在籍する鉄道好きの生徒・加藤匠(山城琉飛)が、校長でスーパー塾講師の黒木蔵人(柳楽優弥)の戦略によって受験に意欲を持つ様子が描かれた。「塾は営利目的の企業」とはばからない黒木だが、成績不振の生徒を「できない子」と決めつけずにやる気を引き出す手腕は見事だった。

第3話あらすじ

 第3話では、最上位のΩクラスに在籍する前田花恋(田中絆菜)が、黒木の古巣・大手名門塾「ルトワック」への転塾を考え、体験授業を受ける。桜花ゼミナール吉祥寺校ではトップを争う花恋も、ルトワックの授業速度には苦戦し、テストの点数は最下位。講師から名前を覚えてもらえず、「その他大勢」の扱いをされる。

 負けん気の強い花恋は「落ちこぼれになんかなりたくない」と奮起し、医師の母親(高岡早紀)の忠告を無視して深夜遅くまで机に向かうが、知らず知らずのうちにシャーペンで自分の太ももを傷つけていた。

 花恋の転塾情報を聞いても静観していた黒木だが、花恋の自傷行為を知ると、「そろそろなのかもしれませんね」と始動。学校をサボり、疲れ切った表情で街を歩く花恋の前に現れると、疲労回復の効果があると甘酒を差し出し、花恋の顔色の悪さを気にかける。

 「あたし、自分で頑張りたくてやっていることなのに、何で止められなきゃいけないの!」と食ってかかる花恋に、黒木は「ほんとにそうだよね」と共感し、花恋の心の叫びを代弁してみせる。

「勉強ができる子は何で褒めてもらえないんだろう? リレーの選手に選ばれたらすっごく褒めてもらえるのに。合唱コンクールでピアノ弾いたらクラスのヒーローなのに。クラスで一番足が速いとか、一番に逆上がりできた子みたいに、クラスで一番勉強できると褒めてくれればいいのに。文化祭で劇の主役に選ばれた子みたいに、運動会で応援団のリーダーやった子みたいに、私を褒めてって、思うよね」

 黒木は目線を花恋の高さに合わせ、そのまま“セールストーク”を展開する。「花恋にはトップが似合っている」「その他大勢の中なんて花恋の居場所じゃない」「花恋は女王になれるところでしか輝けない。花恋は女王様だ。少なくとも僕や桜花にとっては。花恋の席、まだ空けて待っているよ」と。

 自分の気持ちを受け止めて的確に言い表し、居場所を用意してくれる黒木の“揺さぶり”を受け、花恋は桜花ゼミナールに復帰した。黒木は最初から、花恋には競争を煽るルトワックより褒めて伸ばす桜花のほうが適していると見抜いていたが、花恋自身が納得できるタイミングを計り、声をかけたのだ。

 前回、下位のRクラスの生徒をマンツーマン指導する新人講師の佐倉麻衣(井上真央)に、「ひいき」ではないかといら立ちをあらわにしていた花恋。ともすれば、「人の気持ちのわからない、かわいげのない子」に見られかねないが、花恋のいら立ちの裏には、「認めてほしい」「褒めてほしい」という切実な気持ちが潜んでいたのだろう。

 小学6年生、11~12歳の子どもは失敗や間違いを犯すし、「その子が欲しいものと必要なものは必ずしも一致しない」と黒木は言う。競争心や上昇志向の強い花恋は一見、名門塾・ルトワックの環境が向いているようにも見える。

 しかし、学校では優秀さが仇となり、同級生や教師に疎まれている花恋にとって、本当に必要なものは、勉強が得意な自分を受け入れ、褒め、大切に扱ってくれるような居場所と安心感だったのだろう。

 であれば、優秀な生徒たちに競争心を煽って追い込みをかける名門塾より、褒めて伸ばしてくれる桜花のほうが好ましい。桜花には、勉強が得意な花恋を慕う女友達だっている。黒木にかけられた言葉もまた、花恋の「必要なもの」が詰まっていたのだと思う。

 ただ厄介なのは、大人の側も、必ずしも冷静に、子どもの「必要なもの」を見抜けるとは限らないところだ。現実には、子どもが欲したにせよ、親などの大人の判断で与えるにせよ、子どもにとって「必要なもの」だと判断して与えたはずが、どうやら違っていた、という展開だってあり得る。

 黒木は「育つ環境を見紛えず提供していく。大人たちがその経験から慎重に子どもたちの手を引いてやらなければ」とも言っていたが、スーパー塾講師の彼とて、恐らくこれまでの経験の積み重ねがあって、桜花の生徒たちに必要な言葉や環境を見抜けるようになったのだろう。

 第4話では、子どもの受験をめぐり価値観の一致しない夫婦の「地雷」を黒木が踏みつけ、爆発する模様が描かれる予定だ。

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